宅地建物取引士資格登録簿
たくちたてものとりひししかくとうろくぼ
宅地建物取引士の登録を受けた者に関して、都道府県知事が作成した登録簿のこと。
宅地建物取引士となるためには、その前提として、宅地建物取引士の登録を受けることが必要とされている(宅地建物取引業法第18条第1項)。
この宅地建物取引士の登録を受けた者について、都道府県知事が作成した登録簿が宅地建物取引士資格登録簿である(宅地建物取引士資格登録簿の様式は施行規則様式第4号に規定されている)。
1.宅地建物取引士資格登録簿の登載事項
宅地建物取引士資格登録簿には、宅地建物取引士の登録を受けた者に関する次の事項が登載される(法第18条第2項、施行規則第14条の2)。
1)氏名
2)生年月日
3)住所
4)本籍(日本の国籍を有しない場合は、その者の国籍)
5)性別
6)試験の合格年月日および合格証書番号
7)実務経験を有する者である場合は、登録申請時現在の実務経験の期間、その内容、従事していた宅地建物取引業者の商号(または名称)と免許証番号
8)実務講習の修了者である場合は、修了認定の年月日
9)宅地建物取引業者の業務に従事している場合は、当該宅地建物取引業者の商号(または名称)および免許証番号
2.宅地建物取引士資格登録簿の登載事項の変更
登録簿に登載された上記1から9の事項について変更が生じた場合には、登録を受けた者は遅滞なく変更登録申請書を提出しなければならない(法第20条、施行規則第14条の7、施行規則様式第7号)。これを「変更の登録」と呼んでいる。
具体的には、下記の4つの事項について変更が生じれば、変更登録申請書を遅滞なく提出する必要が生じることになる
1)氏名
2)住所
3)本籍
4)宅地建物取引業者の業務に従事している場合は、当該宅地建物取引業者の商号(または名称)および免許証番号
宅地建物取引士の登録
宅地建物取引士資格試験に合格した者が、宅地建物取引士として業務に従事するのにふさわしい資格等を有していることを都道府県知事が確認する手続きのこと(宅地建物取引業法第18条、第19条)。具体的には次のとおりである。
1.登録を申請する相手方
宅地建物取引士資格試験に合格した者が、試験を行なった都道府県知事に対して登録を申請する(宅地建物取引業に従事しようとする都道府県の知事ではないことに注意)。
2.登録を受けるための要件
宅地建物取引士の登録を受けるには次の1)と2)の要件を満たすことが必要である。
1)宅地建物の取引に関して2年以上の実務経験を有すること
宅地建物取引業者の下で2年以上勤務していた経験(または免許を受けた宅地建物取引業者としての2年以上の経験)が必要である。
ただし、(公財)不動産流通推進センターが実施する実務講習を受講し修了することにより、この実務経験を有するものと同等以上の能力を持つ者として認定されることができる。
(詳しくは、実務経験、実務講習へ)
2)一定の不適格な事情(欠格事由)に該当しないこと
成年被後見人であることなどの一定の不適格な事情(欠格事由)がある者は、登録を受けることができないとされている。
(詳しくは宅地建物取引士の登録の基準へ)
3.登録の申請の方法
宅地建物取引士資格試験に合格した者が、試験を行なった都道府県知事に対して、一定の事項を記載した登録申請書を提出する(法第19条第1項、施行規則第14条の3、施行規則様式第5号)。このとき実務経験証明書などの一定の書類の添付が必要である(施行規則第14条の3)。
4.宅地建物取引士資格登録簿への登載
登録申請書を提出された都道府県知事は、上記2.の要件を満たしていることを確認した後に、宅地建物取引士資格登録簿に一定の事項を遅滞なく登載する(法第19条第2項)。
これにより宅地建物取引士の登録が完了する。
(詳しくは宅地建物取引士資格登録簿へ)
5.変更の登録
宅地建物取引士資格登録簿の登載事項(氏名、住所など)に変更が生じた場合には、登録を受けている本人が遅滞なく変更を申請しなければならない(法第20条)。これを「変更の登録」と呼んでいる。
(詳しくは変更の登録(宅地建物取引士の〜)へ)
6.登録の移転
宅地建物取引士の登録を受けた者は、一定の事情が発生したときは、他の都道府県知事に対して登録の移転を申請することが可能である。
(詳しくは宅地建物取引士の登録の移転へ)
7.死亡等の届出
宅地建物取引士の登録を受けた者について、死亡等の事情が発生した場合には、登録を受けている都道府県知事への届出が必要である。
(詳しくは死亡等の届出へ)
8.登録の消除
上記7.の死亡等の届出があった場合やその他の場合には、登録を受けている都道府県知事は、宅地建物取引士の登録を消除しなければならない。
(詳しくは宅地建物取引士の登録の消除へ)
