市街地開発事業等予定区域の区域内の制限
しがいちかいはつじぎょうとうよていくいきのくいきないのせいげん
都市計画の告示があった日から、市街地開発事業等予定区域において適用される制限のこと。
なお、「施行予定者」が定められている都市施設、「施行予定者」が定められている市街地開発事業についても同一の制限が適用される(詳しくは下記7.へ)。
1.趣旨
市街地開発事業等予定区域の都市計画が告示されると、その告示の日から3年以内に都市施設または市街地開発事業に関する「本来の都市計画」が決定される。さらにその後2年以内に、都市計画事業の認可が申請されなければならない。
従って、市街地開発事業等予定区域では早い時期に、都市施設整備事業・市街地開発事業に係る工事等が実際に開始される。
そこで、市街地開発事業等予定区域では、こうした近い将来の事業の実行に対して障害となる恐れのある行為を厳しく制限することにしているのである。
2.制限のあらまし
都市計画の告示があった日以降、次の1)および2)の制限が課せられる。その反面、次の3)により土地所有者は土地の買い取りを要求することができる。
1)建築物の建築、工作物の建設、土地の形質変更の制限(下記3.4.へ)
2)施行予定者による「土地建物等の先買い」(下記5.へ)
3)土地所有者から施行予定者に対する「土地の買取請求」(下記6.へ)
3.建築物の建築、工作物の建設、土地の形質変更の制限
都市計画の告示があった日以降、建築・建設・土地の形質変更を行なうには知事(指定都市等では市長)の許可が必要である(都市計画法第52条の2第1項)。この許可について次の点が重要である。
1)建築物の建築には知事(指定都市等では市長)の許可が必要。なお、ここでいう「建築」とは「新築、増築、改築、移転」を指す(都市計画法第4条第10項)。
2)工作物の建設、土地の形質変更(宅地造成等)にも知事(指定都市等では市長)の許可が必要。
3)容易に移転除却ができる建築物や都市計画に適合した建築物であっても、知事(指定都市等では市長)は建築を不許可とすることができる。
4)軽易な行為などを行なう場合には、知事(指定都市等では市長)の許可は不要(下記5.へ)。
4.許可が不要とされる要件
管理行為・軽易な行為、非常災害のため応急措置として行なう行為、都市計画事業の施行として行なう行為については、許可が不要である(都市計画法第52条の2第1項但書)。
管理行為・軽易な行為としては、「車庫、物置その他これらに類する附属建築物(木造で2階以下かつ地階を有しないものに限る)の改築または移転」などが定められている(都市計画法施行令第36条の2)。
5.土地建物等の先買い
土地建物等の有償譲渡(※)をしようとする者は、事前に施行予定者(国の機関・都道府県・市町村・その他の者)に届出をしなければならない。施行予定者は、この届出のあった土地建物等を優先的に買い取ることができる。
この先買い制度は、施行予定者が先買い制度に関する公告を行なった日の翌日から10日を経過した日から適用される(都市計画法第52条の3)。
(※)ここでいう「土地建物等の有償譲渡」とは「土地の有償譲渡」または「土地と建築物等を一体とした有償譲渡」を指す。従って、建築物のみを有償譲渡する場合には、先買い制度は適用されない。また有償譲渡とは「売却」「交換」を指す。
6.土地の買取請求
土地所有者は、施行予定者(国の機関・都道府県・市町村・その他の者)に対して、土地を時価で買い取るべきことを、いつでも請求できる。
ただし、その土地に建築物・工作物・立木法により登記された立木がある場合には、この買取請求ができない。また、その土地に他人の権利(地上権・賃借権・抵当権など)が設定されている場合にも、この買取請求ができない(都市計画法第52条の4)。
7.「施行予定者」が定められている都市施設・市街地開発事業について
「施行予定者」が定められている都市施設、「施行予定者」が定められている市街地開発事業については、都市計画法第60条の2第1項の規定により、都市計画の告示から2年以内に都市計画事業の認可を申請しなければならない。このため、厳しい制限を課す必要があるので、上記2.から6.とまったく同一の制限が課せられている(都市計画法第57条の2から第57条の5まで)。
(なお、施行予定者が定められていない都市施設・市街地開発事業については「都市計画施設の区域内の制限」「市街地開発事業の施行区域内の制限」を参照のこと)
都市計画の告示
