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最終更新日:2023/10/24

外壁の後退距離

がいへきのこうたいきょり

第一種第二種低層住居専用地域では、道路や隣地との境界線から一定の距離だけ、外壁を後退させなければならない場合がある。これを「外壁の後退距離」という。

この「外壁の後退距離」は都市計画によって規定される制限である。逆にいえば、都市計画に定めがないならば、第一種・第二種低層住居専用地域であっても、外壁を後退させなくてよいということである。

都市計画で「外壁の後退距離」が定められると、建築物同士の間に一定の空間が常に確保されるようになり、日照・通風・防火などの面で良好な環境が形成される。

都市計画で「外壁の後退距離」が定められる場合、その距離は1mまたは1.5mが限度である(建築基準法第54条2項)。

-- 本文のリンク用語の解説 --

第一種低層住居専用地域

都市計画法(第9条)で「低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。

この用途地域では、建ぺい率の限度は30%から60%の範囲内(10%きざみ)で都市計画で指定され、容積率の限度は50%から200%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。

また良好な住環境を確保するため、建築物の高さが10m(または12m)以下に制限されていることがこの用途地域の大きな特徴である。これを「絶対高さの制限」と言う。なお制限が10m・12mのいずれになるかは都市計画で定められている。
この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。 (建築できるもの)
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、公衆浴場、老人ホームなど

(建築できないもの)
1.大学、専修学校、病院
2.店舗
3.事務所
4.工場
5.ホテル・旅館
6.遊戯施設・風俗施設
7.自動車教習所
8.倉庫業の倉庫など

第二種低層住居専用地域

都市計画法(9条)で「主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。
この用途地域では、建ぺい率の限度は30%から60%の範囲内(10%きざみ)で都市計画で指定され、容積率の限度は50%から200%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。

また良好な住環境を確保するため、建築物の高さが10m(または12m)以下に制限されていることがこの用途地域の大きな特徴である。これを「絶対高さの制限」という。なお制限が10m・12mのいずれになるかは都市計画で定められている。
この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。 (建築できるもの)
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗(日用品販売店舗、喫茶店、理髪店等のみ)
4.2階以下で作業場の面積が50平方メートル以下のパン屋等の工場

(建築できないもの)
1.大学、専修学校、病院
2.上記に挙げたもの以外の店舗
3.事務所
4.上記に挙げたもの以外の工場
5.ホテル・旅館
6.遊戯施設・風俗施設
7.自動車教習所
8.倉庫業の倉庫 など

都市計画

土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業に関する計画であって、都市計画の決定手続により定められた計画のこと(都市計画法第4条第1号)。
具体的には都市計画とは次の1.から11.のことである。

1.都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画法第6条の2)
2.都市再開発方針等(同法第7条の2)
3.区域区分(同法第7条)
4.地域地区(同法第8条)
5.促進区域(同法第10条の2)
6.遊休土地転換利用促進地区(同法第10条の3)
7.被災市街地復興推進地域(同法第10条の4)
8.都市施設(同法第11条)
9.市街地開発事業(同法第12条)
10.市街地開発事業等予定区域(同法第12条の2)
11.地区計画等(同法第12条の4) 注:
・上記1.から11.の都市計画は、都市計画区域で定めることとされている。ただし上記8.の都市施設については特に必要がある場合には、都市計画区域の外で定めることができる(同法第11条第1項)。
・上記4.の地域地区は「用途地域」「特別用途地区」「高度地区」「高度利用地区」「特定街区」「防火地域」「準防火地域」「美観地区」「風致地区」「特定用途制限地域」「高層住居誘導地区」などの多様な地域・地区・街区の総称である。
・上記1.から11.の都市計画は都道府県または市町村が定める(詳しくは都市計画の決定主体へ)。

建築物

建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。

これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。
1.屋根と柱または壁を有するもの
2.上記に付属する門や塀
3.以上のものに設けられる建築設備

上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。
なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。

建築基準法

国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。

遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。

その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。
-- 関連用語 --
絶対高さの制限

第一種・第二種低層住居専用地域では、住環境を良くするために、建築物の高さが10mまたは12m以下に制限されている。これを「絶対高さの制限」と呼んでいる(建築基準法第55条)。

この絶対高さの制限が「10m以下」と「12m以下」とのどちらになるかは、都市計画で規定される。

なお、この絶対高さの制限には例外がある。建築審査会が同意して特定行政庁が許可した場合には、絶対高さの制限を上回る高さの建築物を建築することができる。