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最終更新日:2017/12/8

双方代理(双方代理の禁止)

そうほうだいり(そうほうだいりのきんし)

同一人が契約当事者双方のそれぞれの代理人となって代理行為をすること。双方代理は原則として禁止されているが、これに反した代理行為が無効となるわけではなく、無権代理として扱われ、当事者本人が追認すれば有効となる。

例えば、Bが売主Aと買主Cのそれぞれの代理人となって売買契約を成立させることは双方代理に当たる。また、この場合に、AまたはCがB自身である場合を自己契約といい、双方代理と同様に禁止されている。

なお、不動産の売買・賃貸借の契約を媒介する行為は、代理行為ではないとされているので、双方の当事者から同一人が媒介の依頼を受けても双方代理とはならない(もっとも、双方に同時に信義誠実を尽くすのは容易ではないであろう)。

-- 本文のリンク用語の解説 --

代理(民法における)

代理とは、本人と一定の関係にある他人が意思表示を行ない、その意思表示の効果が本人に帰属するという法制度である。

代理の本質は、代理権を持つ者(代理人)が存在し、その代理人が行なった行為の効果が本人に帰属することであると解釈されており、このことを「他人効」と呼ぶ。この他人効がなぜ発生するのかという理論的根拠については、「顕名説」と「代理権説」が対立している。(詳しくは他人効へ)。

代理が成立するためには、本人と他人との間に一定の関係が存在することが必要であり、このとき他人は「代理権」を持つものとされており、このような他人を「代理人」と呼ぶ。
また代理において、行為の主体が本人であるのか、それとも代理人であるのかについて学説が分かれており、通説は代理人が行為主体であると考えている(代理人行為説)。

また、代理はさまざまに分類されるが、主な分類としては任意代理と法定代理がある。任意代理は本人と代理人との合意にもとづく代理権であり、任意代理が成立するには代理権授与行為が必要であるとされている。
なお、代理人が代理行為を行なうには、本人のためにすることを示すこと(=顕名)が必要とされている。

無権代理

代理とは、「他人の行為の効果が本人に帰属する」という法制度である。この代理が成立する根拠は、本人と他人との間に、代理権を発生させるという合意(すなわち代理権授与行為)が存在することであるとするのが判例・通説である(詳しくは他人効へ)。

従って、代理人に代理権が存在しない場合や、代理人が代理権の範囲を超えて行動した場合には、その代理人の行為はもはや正当化することができないので、代理としての効果を失うことになる。その結果、その代理人の行為は、代理人自身のために行なった行為となり、代理人自身が全面的に責任を負うことになる(詳しくは無権代理人の責任へ)。このような権限のない代理人の行為を「無権代理」と呼んでいる。

無権代理は、本人に対する関係では無効であるから、本来は本人に対して無権代理が何らかの効果を及ぼすことはあり得ないはずである。しかし民法では、取引の相手方を保護するために、次の2つの場合には、例外的に無権代理を本人に対する関係で有効にするという規定を設けている。

1.本人による追認
無権代理による取引を、本人が後から追認した場合には、その取引は原則としてはじめから有効であったものとなる(民法第116条)。本来は無効な行為を、本人の意思により有効にすることができるという規定である。
なおこの場合、取引の相手方は本人に追認を催告すること等ができる。
(詳しくは無権代理の相手方の催告権、無権代理の相手方の取消権へ)

2.表見代理
無権代理による取引の相手方が、無権代理人を真実の代理人だと誤信したことについて、何らかの正当な事情があった場合には、その取引を有効なものとすることができる。この制度を表見代理という。
(詳しくは代理権授与表示による表見代理、代理権消滅後の表見代理、権限踰越の表見代理へ)

追認

効果のない法律行為について、その効果を生じさせる意思表示をいう。 一定の場合にのみ認められる(通常は、新たな法律行為が必要である)。

その場合とは、次の4つである。 1.無権代理人の法律行為について、本人の意思表示で本人について効果が生じる。 2.無効の法律行為について、当事者が無効であると知ったうえで追認すれば、そのとき新たな行為をしたとみなされる。 3.取り消すことのできる行為を一方的な意思表示によって確定的に有効とする。 4.訴訟能力等を欠いている場合の訴訟行為について、能力を得た後の追認によって行為のときに遡って効力が生じる。

売主

不動産の売買契約において、不動産を売る人(または法人)を「売主」という。

また不動産広告においては、取引態様の一つとして「売主」という用語が使用される。

この取引態様としての「売主」とは、取引される不動産の所有者(または不動産を転売する権限を有する者)のことである。

売買契約

当事者の一方が、ある財産権を相手方に移転する意思を表示し、相手方がその代金を支払う意思を表示し、双方の意思が合致することで成立する契約のこと(民法第555条)。

売買契約は諾成契約とされている。つまり、当事者の双方が意思を表示し、意思が合致するだけで成立する(財産が引き渡されたときに成立するのではない)。
また、売買契約は不要式契約なので、書面による必要はなく口頭でも成立する。
さらに、売買契約は財産権を移転する契約であるが、その対価として交付されるのは金銭でなければならない(金銭以外の物を対価として交付すると「交換契約」となってしまう)。

当事者の双方の意思の合致により売買契約が成立したとき、売主には「財産権移転義務」が発生し、買主には「代金支払義務」が発生する。両方の義務の履行は「同時履行の関係」に立つとされる。

不動産

不動産とは「土地及びその定着物」のことである(民法第86条第1項)。
定着物とは、土地の上に定着した物であり、具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。また土砂は土地そのものである。

賃貸借

ある目的物を有償で使用収益させること、あるいはそれを約する契約をいう(賃貸借契約)。 賃貸借契約の締結によって、貸主(賃貸人)は目的物を使用収益させること、目的物を修繕すること等の債務を、借主(賃借人)は賃料を支払うこと、目的物を返還する際に原状回復すること等の債務をそれぞれ負うことになる(従って双務契約である)。

民法では、あらゆる賃貸借契約について、 1.契約期間は最長でも50年を超えることができない、2.存続期間の定めがない場合にはいつでも解約の申し出ができる、3.賃貸人の承諾がない限り賃借人は賃借権の譲渡・転貸ができない、4.目的物が不動産の場合には賃借人は登記がない限り第三者に対抗できない 等と規定している。

しかしながら、不動産の賃貸借は通常は長期にわたり、また、居住の安定を確保するために賃借人を保護すべしという社会的な要請も強い。そこで、不動産の賃貸借については、民法の一般原則をそのまま適用せず、その特例として、 1.契約期間を延長し借地については最低30年とする、2.契約の更新を拒絶するには正当事由を必要とする、3.裁判所の許可による賃借権の譲渡を可能にする、4.登記がない場合にも一定の要件のもとで対抗力を認める 等の規定を適用することとされている(借地借家法。なお、契約期間等については、定期借地権など特別の契約について例外がある)。

媒介

私法上の概念で、他人間の契約等法律行為の成立に向けて行う事実行為をいう。代理や取次と違って、法律行為ではないとされる。

不動産取引における宅地建物取引業者の立場(取引態様)の一つでもあり、不動産の売買・交換・賃貸借について、売主と買主(または貸主と借主)との間に立って取引成立に向けてなす活動がこれに該当する。

なお、「仲介」は「媒介」と同じ意味である。