都市計画の効力を発生させるための告示のこと。都市計画法第20条第1項の規定に基づく告示である。「都市計画決定の告示」とも呼ばれる。
都市計画の告示は、詳細な都市計画の決定手続を経た後に最終的に告示されるものである。
都市計画の告示のあった日から、都市計画が効力を生ずることとされている(都市計画法第20条第3項)。
また、この都市計画の告示のあった日から、都市計画施設の区域内の制限、市街地開発事業の施行区域内の制限、市街地開発事業等予定区域の区域内の制限などが適用されるという効果が生ずる。
市街地開発事業等予定区域
市街地開発事業や都市施設に関する都市計画が将来的に策定されることが予定されている区域のこと。
具体的には、次の6種類の予定区域が法定されている(都市計画法第12条の2)。
1.新住宅市街地開発事業の予定区域
2.工業団地造成事業の予定区域
3.新都市基盤整備事業の予定区域
4.区域の面積が20ha以上の一団地の住宅施設の予定区域
5.一団地の官公庁施設の予定区域
6.流通業務団地の予定区域
1)予定区域の趣旨
市街地開発事業等予定区域とは、3年以内に「市街地開発事業に関する都市計画」または「都市施設に関する都市計画」(以下「本来の都市計画」と呼ぶ)が決定される区域である。
つまり、市街地開発事業等予定区域は、「本来の都市計画」が決定されるまでの暫定的な区域であるということができる。
通常の場合、事業や施設に関する都市計画を決定するまでには詳細な計画策定が必要であるが、その策定期間内に買い占めや、無秩序な開発などの現象が発生する恐れある。そこで、先に「予定区域」を定めることによって、そうした問題を回避することが意図されている。なお、予定区域を定める主体は都道府県である(都市計画法第15条第1項第7号)。
2)予定区域から本来の都市計画への移行
上記1)で述べたように予定区域は、あくまで暫定的な区域であるので、本来の都市計画への移行が法律で義務付けられている。具体的には、予定区域に関する都市計画の告示があった日から3年以内に、市街地開発事業または都市施設に関する都市計画(本来の都市計画)を定めなければならない(都市計画法第12条の2第4項)。
3年以内に本来の都市計画が決定されると、その後2年以内に都市計画事業の認可の申請がされて、いよいよ市街地開発事業や施設の整備事業が実際に施行されることになる(都市計画法第60条の2)。
3)予定区域から本来の都市計画へ移行しなかったとき
もしも3年以内に本来の都市計画が定められないときは、予定区域は効力を失う(都市計画法第12条の2第5項)。
このようにして予定区域が効力を失ったことにより損害を受けた土地所有者等がある場合には、本来の都市計画の決定をすべき者(原則として都道府県)がその損失を補償しなければならない(都市計画法第52条の5第1項)。
4)施行予定者
予定区域では「施行予定者」を必ず定めなければならない(都市計画法第12条の2第3項)。施行予定者とは、市街地開発事業や施設の整備事業を将来的に施行する予定の者であり、国の機関・地方公共団体・そのほかの者から選ばれる(都市計画法第12条の2第3項)。
この予定区域における施行予定者は、上記2)のように「本来の都市計画」が決定される際には、「本来の都市計画」における施行予定者へとそのまま移行する(都市計画法第12条の3)。
5)予定区域内での建築等の制限
上記1)で述べたように、予定区域では開発・買い占めなどを防止する必要があるので、予定区域内では建築物の建築等が厳しく制限される(詳しくは市街地開発事業等予定区域の区域内の制限へ)。
6)市街地開発事業に関する予定区域を定めることができる土地
市街地開発事業に関する予定区域(上記1.2.3.)については、市街化区域または区域区分が定められていない都市計画区域(いわゆる非線引き区域)においてのみ定めることができる(都市計画法第13条第1項第13号)。
都市施設
都市施設とは、道路、公園、上下水道など都市において必要となる公共的な施設のことである。
1.都市施設の種類
都市計画法では、都市施設として、次の11種類の施設を定めている(都市計画法第11条1項)。
1)道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設
2)公園、緑地、広場、墓園その他の公共空地
3)水道、電気供給施設、ガス供給施設、下水道、汚物処理場、ごみ焼却場その他の供給施設または処理施設
4)河川、運河その他の水路
5)学校、図書館、研究施設その他の教育文化施設
6)病院、保育所その他の医療施設または社会福祉施設