9.登録の有効期間
有効期間の制限はないので、一度登録すれば生涯にわたって有効である。ただし、上記8.により消除される場合あり。
10.宅地建物取引士との関係
宅地建物取引士の登録を受けた者は、宅地建物取引士証の交付を受けることによって、初めて宅地建物取引士となることができる(宅地建物取引士の登録を受けただけでは、まだ宅地建物取引士ではない)。
宅地建物取引士
宅地建物取引士資格試験に合格し、都道府県知事の登録を受けて、宅地建物取引士証の交付を受けた者のこと。
一定以上の知識・経験を持つ者として公的に認められた者である。宅地建物取引業者は、事務所ごとに従事者5名に対して1名以上の割合で、専任の宅地建物取引士を置かなければならない(詳しくは宅地建物取引士の設置義務へ)。
宅地建物取引において特に重要な次の3つの業務は、宅地建物取引士だけが行なうことができるとされている(宅地建物取引士ではない者はこれらの業務を行なうことができない)。
1.重要事項説明
2.重要事項説明書への記名・押印
3.37条書面への記名・押印
宅地建物取引士となるためには、具体的には次の1)から5)の条件を満たす必要がある。
1)宅地建物取引士資格試験に合格すること
宅地建物取引業に関して必要な知識に関する資格試験である宅地建物取引士資格試験に合格することが必要である。なお、一定の要件を満たす者については宅地建物取引士資格試験の一部免除の制度がある。
2)都道府県知事に登録を申請すること
この場合、宅地建物取引に関して2年以上の実務経験を有しない者であるときは、「登録実務講習」を受講し修了する必要がある。
3)都道府県知事の登録を受けること
登録を受けるには一定の欠格事由に該当しないことが必要である。
4)宅地建物取引士証の交付を申請すること
宅地建物取引士証の交付を申請する日が宅地建物取引士資格試験に合格した日から1年を超えている場合には、都道府県知事の定める「法定講習」を受講する義務がある。
5)宅地建物取引士証の交付を受けること
氏名、住所、生年月日、有効期間の満了する日等が記載されている宅地建物取引士証の交付を受けて初めて正式に宅地建物取引士となる(氏名において旧姓が併記された宅地建物取引士証の交付を受けた日以降は、書面への記名等の業務において旧姓を使用してよいこととされている)。
宅地建物取引士は、宅地建物の取引の専門家として、購入者等の利益の保護および円滑な宅地建物の流通に資するよう公正誠実に業務を処理するほか、信用・品位を害するような行為をしないこと、必要な知識・能力の維持向上に努めることとされている。
宅地建物取引業法
宅地建物取引の営業に関して、免許制度を実施し、その事業に対し必要な規制を定めた法律。1952年に制定された。
この法律に定められている主な内容は、宅地建物取引を営業する者に対する免許制度のほか、宅地建物取引士制度、営業保証金制度、業務を実施する場合の禁止・遵守事項などである。これによって、宅地建物取引業務の適正な運営、宅地および建物の取引の公正の確保および宅地建物取引業の健全な発達の促進を図ることとされている。
実務経験(宅地建物取引士の登録における〜)
宅地建物取引士として登録する際に必要とされる、宅地建物取引業に従事した経験をいう。
宅地建物取引士資格試験に合格した者が取引士として登録を申請しようとする場合には、原則として宅地建物の取引に関し2年以上の実務の経験を有することが必要とされている。この経験は、免許を受けた宅地建物取引業者としての経験、または宅地建物取引業者のもとで勤務していた経験でなければならず、また、経験として認められる実務は、顧客への説明、物件の調査等の具体的な取引に関する業務であるとされている。
なお、実務経験がない場合でも、国土交通大臣が実務の経験を有する者と同等以上の能力を有すると認めた者は、取引士として登録を申請できることとされている。例えば、宅地または建物の取引に関する実務についての講習であって国土交通大臣の登録を受けたもの(登録実務講習)を修了した者が、これに該当する。
宅地建物取引業者
宅地建物取引業者とは、宅地建物取引業免許を受けて、宅地建物取引業を営む者のことである(宅地建物取引業法第2条第3号)。
宅地建物取引業者には、法人業者と個人業者がいる。
なお、宅地建物取引業を事実上営んでいる者であっても、宅地建物取引業免許を取得していない場合には、その者は宅地建物取引業者ではない(このような者は一般に「無免許業者」と呼ばれる)。
変更の登録(宅地建物取引士の〜)
宅地建物取引士の登録を受けた者は、宅地建物取引士資格登録簿に登載された事項に変更があったときは、変更登録申請書を遅滞なく提出しなければならない。これを変更の登録という。
(詳しくは宅地建物取引士資格登録簿へ)