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最終更新日:2017/12/8

登録の消除(宅地建物取引士の〜)

とうろくのしょうじょ(たくちたてものとりひきしの〜)

宅地建物取引士の登録を受けている者について一定の事情が発生した場合に、都道府県知事が宅地建物取引士の登録を消除すること。

死亡等の届出(宅地建物取引業法第21条)にもとづいて消除する場合と、職権により消除する場合がある。
(詳しくは宅地建物取引士の登録の消除へ)

-- 本文のリンク用語の解説 --

宅地建物取引士

宅地建物取引士資格試験に合格し、都道府県知事の登録を受けて、宅地建物取引士証の交付を受けた者のこと。

一定以上の知識・経験を持つ者として公的に認められた者である。宅地建物取引業者は、事務所ごとに従事者5名に対して1名以上の割合で、専任の宅地建物取引士を置かなければならない(詳しくは宅地建物取引士の設置義務へ)。

宅地建物取引において特に重要な次の3つの業務は、宅地建物取引士だけが行なうことができるとされている(宅地建物取引士ではない者はこれらの業務を行なうことができない)。 1.重要事項説明
2.重要事項説明書への記名・押印
3.37条書面への記名・押印

宅地建物取引士となるためには、具体的には次の1)から5)の条件を満たす必要がある。 1)宅地建物取引士資格試験に合格すること
宅地建物取引業に関して必要な知識に関する資格試験である宅地建物取引士資格試験に合格することが必要である。なお、一定の要件を満たす者については宅地建物取引士資格試験の一部免除の制度がある。
2)都道府県知事に登録を申請すること
この場合、宅地建物取引に関して2年以上の実務経験を有しない者であるときは、「登録実務講習」を受講し修了する必要がある。
3)都道府県知事の登録を受けること
登録を受けるには一定の欠格事由に該当しないことが必要である。
4)宅地建物取引士証の交付を申請すること
宅地建物取引士証の交付を申請する日が宅地建物取引士資格試験に合格した日から1年を超えている場合には、都道府県知事の定める「法定講習」を受講する義務がある。
5)宅地建物取引士証の交付を受けること
氏名、住所、生年月日、有効期間の満了する日等が記載されている宅地建物取引士証の交付を受けて初めて正式に宅地建物取引士となる(氏名において旧姓が併記された宅地建物取引士証の交付を受けた日以降は、書面への記名等の業務において旧姓を使用してよいこととされている)。 宅地建物取引士は、宅地建物の取引の専門家として、購入者等の利益の保護および円滑な宅地建物の流通に資するよう公正誠実に業務を処理するほか、信用・品位を害するような行為をしないこと、必要な知識・能力の維持向上に努めることとされている。

死亡等の届出(宅地建物取引士における)

宅地建物取引士の登録を受けている者について、死亡等の一定の事情が発生した場合に、相続人等の一定の者が知事に対して行なうべき届出のこと。

宅地建物取引士として業務に従事するためには、その前提条件として、都道府県知事より宅地建物取引士の登録を受けることが必要である(宅地建物取引業法第22条の2第1項、第18条第1項)が、この登録を受けた者について死亡等の一定の事情が発生した場合には、その旨を、登録を受けた都道府県知事に対して届出なければならず、この届出を「死亡等の届出」という(法第21条)。

死亡等の届出が提出された場合、都道府県知事はその届出にもとづいて宅地建物取引士の登録を消除しなければならない(法第22条第2号)。

また、死亡等の届出に該当する事由(下記1.および2.の事由)が生じていることが知事において判明した場合には、知事は死亡等の届出が提出されていないときでも、職権により登録を消除しなければならない(法第22条第3号、法第68条の2第1項第1号)。
(詳しくは宅地建物取引士の登録の消除へ)

死亡等の届出を提出すべき事由と提出方法は次の1.および2.のとおりである。

1.死亡した場合
登録を受けた者が死亡した場合は、その者の相続人が、その事実を知った日から30日以内に、登録を受けた知事に対して、宅地建物取引士死亡等届出書(施行規則様式第7号の2)を提出しなければならない(法第21条第1号)。
届出期間は「死亡から30日以内」ではなく「死亡の事実を知った日から30日以内」であることに注意。