7)市場、と畜場または火葬場
8)一団地(50戸以上)の住宅施設
9)一団地の官公庁施設
10)流通業務団地
11)電気通信事業用の施設その他(施行令第5条)
2.都市施設を定める基準
都市施設を都市計画で決定する際には、次の基準が設けられている。
1)市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域(いわゆる非線引き区域)では、必ず、道路、公園、下水道を定めなければならない(都市計画法第13条第1項第11号)。
2)住居系の用途地域内では、必ず義務教育施設を定めなければならない(都市計画法第13条第1項第11号)。ちなみに住居系の用途地域とは、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域を指す。
3)都市施設は原則として都市計画区域内で定めるが、特に必要があるときは、都市計画区域の外で定めることもできる(都市計画法第11条第1項)。
3.都市施設を定める主体
都市施設を都市計画として決定する主体は、原則として「市町村」である。ただし、広域的見地から決定すべき都市施設、根幹的都市施設については「都道府県」が決定主体となる。
具体的には、国道、都道府県道、4車線以上の道路、流域下水道、産業廃棄物処理施設等は「都道府県」が決定する(都市計画法第15条第1項第5号、同施行令第9条第2項)。
4.建築の制限
都市計画として決定された都市施設(これを「都市計画施設」という)の区域では、都市施設を実際に整備する事業が進行するので、その整備の事業の妨げになるような建物の建築は厳しく制限される(詳しくは都市計画施設の区域内の制限へ)。
5.施行予定者を定めるとき
「一団地の住宅施設(ただし面積が20ha以上のものに限る)」、「一団地の官公庁施設」、「流通業務団地」については、都市施設に関する都市計画で「施行予定者」を定めることが可能である(都市計画法第11条第5項)。
都市施設に「施行予定者」を定めた場合には、原則として2年以内に都市計画事業の認可を申請しなければならない(都市計画法第60条の2)。
また、いったん施行予定者を定めた以上は、施行予定者を定めないものへと計画を変更することは許されない(都市計画法第11条第6項)。
市街地開発事業
市街地を開発または整備する事業のこと。
具体的には、都市計画法第12条に掲げられた次の6種類の事業を「市街地開発事業」と呼ぶ。
1.都市再開発法 による「市街地再開発事業」
2.大都市地域における住宅および住宅地の供給の促進に関する特別措置法による「住宅街区整備事業」
3.土地区画整理法による「土地区画整理事業」
4.新住宅市街地開発法による「新住宅市街地開発事業」
5.首都圏の近郊整備地帯および都市開発区域の整備に関する法律による「工業団地造成事業」または近畿圏の近郊整備区域および都市開発区域の整備及び開発に関する法律による「工業団地造成事業」
6.新都市基盤整備法 による「新都市基盤整備事業」
1)市街地開発事業の決定主体
市街地開発事業は、市街地を開発・整備する事業であり、原則として都道府県知事が主体となって都市計画として決定する(ただし比較的小規模な「市街地再開発事業」「住宅街区整備事業」「土地区画整理事業」については市町村が決定する(都市計画法施行令第10条)。
2)市街地開発事業を定めることができる土地
市街地開発事業は、市街化区域または区域区分が定められていない都市計画区域(いわゆる非線引き区域)においてのみ定めることができる(都市計画法第13条第1項第13号)。
3)建築等の制限
市街地開発事業が都市計画として決定されると、その市街地開発事業が実行される土地(これを「市街地開発事業の施行区域」という)では、その事業の妨げになるような建築物の建築等が厳しく制限される(詳しくは市街地開発事業の施行区域内の制限へ)。
4)施行予定者を定めたとき
上記4.5.6.の市街地開発事業については、都市計画で「施行予定者」を定めることが可能である(都市計画法第12条第5項)。
「施行予定者」を定めた場合には、原則として2年以内に都市計画事業の認可を申請しなければならない(都市計画法第60条の2)。
また、いったん施行予定者を定めた以上は、施行予定者を定めないものへと計画を変更することは許されない(都市計画法第12条第6項)。
都市計画
土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業に関する計画であって、都市計画の決定手続により定められた計画のこと(都市計画法第4条第1号)。
