売買契約の締結から宅地建物の引渡し前の間に支払われる手付金などの金銭で、最終的に代金の一部になる金銭のこと(宅地建物取引業法第41条第1項)。
宅地建物取引業法(第41条・第41条の2)では、この手付金等を、第三者が保管するなどの方法で保全するように定めている。これは、売主が物件を引き渡せないなどの不測の事態が生じた場合に、手付金等が確実に買主に返還されるようにする目的で創設された制度である(詳しくは「手付金等の保全」へ)。
実際の不動産取引では、次の金銭が「手付金等」に含まれるかどうかが問題になる。
1.手付金:手付金は契約締結時に交付され、通常は物件引渡し時点までに(例えば残金支払いと同時に)手付金は売買代金の一部になる。従って、手付金は「手付金等」に該当する。
2.内金:内金は通常は物件引渡し前に交付される「代金の一部」のことであるので、「手付金等」に該当する。なお、内金という名称で実際は「手付金」の場合もまれにあるが、これは上記1.の理由によりやはり「手付金等」である。
3.中間金:中間金は物件引渡し前に交付される「代金の一部」のことであるので、「手付金等」に該当する。
4.残金:売買代金から、手付金、内金、中間金を差し引いた残りのことである。残金は、通常は宅地建物の登記名義の移転手続き(このとき物件の鍵も交付する)と同時に支払われる。従って、残金支払いの時点で物件が引き渡されるのが通常であるから、残金は「手付金等」に含まれないということができる。
5.申込証拠金:申込み証拠金は契約より前に買主が売主に交付する少額の金銭(通常は10万円以下)で、その目的は申込み意思の確認や、申込みの順番を確保するものである。申込み証拠金は直接的に代金の一部になるものではない。従って、申込み証拠金は「手付金等」に含まれないということができる(ただし、申込証拠金は契約と同時に「手付金」の一部になることが多い。すると、契約時点以降は上記1.の手付金に含まれることになる)。