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最終更新日:2018/5/22

連帯保証

れんたいほしょう

保証人が、主たる債務者(本来の債務者)と連帯して債務を負担すること。債権者と保証人とが書面による保証契約を締結することによって成立する。

保証人は、主たる債務者が債務を履行しないときその債務を履行する責任を負っている。この場合、普通の保証人は、債権者に対して、まずは主たる債務者に対して債務履行を催告すべきと主張すること(催告の抗弁権)ができ、また、主たる債務者に弁済の資力があって容易に執行できると証明したときにはまずは主たる債務者の財産について執行すべきと主張すること(検索の抗弁権)が認められている。しかし、連帯保証の場合にはそのような主張をする権利(抗弁権)がなく、債権者が要求すれば、主たる債務者と区別されること無く債務を履行しなければならない。

融資取引や不動産取引において単に「保証」という場合には、実際には「連帯保証」であることが多い。従って、保証契約を締結する際には、普通の保証なのか、それとも連帯保証であるのかを確認する必要がある。

なお、民法(債権関係)改正(施行は2020年4月1日から)によって、
1)連帯保証人の一人について生じた事由は、一定の事由を除き他の連帯保証人に対してはその効力が生じないこと(相対的効力の原則)
2)個人の保証人については、保証契約時に債務額が確定しない保証(信用保証、身元保証、賃貸借上保証など)の場合にはその限度額を定めなければならず、その額を限度に履行責任を負うこと(限度額を定めなければ保証契約は無効となる)
3)事業用の融資に係る経営者以外の保証人(連帯保証の場合を含む)については、公証人による意思確認手続が必要であること
4)保証人に対し、主たる債務者の財産等の状況(事業用の融資に係る場合)、主たる債務の履行状況及び期限の利益の喪失に関する情報を提供すべきこと
が定められた。

-- 本文のリンク用語の解説 --

保証人

債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う者をいう。保証人は、法的な行為能力があり、かつ、弁済する資力がなければならない。

債権の回収を確実にするための方法は、財産への請求権を確保する方法(物的担保)と、債務者以外の人への請求権を確保する方法(人的担保)があり、保証人は人的担保のしくみである。

保証人の責任は、保証人が債権者と書面で保証契約を結ぶことによって効力が生じる。保証契約によって負担する債務が「保証債務」である。

保証する債務は、特約のない限り、主たる債務(債務者が元々負っていた債務)のほか、利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含するとされている。例えば、借家人の保証人は、借家人が滞納した家賃だけでなく、明渡しに際しての原状回復などについても責任を負うことになる。

人的担保は、保証人に予期しない負担を負わせ、大きな被害を与える可能性がある。そこで、民法(債権関係)改正(施行は2020年4月1日から)によって、保証人の保護を強化するべく、次の規定が定められた。
1)個人の保証人については、保証契約時に債務額が確定しない保証(信用保証、身元保証、賃貸借上げ保証など)の場合にはその限度額を定めなければならず、その額を限度に履行責任を負うこと(限度額を定めなければ保証契約は無効となる)
2)事業用の融資に係る経営者以外の保証人については、公証人による意思確認手続が必要であること
3)保証人に対し、主たる債務者の財産等の状況(事業用の融資に係る場合)、主たる債務の履行状況及び期限の利益の喪失に関する情報を提供すべきこと

債務

私法上の概念で、ある人(債権者)に対して一定の給付をなすべき義務をいう。

債務を負っているのが債務者である。

催告の抗弁権

債権者が保証人に保証債務の履行を請求してきた場合には、保証人は「先に主債務者に対して債務の履行を催告せよ」と債権者に主張することができる。これを催告の抗弁権という(民法第452条)。

例えば、AがBから100万円の借金をし、Aの友人であるCがその借金の保証人になったとしよう。このとき債権者Bが、保証人Cに対して100万円の債務を支払うように請求したとする。その際保証人Cは「まず主債務者Aに対して借金返済の督促をせよ」と債権者Bに主張できることになる。

しかしながら、単に督促をするだけでよいのであるから、債権者にとってはこの催告の抗弁権は実際上ほとんど問題とならない。ただし、保証人にはより強力な抗弁権として、検索の抗弁権が与えられている(民法第453条)。

検索の抗弁権

保証人が「主債務者には弁済をする資力があり、かつ、執行が容易である」と立証した場合には、債権者は先にその主債務者の財産から取立てをしなければならない。これを「検索の抗弁権」と呼んでいる(民法第453条)。

例えば、AがBから100万円の借金をし、Aの友人であるCがその借金の保証人になったとしよう。このとき債権者Bが、保証人Cに対して100万円の債務を支払うように請求したとする。

その際に、保証人Cが「主債務者Aには強制執行が容易な銀行預金60万円がある」と証明し、保証人Cが検索の抗弁権を行使したならば、債権者Bはまず主債務者Aから60万円を取り立てなければならない(もし、主債務者Aが取立てに応じない場合には、その銀行預金に対して債権差押などを行なうべきである)。

また、債権者が迅速な取立てを怠ったために、取立て可能であった金銭が取立てできなくなった場合には、その責任は債権者が負う。例えば上記例で、債権者Bが取立てを遅らせたために、他の債権者Dが60万円の銀行預金を取り立ててしまい、債権者Bは預金からの取立てができなくなったとする。このとき保証人Cは、その金額を差し引いた40万円についてのみ保証債務を負うこととなる(民法第455条)。

このように検索の抗弁権は、債権者の立場を弱くするものである。なお連帯保証の場合には、連帯保証人にはこの検索の抗弁権がないことに注意したい。

公証人

公正証書の作成、会社設立時の定款の認証、確定日付の付与などの公証事務を行なうために、法務大臣が任命する国家公務員法上の公務員ではないが実質的な公務員のこと。全国で約500名が任命されている。

公証人は、裁判官などを長く務めた実務経験者で公募に応じた者などの中から法務大臣が任命しており、全国の法務局・地方法務局に所属し、公証役場で執務を行なっている。