具体的には都市計画とは次の1.から11.のことである。
1.都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画法第6条の2)
2.都市再開発方針等(同法第7条の2)
3.区域区分(同法第7条)
4.地域地区(同法第8条)
5.促進区域(同法第10条の2)
6.遊休土地転換利用促進地区(同法第10条の3)
7.被災市街地復興推進地域(同法第10条の4)
8.都市施設(同法第11条)
9.市街地開発事業(同法第12条)
10.市街地開発事業等予定区域(同法第12条の2)
11.地区計画等(同法第12条の4)
注:
・上記1.から11.の都市計画は、都市計画区域で定めることとされている。ただし上記8.の都市施設については特に必要がある場合には、都市計画区域の外で定めることができる(同法第11条第1項)。
・上記4.の地域地区は「用途地域」「特別用途地区」「高度地区」「高度利用地区」「特定街区」「防火地域」「準防火地域」「美観地区」「風致地区」「特定用途制限地域」「高層住居誘導地区」などの多様な地域・地区・街区の総称である。
・上記1.から11.の都市計画は都道府県または市町村が定める(詳しくは都市計画の決定主体へ)。
建築物
建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。
これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。
1.屋根と柱または壁を有するもの
2.上記に付属する門や塀
3.以上のものに設けられる建築設備
上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。
なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。
建築
「建築物を新築し、増築し、改築し、または移転すること」と定義されている(建築基準法第2条第13号)。
工作物
土地に定着する人工物のすべてを指す。従って、建物だけでなく、広告塔なども「工作物」である。
工作物のうち、建築物は当然建築基準法の対象になる。
広告塔などは、本来建築基準法の対象外のはずだが、一定以上の規模のものは、建築確認の申請が必要であり、建築物と同じように扱われる。
具体的には次の工作物である(建築基準法第88条・施行令第138条)。
1.高さが2mを超える擁壁(ようへき)
2.高さが4mを超える広告塔
3.高さが6mを超える煙突
4.高さが8mを超える高架水槽
5.高さが15mを超える鉄柱 など
都市計画法
都市計画に関する制度を定めた法律で、都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることを目的として、1968(昭和43)年に制定された。
この法律は、1919(大正8)年に制定された旧都市計画法を受け継ぐもので、都市を計画的に整備するための基本的な仕組みを規定している。
主な規定として、都市計画の内容と決定方法、都市計画による規制(都市計画制限)、都市計画による都市整備事業の実施(都市計画事業)などに関する事項が定められている。
地上権
工作物又は竹林を所有する目的で、他人の土地を使用する権利のこと(民法第265条)。
土地賃借権と地上権は非常によく似ているが、次のような違いがある。
1.土地賃借権は債権だが、地上権は物権である
2.地上権は、土地所有者の承諾がなくても、他人に譲渡することができる。
3.地上権を設定した土地所有者には登記義務があるので、地上権は土地登記簿に登記されているのが一般的である。
賃借権
賃貸借契約によって得られる借主の権利をいう。
借主は契約の範囲で目的物を使用し収益できる一方、貸主に賃料を支払わなければならない。民法上、債権とされる。
賃借権は債権であるので、
1.登記しなければ第三者に対抗できない(賃貸人に登記義務はなく、登記がなければ対抗要件を欠くので、例えば目的物が譲渡されると新たな所有者は賃借権に拘束されない)
2.賃貸人の承諾なしに賃借権の譲渡・転貸ができない(承諾なしに第三者に使用・収益させたときには賃貸人は契約を解除できる)
など、物権に比べて法的な効力は弱い。
しかし、不動産の賃借権は生活の基盤であるため、賃借人の保護のために不動産の賃借権について特別の扱いを定めている(賃借権の物権化)。
