制震構造
せいしんこうぞう地震による建物被害を防止・軽減するための方法の一つで、地震によって生じる振動を吸収する建物構造をいう。
例えば、振り子などの慣性力で地震動を吸収する、地震動に応じて外部から力を加えて振動を押さえる、緩衝装置によって建物部材の変型を軽減するなどの方法を取り入れた建物構造はこれに該当する。主として、超高層の建物において採用されている。
一方、地盤と建物基礎などの間にローラーや積層ゴムを設置して、建物に伝わる地震の揺れを絶縁または長周期化することにより外力を制御する方法を採用した建物構造を免震構造という。
耐震設計は、これらの方法を含めて、地震に対して建物構造の安全を保つための設計をいうが、どのような建物構造を選択するかは建築設計に当たっての重要なポイントの一つである。
地震などによる水平方向の力に対して、十分に耐えることのできるよう設計された建築物の構造をいう。
その技術的な基準は建築基準法に基づいて定められているが、建築物の用途、規模、構造の種別、土地の状況に応じて異なる。
基本的には、
1.柱、梁、床、壁等を有効に配置して、建築物全体がこれに作用するに対して一様に構造耐力上安全であること
2.構造耐力上主要な部分は、建築物に作用する水平力に耐えるように釣り合いよく配置すること
3.構造耐力上主要な部分には使用上の支障となる変形または振動が生じないような剛性および瞬間的破壊が生じないような靱性を持たせること
とされている。
また、一定の建築物については、その安全性を定められた構造計算によって確かめなければならない(2005(平成17)年に発覚した構造計算書偽装問題は、この構造計算書が偽造されたことをきっかけに社会問題化したものである)。
具体的な耐震設計基準については、大地震などを契機に強化されてきていて、現在は、1981(昭和56)年6月1日に定められた基準(新耐震基準)が適用されている。
なお、地震に対する安全確保の方法には、主要な部材の構造耐力を確保する方法(耐震構造)の他、振動の伝播を遮断・柔軟化する方法(免震構造)、振動を吸収する方法(制震構造)がある。