最終更新日:2023/12/5
被保佐人
ひほさにん精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる(民法第11条)。
家庭裁判所は、保佐開始の審判をするときは、職権で、保佐人を選任する(民法第876条の2)。
こうした手続きにより保佐人を付けられた者のことを「被保佐人」と呼ぶ。
保佐とは「たすける」という意味である。
この「被保佐人」の制度は、2000(平成12)年の民法改正によって創設されたもので、それ以前は「準禁治産者」という名称であった。
被保佐人は、財産に関わる重要な法律行為(不動産売買や不動産賃貸借など)を自分だけでは有効に行なうことができない。
こうした重要な法律行為を行なうには保佐人の同意が必要であり、もし保佐人の同意を得ないで重要な法律行為を行なった場合には、後でその法律行為を取り消すことが可能である。
ただし重要でない法律行為や、日用品の購入などは有効に自分だけで行なうことができる(民法第13条)。
従って、被保佐人との契約を行なうには、その保佐人の同意を必ず取得するべきである。
保佐人
保佐とは「たすける」という意味である。
保佐人は、重要な財産行為などについて同意する権限を持つ(民法12条)。
準禁治産者
2000(平成12)年に民法が改正・施行されたため、この準禁治産者の制度は次のように改められた。 1.準禁治産者の制度は、成年後見制度である保佐人へと移行した(被保佐人を参照のこと)。
2.上記1.の際に、単なる浪費者は被保佐人の範囲から除外された。
3.ただし、旧民法第11条により準禁治産者であった者は、改正法施行後も準禁治産者として扱われる。
法律行為
なお、意思表示は法律行為の主要な要素であるとされている。
不動産
定着物とは、土地の上に定着した物であり、具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。また土砂は土地そのものである。
賃貸借
民法では、あらゆる賃貸借契約について、 1.契約期間は最長でも50年を超えることができない、2.存続期間の定めがない場合にはいつでも解約の申し出ができる、3.賃貸人の承諾がない限り賃借人は賃借権の譲渡・転貸ができない、4.目的物が不動産の場合には賃借人は登記がない限り第三者に対抗できない 等と規定している。
しかしながら、不動産の賃貸借は通常は長期にわたり、また、居住の安定を確保するために賃借人を保護すべしという社会的な要請も強い。そこで、不動産の賃貸借については、民法の一般原則をそのまま適用せず、その特例として、 1.契約期間を延長し借地については最低30年とする、2.契約の更新を拒絶するには正当事由を必要とする、3.裁判所の許可による賃借権の譲渡を可能にする、4.登記がない場合にも一定の要件のもとで対抗力を認める 等の規定を適用することとされている(借地借家法。なお、契約期間等については、定期借地権など特別の契約について例外がある)。
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる(民法第7条)。
後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する(民法第8条)。
家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する(民法第843条)。
こうした手続きにより後見人を付けられた者のことを「成年被後見人」と呼ぶ。
また、成年被後見人に付けられる後見人は「成年後見人」と呼ばれる。この「成年被後見人」の制度は、2000(平成12)年の民法改正によって創設されたもので、それ以前は「禁治産者」という名称であった。
成年被後見人は法律行為を有効に行なうことができないものとされているので、どんな法律行為でも原則的に後で取り消すことが可能である(ただし日用品の購入などは有効に自分で行なうことができる)(民法第9条)。
従って、成年被後見人との契約を行なうには、その成年後見人を代理人として契約を行なうべきである(民法第859条)。
精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる(民法第15条)。
家庭裁判所は、補助開始の審判をするときは、職権で、補助人を選任する(民法第876条の7)。
こうした手続きにより補助人を付けられた者のことを「被補助人」と呼ぶ。
この「被補助人」の制度は、精神上の障害の程度が軽微な人について、法律行為を円滑に行なうことができるように、2000(平成12)年の民法改正によって創設された制度である。
被補助人は、精神上の障害の程度が軽微であるので、重要な法律行為であっても基本的には単独で有効に行なうことができるが、家庭裁判所が必要と判断した場合には、特定の重要な法律行為について、補助人の同意が必要とされたり、補助人が法律行為を代理する場合がある(民法第17条、第876条の9)。
どのような法律行為について「同意」や「代理」を必要とするかは、本人、配偶者、親族などの請求によって家庭裁判所が審判する(民法第17条、第876条の9)。
従って、被補助人との契約を行なうには、その補助人と事前に協議するべきである。