すなわち、対抗力については、借地に関してはその上の建物の保存登記、借家に関しては建物の引渡しによって要件を満たすこととした。また、譲渡・転貸の承諾については、借地に関しては、建物買取請求権を付与し、さらには裁判所による承諾に代わる譲渡等の許可の制度を設け、借家に関しては造作買取請求権を付与した(いずれも強行規定である)。
そのほか、契約の更新拒絶や解約において貸主の正当事由を要件とすることを法定化し、判例においては、賃借権の無断譲渡・転貸を理由とした契約解除を厳しく制限する、賃借権にもとづく妨害排除請求権を承認するなど賃借人保護に配慮している。
一方で、借地借家の供給促進の観点から定期借地権、定期借家権が創設され、賃借権の多様化が進みつつある。
抵当権
債権を保全するために、債務者(または物上保証人)が、その所有する不動産に設定する担保権のこと。債務者(または物上保証人)がその不動産の使用収益を継続できる点が不動産質と異なっている。
債権が弁済されない場合には、債権者は抵当権に基づいて、担保である不動産を競売に付して、その競売の代金を自己の債権の弁済にあてることができる。
都市計画施設の区域内の制限
都市計画の告示があった日から、都市計画で定められた都市施設の区域(※)において適用される建築制限のこと。
(※「都市計画で定められた都市施設の区域」は、「都市計画施設の区域」と呼ばれる(都市計画法第4条第6項)。例えば、新たに道路を作るという都市計画が告示された場合、その予定されている道路の敷地が「都市計画で定められた都市施設の区域」に該当し、「都市計画施設の区域」と呼ばれる)
1.趣旨
都市計画の告示(都市計画法第20条第1項)により都市施設の都市計画が正式に効力を生ずると、その都市施設の区域内では、近い将来において都市施設を実際に整備する工事等が実行されることとなる。
そこで、こうした将来の整備事業の実行に対して障害となる恐れのある行為(建築行為)は原則的に禁止しておくのが望ましい。このような理由により、都市計画の告示の日以降は、都市施設の区域では下記2.ら6建築制限が適用されるのである。
(なお、市街地開発事業の区域でも下記2.ら6同一の建築制限が行なわれる。「市街地開発事業の施行区域内の制限」参照)
2.建築制限のあらまし
都市計画の告示があった日以降、都市計画で定められた都市施設の区域において、建築物を建築するためには知事(指定都市等では市長)の許可が必要である(都市計画法第53条第1項)。この許可について次の点が重要である。
1)建築物の建築には許可が必要。ここで建築とは「新築、増築、改築、移転」を指す(都市計画法第4条第10項)。
2)土地の形質変更(宅地造成等)は許可が不要。工作物の建設も許可が不要。
3)容易に移転除却ができる建築物や都市計画に適合した建築物については、知事(指定都市等では市長)は必ず建築を許可しなければならない(下記3.へ)。
4)軽易な行為などを行なう場合には、知事(指定都市等では市長)の許可は不要(下記4.へ)。
5)知事(指定都市等では市長)が指定した土地(これを「事業予定地」という)では、上記3)が適用されない(下記5.へ)
6)都市施設の都市計画に「施行予定者」が定められている場合には、さらに厳しい制限が課せられる(下記6.へ)
3.建築が許可される要件
都市計画で定められた都市施設の区域で適用される建築制限は、将来の都市施設の整備の事業において障害になるような建築を排除する趣旨であるので、障害にならない建築については知事(指定都市等では市長)は必ず許可をしなければならない。具体的には、次の1)または2)のどちらか一方に該当すれば必ず許可される(都市計画法第54条)。
1)都市計画に適合すること(都市施設に関する都市計画に適合しているような建築は排除する必要がないので、許可される)
2)建築しようとする建築物の主要構造部が木造・鉄骨造等で、階数が2階以下で地階を有しないものであり、かつ容易に移転しまたは除却できること(木造・鉄骨造等とは「木造、鉄骨造、コンクリートブロック造、その他これらに類する構造」を指す。すなわち移転除却が容易な構造のこと)
4.建築許可が不要とされる要件
管理行為、軽易な行為、非常災害のため応急措置として行なう行為、都市計画事業の施行として行なう行為については、建築の許可が不要である(都市計画法第53条第1項)(軽易な行為として、「木造で階数が2以下で地階を有しない建築物の改築」「木造で階数が2以下で地階を有しない建築物の移転」が定められている(都市計画法施行令第37条))。
5.事業予定地について
