最終更新日:2019/9/18
SPC
えすぴーしーSpecial Purpose Company(スペシャル パーパス カンパニー)の略。特定の資産を担保にした証券の発行など、限定された目的のために設立された法人をいい、一般に「特別目的会社」と訳されている。また、狭義には、「資産の流動化に関する法律(資産流動化法又はSPC法)」によって設立される「特定目的会社」(TMKと略称されることがある)をさす場合もある。
不動産の証券化においては、SPCは、流動化の対象となる不動産を保有・管理し、それを裏付けに資金を調達することのみを目的に設立される。この場合、SPCの中心的な機能は、証券化に際して、二重課税の回避、倒産隔離等を可能とする特別の器としての働きであり、会社と称するが実体のないペーパーカンパニーである。通常、SPCが保有する資産の管理処分、投資家からの資金調達などの実際の業務は、一定の条件を満たす実務会社に委託される。
なお、SPCは、不動産の証券化など資産を流動化するための法人のほか、PFI事業など責任を限定した特定の事業を行なうための会社も含む広い意味で使われる場合もある。
SPCの形態は、資産流動化法に基づき設立される社団のほか、会社法に基づく合同会社の場合が多い。
特別目的会社
通常の会社と違って、利益を得ることを目的としない。資産の流動化に関する法律(資産流動化法)による「特定目的会社」のほか、定款で事業目的を限定した株式会社形態のものがある。特定目的会社を含むが、もっと幅広い概念である。
特別目的会社は、保有する資産を事業体から切り離して資金を確保するために活用されることが多いが、この場合に、元の資産保有者が特別目的会社に深く関与すると資産切り離しの実態を確保できず、事業体に対する監査等に支障が生じる。そのため、関与の許容範囲を定めるルールが制定されている(5%ルールはその一つ)。
資産の流動化に関する法律(資産流動化法)
特定目的会社(SPC)や特定目的信託が、不動産などの資産を保有・運用し、その収益を裏付けとして証券や信託受益権を発行する(これにより資産が流動化される)場合の手続きやルールを決めている。
当初、流動化の対象となる資産が限定されていたが、2001(平成13)年4月の改正で、すべての財産権を対象とした流動化が可能となった。資産の有効的な活用や、多様な金融商品の開発に当たって重要な役割を果たす法律である。
SPC法
特定目的会社または特定目的信託を用いて資産を流動化するための仕組みを定めた法律(平成10(1998)年6月公布)。
特定目的会社(SPC)や特定目的信託が、不動産などの資産を保有・運用し、その収益を裏付けとして証券や信託受益権を発行する(これにより資産が流動化される)場合の手続きやルールを決めている。
当初、流動化の対象となる資産が限定されていたが、平成13(2001)年4月の改正で、すべての財産権を対象とした流動化が可能となった。資産の有効的な活用や、多様な金融商品の開発に当たって重要な役割を果たす法律である。
特定目的会社
その重要な機能は、証券化の対象になる資産を独立させ、責任を資産価値の範囲内に限定すること(倒産隔離機能)、および、投資家への二重課税を回避するための器となること(導管体機能)である。資産の管理運用などの具体的業務は、一定の要件を備えた会社等に委託される。
なお、資産の流動化に関する法律では、資産流動化の方法として、特定目的会社を用いる場合のほか、特定目的信託を用いる場合を規定している。
不動産の証券化
その仕組みは、大まかには3つの段階によって構成される。 1.流動化の対象となる不動産をSPC等や信託受託者が譲渡を受ける。これによって元の資産保有者(オリジネーター)から不動産が切り離され、不動産そのものの価値(収益力・リスク等)が明確になる。 2.SPC等や信託受託者は、不動産から得られるであろう収益(インカムゲインとキャピタルゲイン)を裏づけとして証券(出資口・信託受益権等)を発行する。これによって、不動産の価値が細分化される。 3.証券を流通させる。 これによって、不動産が金融商品の形で取引されることになる。
このとき、それぞれの段階で仕組みを工夫し、元の不動産の価値を加工して、多様な不動産証券化商品を作り出すことができる。例えば、1.の段階では、異なる複数の不動産をプールしてリスクを分散すること、2.の段階では、収益の配分を優先・劣後の関係に構造化してリスクとリターンの異なる証券を発行することなどが行なわれている。また、3.の段階では、金融市場における不動産証券化商品の特性を明確にして、投資家による適正な判断を可能とするサービスなどが提供されている。さらに通常は、収益性を確保するために、不動産の運用は専門の運用者に委託される。
不動産の証券化において鍵となるのは、不動産からの収益を最適化するような不動産経営能力、および、不動産市場の動向を的確に把握するための市場情報である。しかしながら、その向上・充実を図るための仕組みは、現在、発展途上にある。
不動産
定着物とは、土地の上に定着した物であり、具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。また土砂は土地そのものである。
倒産隔離
企業が倒産すると、債権者や管財人は倒産企業が保有する資産や株主議決権などを活用して債権回収を図るが、SPEの保有・運用する資産に対してそのような追及が及べば投資家の利益を損なうことになる。倒産隔離は、そのような追及を防いで、保有・運用資産を法的に保護する仕組みである。
例えば、SPE自身の倒産リスクに対しては、他業規制(当初目的事業以外の禁止)などのほか、議決権を有する出資者を有限責任中間法人やケイマンSPC(ケイマン島に設立した特殊な法人)に限定して公正な第三者のみが議決権を持つようにする手法などが、オリジネーター(Originator)の倒産リスクに対しては、真正売買を確保するなどの方法が採用されている。
不動産投資信託のことで、アメリカのREIT(Real Estate Investment Trust)の日本版であることから、JREITと呼ばれる。
不動産を買収、賃貸して収益を得る専門の会社(投資法人)または同様の機能を担う信託会社が証券を発行し、金融商品として取引される。その発行主体がJREITであり、それぞれが運用する不動産の種類やその構成は異なる。証券は発行主体ごとに流通するが、証券取引所に上場されているものも多い。需給に応じて、その取引価格も日々変動する。
株式会社の利益の源泉は事業による収益であるが、JREITの利益は、不動産の賃貸や売買による収益から得られる。その収益は、課税されることなくほぼそのまま投資家に分配されることが特徴である。株式投資とJREIT投資とを比較すれば、株式会社、株券、株価、配当金に当たるのが、それぞれ、投資法人(または信託)、投資証券、投資口価格、分配金と考えてよい。
不動産の証券化の手法として中心的な役割を果たしており、2001(平成12)年9月に初めて上場されたがその後急速に拡大し、金融市場において一角を占めるに至っている。