最終更新日:2017/12/8
損害賠償
そんがいばいしょう違法行為によって損害が生じた場合に、その損害を填補することをいう。
債務不履行や不法行為などの違法な事実があり、その事実と損害の発生とに因果関係があれば損害賠償義務を負うことになる。その損害は、財産的か精神的かを問わず、積極的(実際に発生した損害)か消極的(逸失利益など)かも問わず填補の対象となる。
ただし、その範囲は、通常生ずべき損害とされ、当事者に予見可能性がない損害は対象とはならない(相当因果関係、因果の連鎖は無限に続くため、予見可能性の範囲に留めるという趣旨)。
損害賠償は原則として金銭でなされる。また、損害を受けた者に過失があるときは賠償額は減額され(過失相殺)、損害と同時に利益もあれば賠償額から控除される(損益相殺)。
なお、同じように損害の填補であっても、適法な行為(公権力の行使)によって生じた不利益に対する填補は、「損失補償」といわれて区別される。
-- 本文のリンク用語の解説 --
債務不履行
債権・債務関係において、債務が履行されない状態をいう。
例えば、売買契約において、代金を支払ったにもかかわらず、売主が物件を引き渡さないときは、売主は引渡し義務を怠っていて、「債務不履行」にあたる。
このような債務不履行に対しては、法律(民法)により、債権者が債務者に対して損害賠償を請求することができるとされている。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
なお、債務の履行に代わる損害賠償を請求するには、次の条件を満たすことが必要である。
1.債務の履行が不能であるとき。(履行不能・履行遅滞・不完全履行の3形態がある)
2.債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
3.債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。
例えば、売買契約において、代金を支払ったにもかかわらず、売主が物件を引き渡さないときは、売主は引渡し義務を怠っていて、「債務不履行」にあたる。
このような債務不履行に対しては、法律(民法)により、債権者が債務者に対して損害賠償を請求することができるとされている。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
なお、債務の履行に代わる損害賠償を請求するには、次の条件を満たすことが必要である。
1.債務の履行が不能であるとき。(履行不能・履行遅滞・不完全履行の3形態がある)
2.債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
3.債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。
不法行為
私法上の概念で、他人の権利・利益を侵害し、それによって生じる損害を賠償する責任(債務)が生まれる行為をいい、民法に規定されている。
不法行為責任が生じるのは、1)故意・過失を伴うこと(特定の行為については無過失でも責任が生じる)、2)保護すべき他人の権利を侵害したこと、3)損害が発生したこと(発生の恐れがある場合に行為の差し止めを命ぜられることがある)、4)行為と損害との間に因果関係があること、5)責任能力があること(責任無能力者の行為における監督責任などを含む)という要件を満たす場合であるとされている。一方、これらの要件を満たしていても、正当防衛、緊急避難等一定の場合には、責任を負う必要はないとされる。
不法行為があった場合には、被害者は加害者に対して損害賠償請求権を得る。賠償の対象となる損害には、財産的損害だけでなく精神的な損害も含まれ、また、賠償は、金銭支払によるのが原則であるが、名誉毀損においてはその回復措置としての謝罪広告による賠償も認められている。
なお、使用者責任、工作物責任、製造物責任など、不法行為の成立について特別の扱いが適用される場合がある。
不法行為責任が生じるのは、1)故意・過失を伴うこと(特定の行為については無過失でも責任が生じる)、2)保護すべき他人の権利を侵害したこと、3)損害が発生したこと(発生の恐れがある場合に行為の差し止めを命ぜられることがある)、4)行為と損害との間に因果関係があること、5)責任能力があること(責任無能力者の行為における監督責任などを含む)という要件を満たす場合であるとされている。一方、これらの要件を満たしていても、正当防衛、緊急避難等一定の場合には、責任を負う必要はないとされる。
不法行為があった場合には、被害者は加害者に対して損害賠償請求権を得る。賠償の対象となる損害には、財産的損害だけでなく精神的な損害も含まれ、また、賠償は、金銭支払によるのが原則であるが、名誉毀損においてはその回復措置としての謝罪広告による賠償も認められている。
なお、使用者責任、工作物責任、製造物責任など、不法行為の成立について特別の扱いが適用される場合がある。
逸失利益
損害賠償において請求することのできる損失の一つで、本来得られるべきであるにもかかわらず得られなかった利益をいう。
「得べかりし利益」とか「消極的利益」ともいわれる。
例えば、事故による入院中に得ることのできなかった収入や、後遺障害によって生じる減収はこれに当たる。現実に生じた損失(「消極的利益」に対して「積極的利益」といわれる)に比べて、額の算定に当たって幅が生じやすい。
なお、慰謝料とは異なることに注意。
例えば、事故による入院中に得ることのできなかった収入や、後遺障害によって生じる減収はこれに当たる。現実に生じた損失(「消極的利益」に対して「積極的利益」といわれる)に比べて、額の算定に当たって幅が生じやすい。
なお、慰謝料とは異なることに注意。
過失相殺
損害賠償額から過失相当分を差し引いて損害を負担することをいう。
賠償を受ける者にも過失がある場合に、負担を公平に行なうために適用される。
よく交通事故の損害賠償の際に問題となるが、これに限らず、債務不履行や不法行為による損害賠償について一般的に考慮される。過失相殺の割合は、裁判で確定した事例をもとに判断されるが、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」が有名である。
よく交通事故の損害賠償の際に問題となるが、これに限らず、債務不履行や不法行為による損害賠償について一般的に考慮される。過失相殺の割合は、裁判で確定した事例をもとに判断されるが、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」が有名である。