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最終更新日:2017/12/8

理事の代表権の濫用

りじのだいひょうけんのらんよう

法人理事がその職務行為をなすに当たって、もっぱら自己の利益のために行なうことをいう。

このような場合には、判例では、心裡留保に関する民法第93条但書(心裡留保の規定)を類推適用して、善意無過失の相手方に対する法律行為の効力を無効としている(昭和38年9月5日最高裁判決など)。これによって、法人や代表権の善意の取引の相手方は、理事がなした代表権の濫用行為から保護されることとなる。

-- 本文のリンク用語の解説 --

法人

私法上の概念で、自然人以外で、法律上の権利・義務の主体となることを認められた団体・財産をいう。

法人の設立は、法律の規定によらなければならないとされている。

例えば、一般社団法人、一般財団法人、株式会社、学校法人、宗教法人、管理組合法人などはすべて法人である。

理事(法人の〜)

法人のすべての行為について代表する権限を持ち、法人の運営を行なう者のこと。

法人は、1名または数名の理事を置くこととされている。また、理事の代表権は法人のすべての行為に及ぶのが原則であるが、法人は、定款、寄附行為または社員総会の決議により、理事の代表権に制限を設けることができる。

心裡留保

本人の真意とは異なる内容を、本人が外部に表示することをいう。 例えば、ある品物を買う意思がまったくないのに、冗談で「その品物を買います」と店員に言う行為が、この心裡留保に該当する。心裡留保とは「真意を心のうちに留めて置く」という意味である。

このような心裡留保による意思表示は、有効な内心的効果意思を欠くものとして無効とするという考え方もありうるが、民法ではこのような真意と異なる意思表示をする本人は法の保護に値しないとの趣旨により、心裡留保にもとづく意思表示を原則的に有効と定めている(民法第93条第1項本文)。

ただし、心裡留保にもとづく意思表示の相手方が、本人の真意に気付いていた場合(または通常の注意力を働かせれば真意に気付いて当然であった場合)には、相手方を保護する必要がないので、心裡留保にもとづく意思表示は無効となる(民法第93条第1項但書)。