2.法第18条第1項第1号から第12号までの欠格事由が生じた場合
登録を受けた者について、宅地建物取引士の登録が不適当とされるような一定の欠格事由(法第18条第1項第1号から第12号までの事由)が発生した場合には、宅地建物取引士の登録を消除する必要がある。
(欠格事由について詳しくは宅地建物取引士の登録の基準へ)
この場合には、原則として本人(欠格事由が「成年被後見人又は被保佐人となったこと」(法第18条第1項第1号)であるときは、届出を行なうのは本人ではなく、後見人または保佐人(法第21条第3号))が、その事実が発生した日から30日以内に、登録を受けた知事に対して、宅地建物取引士死亡等届出書を提出しなければならない(法第21条第3号、法第22条第2号)。

宅地建物取引士の登録の消除

宅地建物取引士の登録を受けている者について一定の事情が発生した場合に、都道府県知事が宅地建物取引士の登録を消除すること。

宅地建物取引士資格試験の合格者が、宅地建物取引士として業務に従事するためには、その前提条件として都道府県知事より宅地建物取引士の登録を受けることが必要である(宅地建物取引業法第22条の2第1項、第18条第1項)。この登録を受けた場合には、氏名、住所等の一定の事項が宅地建物取引士資格登録簿に登載される(法第18条第2項)。

このような宅地建物取引士の登録を受けた者について一定の事情が発生した場合には、届出により、または知事の職権により、宅地建物取引士の登録が消除される(法第22条、法第68条の2)。その場合には、再び登録を受けない限り、宅地建物取引士として業務に従事することはできない(法第22条の2により、登録がない者は宅地建物取引士証の交付を受けることができないため)。
登録が消除されるのは次の場合である。

1.本人から登録の消除の申請があったとき(法第22条第1号)
宅地建物取引士の登録は一度登録すれば生涯にわたり有効であるが、本人の意思により登録を消除することも可能である。

2.法第21条の届出(死亡等の届出)があったとき(法第22条第2号)
死亡等の届出が提出された場合、知事はその届出に基づいて登録を消除しなければならない(詳しくは死亡等の届出へ)。

3.死亡したとき
死亡の事実が判明したときは、都道府県知事は職権により登録を消除しなければならない。
本来は、相続人が上記2.の「死亡等の届出」(法第21条)を提出すべきであるが、この届出がない場合であっても、知事は職権により登録を消除しなければならない(法第22条第3号)。

4.死亡以外の理由で、法第21条の届出(死亡等の届出)を提出すべき事由が発生したとき(法第22条第3号、法第68条の2第1項第1号、法第68条の2第2項第1号)
死亡以外の理由で「死亡等の届出」を提出すべき事由が発生した場合(すなわち法第18条第1項第1号から第5号の2までの登録の欠格事由が生じた場合)については、上記3.と同様の扱いである。
従って、知事に対してその旨の届出が提出されないときでも、知事は職権により登録を消除しなければならない。
(登録の欠格事由について詳しくは宅地建物取引士の登録の基準へ)

5.宅地建物取引士資格試験の合格が取消されたとき(法第22条第4号、法第17条第1項、第2項)

6.不正の手段により宅地建物取引士の登録を受けたとき(法第68条の2第1項第2号、第2項第2号)

7.不正の手段により宅地建物取引士証の交付を受けたとき(法第68条の2第1項第3号)

8.法第68条第1項各号の事由(指示処分の対象となる事由)に違反し、特に情状が重いとき(法第68条の2第1項第4号)

9.法第68条第2項・第4項にもとづく事務の禁止の処分を受けて、その事務の禁止の処分に違反したとき(法第68条の2第1項第4号)

10.宅地建物取引士証の交付を受けていない者が、宅地建物取引士としてすべき事務を行ない、情状が特に重いとき(法第68条の2第2項第3号)

上記5.から10.までの場合には、知事は職権により登録を消除しなければならない。
また上記6.から10.までは、宅地建物取引士としての不正行為・不当行為(法第68条第1項第2号、第3号、第4号)などがあったことに由来する知事の監督処分である。このような意味で、6.から10.までの登録消除を、特に「登録消除処分」と呼ぶことがある。