都市施設の区域内において、知事(指定都市等では市長)が指定した土地を「事業予定地」という(都市計画法第55条第1項)。この事業予定地では、上記3.の要件を満たす建築であっても不許可となる場合がある(詳しくは事業予定地内の制限へ)。
6.施行予定者が定められている場合について
都市施設の都市計画において「施行予定者」が定められている場合には、さらに厳しい制限が課せられる(詳しくは市街地開発事業等予定区域の区域内の制限へ)。
市街地開発事業の施行区域内の制限
都市計画の告示があった日から、都市計画で定められた市街地開発事業の施行区域において適用される建築制限のこと。
(市街地開発事業の「施行区域」とは、市街地開発事業が実行される予定の区域という意味であり、市街地開発事業の「地理的な範囲」を指す言葉である(都市計 画法第12条第2項)。この「施行区域」において実際に工事等が開始されるのは、都市計画事業の認可を受けた日以降である。)
1.趣旨
都市計画の告示(都市計画法第20条第1項)により市街地開発事業の都市計画が正式に効力を生ずると、その市街地開発事業の施行区域内では、近い将来において市街地開発事業に関する工事等が実行されることとなる。
そこで、こうした将来の事業の実行に対して障害となる恐れのある行為(建築行為)は原則的に禁止しておくのが望ましい。このような理由により、都市計画の告示の日以降は、市街地開発事業の施行区域では下記2.から6.の建築制限が適用されるのである。
(なお、都市施設の区域でも下記2.から6.と同一の建築制限が行なわれる。「都市計画施設の区域内の制限」参照)
2.建築制限のあらまし
都市計画の告示があった日以降、市街地開発事業の施行区域において、建築物を建築するためには知事(指定都市等では市長)の許可が必要である(都市計画法第53条第1項)。この許可について次の点が重要である。
1)建築物の建築には許可が必要。ここで建築とは「新築、増築、改築、移転」を指す(都市計画法第4条第10項)。
2)土地の形質変更(宅地造成等)は許可が不要。工作物の建設も許可が不要。
3)容易に移転除却ができる建築物や都市計画に適合した建築物については、知事(指定都市等では市長)は必ず建築を許可しなければならない(下記3.へ)。
4)軽易な行為などを行なう場合には、知事(指定都市等では市長)の許可は不要(下記4.へ)。
5)知事(指定都市等では市長)が指定した土地(これを「事業予定地」という)では、上記ウ)が適用されない(下記5.へ)。
6)市街地開発事業の都市計画に「施行予定者」が定められている場合には、さらに厳しい制限が課せられる(下記6.へ)。
3.建築が許可される要件
市街地開発事業の施行区域内の建築制限は、将来の事業の実行において障害になるような建築を排除する趣旨であるので、障害にならない建築については知事(指定都市等では市長)は必ず許可をしなければならない。
具体的には、次の1)または2)のどちらか一方に該当すれば必ず許可される(都市計画法第54条)。
1)都市計画に適合すること(市街地開発事業に関する都市計画に適合しているような建築は排除する必要がないので、許可される)
2)建築しようとする建築物の主要構造部が木造・鉄骨造等で、階数が2階以下で地階を有しないものであり、かつ容易に移転しまたは除却できること(木造・鉄骨造等とは「木造、鉄骨造、コンクリートブロック造、その他これらに類する構造」を指す。すなわち移転除却が容易な構造のことである)
4.建築許可が不要とされる要件
管理行為、軽易な行為(※)、非常災害のため応急措置として行なう行為、都市計画事業の施行として行なう行為については、建築の許可が不要である(都市計画法第53条第1項)。
(※軽易な行為として「木造で階数が2以下で地階を有しない建築物の改築」「木造で階数が2以下で地階を有しない建築物の移転」が定められている)
5.事業予定地について
4種類の市街地開発事業の施行区域内の土地はすべて「事業予定地」と呼ばれる(都市計画法第55条第1項)(※1)。この事業予定地では、上記3.の要件を満たす建築であっても不許可となる場合がある(詳しくは事業予定地内の制限へ)。
(※1 4種類の市街地開発事業とは「市街地再開発事業」「住宅街区整備事業」「新住宅市街地開発事業」「工業団地造成事業」)
6.施行予定者が定められている場合について
市街地開発事業の都市計画において「施行予定者」が定められている場合には、さらに厳しい制限が課せられる(詳しくは市街地開発事業等予定区域の区域内の制限へ)。