被災市街地復興推進地域
ひさいしがいちふっこうすいしんちいき
大規模な災害により被害を受けた市街地の復興を推進するために定められる地域。
平成7年に制定された被災市街地復興特別措置法に基づいて市町村が指定する地域である。
被災市街地復興推進地域は、次の要件に該当する市街地の区域について、市町村の都市計画で指定される(被災市街地復興特別措置法第5条、都市計画法第10条の4、都市計画法第15条)。
1.大規模な火災、震災等により相当数の建築物が滅失したこと
2.公共施設の整備状況、土地利用の動向から見て不良な街区の環境が形成される恐れがあること
3.緊急かつ健全な復興のため、土地区画整理事業、公共施設の整備事業等を実施する必要があること
このような要件を満たす区域について、被災市街地復興推進地域が指定された場合には、地域内の土地において、建築行為等が厳しく制限され、土地の造成・建築物の建築等には知事(または市長)の許可が必要となる(被災市街地復興特別措置法第7条)。
また、この知事(または市長)の許可が得られないために土地所有者に著しい支障が生ずる場合には、都道府県・市町村等は当該土地を時価で買い取るべきものとされている(被災市街地復興特別措置法第8条)。
都市計画
土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業に関する計画であって、都市計画の決定手続により定められた計画のこと(都市計画法第4条第1号)。
具体的には都市計画とは次の1.から11.のことである。
1.都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画法第6条の2)
2.都市再開発方針等(同法第7条の2)
3.区域区分(同法第7条)
4.地域地区(同法第8条)
5.促進区域(同法第10条の2)
6.遊休土地転換利用促進地区(同法第10条の3)
7.被災市街地復興推進地域(同法第10条の4)
8.都市施設(同法第11条)
9.市街地開発事業(同法第12条)
10.市街地開発事業等予定区域(同法第12条の2)
11.地区計画等(同法第12条の4)
注:
・上記1.から11.の都市計画は、都市計画区域で定めることとされている。ただし上記8.の都市施設については特に必要がある場合には、都市計画区域の外で定めることができる(同法第11条第1項)。
・上記4.の地域地区は「用途地域」「特別用途地区」「高度地区」「高度利用地区」「特定街区」「防火地域」「準防火地域」「美観地区」「風致地区」「特定用途制限地域」「高層住居誘導地区」などの多様な地域・地区・街区の総称である。
・上記1.から11.の都市計画は都道府県または市町村が定める(詳しくは都市計画の決定主体へ)。
都市計画法
都市計画に関する制度を定めた法律で、都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることを目的として、1968(昭和43)年に制定された。
この法律は、1919(大正8)年に制定された旧都市計画法を受け継ぐもので、都市を計画的に整備するための基本的な仕組みを規定している。
主な規定として、都市計画の内容と決定方法、都市計画による規制(都市計画制限)、都市計画による都市整備事業の実施(都市計画事業)などに関する事項が定められている。
建築物
建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。
これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。
1.屋根と柱または壁を有するもの
2.上記に付属する門や塀
3.以上のものに設けられる建築設備
上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。
なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。
土地区画整理事業
市街地を面的に整備するために、土地の区画形質の変更や公共施設の整備を行なう事業の一つで、土地区画整理法に従って実施されるものをいう。
この事業の実施によって、例えば、不整形な土地や袋地が解消され、道路や公園が整備されることとなる。
土地区画整理事業の特徴は、
1.権利変換による土地の交換・分合(換地)という手法を採用すること
2.新たに必要となる公共用地を土地所有者が平等に提供するという仕組み(減歩)によって生み出すこと
である。
また、事業によって宅地の評価が増価するが、その一部を事業に充てるという受益者負担の考え方が取り入れられていることも大きな特徴である。
日本においては、農地から市街地への土地利用の計画的な転換、大震災後の市街地復興、街路網の整備などの手法として多用されてきた。