抵当権
ていとうけん
債権を保全するために、債務者(または物上保証人)が、その所有する不動産に設定する担保権のこと。債務者(または物上保証人)がその不動産の使用収益を継続できる点が不動産質と異なっている。
債権が弁済されない場合には、債権者は抵当権に基づいて、担保である不動産を競売に付して、その競売の代金を自己の債権の弁済にあてることができる。
債権
私法上の概念で、ある人(債権者)が、別のある人(債務者)に対して一定の給付を請求し、それを受領・保持することができる権利をいう。
財産権の一つであり、物権とともにその主要部分を構成する。
物上保証人
ある人(A)が他の人(B)に対して債権を有している場合に、Aが債権を保全する手段の一つとして、「第三者(C)の財産に対してAが抵当権を付ける」ことがある。
これは第三者Cが、Cの財産をBのために差し出すということであり、このような方法による債権の担保を「物上保証」という。また、このときのCを「物上保証人」という。
不動産
不動産とは「土地及びその定着物」のことである(民法第86条第1項)。
定着物とは、土地の上に定着した物であり、具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。また土砂は土地そのものである。
使用収益
私法上の概念で、物を直接に利活用して利益・利便を得ることをいう。
使用収益するためには、その物を直接に支配する権利(物権)が必要である。
不動産質
不動産に質権を設定することを不動産質という。
不動産質権を取得した債権者(=不動産質権者という)は、不動産を使用収益して利益を上げることができるが、その反面、債権の利息を債務者に請求することができないという特徴がある。ただし、当事者がこれと異なる特約をした場合には特約が優先する(民法第356条から第359条)。
また、不動産質権の存続期間は10年以内とされており、存続期間終了時には10年以内の期間で更新することができる(民法第360条)。
競売
債権者が裁判所を通じて、債務者の財産(不動産)を競りにかけて、最高価格の申出人に対して売却し、その売却代金によって債務の弁済を受けるという制度のこと。
関連用語
抵当権の効力の及ぶ範囲
抵当権は抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(抵当不動産)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び債務者の行為について第424条第3項に規定する詐害行為取消請求をすることができる場合は、この限りでない(民法第370条)。
従って、抵当権にもとづいて不動産を競売する場合には、付属している物や権利も一緒に競売されることとなる。