最終更新日:2017/12/8
倒産隔離
とうさんかくり資産(不動産)の証券化に当たってSPEが満たすべきとされる要件の一つで、その保有・運用する資産(不動産)を関係者の倒産等のリスクから切り離すことをいう。
企業が倒産すると、債権者や管財人は倒産企業が保有する資産や株主議決権などを活用して債権回収を図るが、SPEの保有・運用する資産に対してそのような追及が及べば投資家の利益を損なうことになる。倒産隔離は、そのような追及を防いで、保有・運用資産を法的に保護する仕組みである。
例えば、SPE自身の倒産リスクに対しては、他業規制(当初目的事業以外の禁止)などのほか、議決権を有する出資者を有限責任中間法人やケイマンSPC(ケイマン島に設立した特殊な法人)に限定して公正な第三者のみが議決権を持つようにする手法などが、オリジネーター(Originator)の倒産リスクに対しては、真正売買を確保するなどの方法が採用されている。
-- 本文のリンク用語の解説 --
不動産
不動産とは「土地及びその定着物」のことである(民法第86条第1項)。
定着物とは、土地の上に定着した物であり、具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。また土砂は土地そのものである。
定着物とは、土地の上に定着した物であり、具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。また土砂は土地そのものである。
SPE
Special Purpose Entityの略で、資産(不動産)を証券化するための事業体を総称していう。
「特別目的事業体」と訳される。資産(不動産)を保有、運用し、収益を得て、それを投資家に配分する役割を果たす。投資収益を投資家に運搬するというイメージから「ビークル(SPV(Special Purpose Vehicle)」といわれることもある。
特定目的会社(SPC)、投資法人のような特別の法律にもとづく事業体のほか、株式会社、合同会社、任意組合、匿名組合など、その形態はさまざまである。信託もその一つと考えてよい。
SPEがその役割を果たすためには、 1.得た利益をそのまま投資家に配分できること(導管体としての機能)
2.関係者の倒産等の影響が保有・運用する資産(不動産)に及ばないこと(倒産隔離の機能)
3.資産(不動産)の保有・運用におけるリスクとリターンが透明であること の3つの要件を満たす必要があるとされる。
特定目的会社(SPC)、投資法人のような特別の法律にもとづく事業体のほか、株式会社、合同会社、任意組合、匿名組合など、その形態はさまざまである。信託もその一つと考えてよい。
SPEがその役割を果たすためには、 1.得た利益をそのまま投資家に配分できること(導管体としての機能)
2.関係者の倒産等の影響が保有・運用する資産(不動産)に及ばないこと(倒産隔離の機能)
3.資産(不動産)の保有・運用におけるリスクとリターンが透明であること の3つの要件を満たす必要があるとされる。
債権
私法上の概念で、ある人(債権者)が、別のある人(債務者)に対して一定の給付を請求し、それを受領・保持することができる権利をいう。
財産権の一つであり、物権とともにその主要部分を構成する。
財産権の一つであり、物権とともにその主要部分を構成する。
オリジネーター(Originator)
不動産の証券化において、証券化の対象となる不動産、不動産信託受益権、不動産担保債権などを証券の発行に当たるSPC等に譲渡する者。原資産保有者、資産譲渡人ともいわれる。
証券化をスタートさせる役割を担うが、資産を譲渡したオリジネーターは資金を調達できるのである。また、オリジネーターは、証券化を推進する者と同一の場合もあるし、いったん不動産を譲渡したうえで、改めて同じ不動産を賃借することもある。
証券化をスタートさせる役割を担うが、資産を譲渡したオリジネーターは資金を調達できるのである。また、オリジネーターは、証券化を推進する者と同一の場合もあるし、いったん不動産を譲渡したうえで、改めて同じ不動産を賃借することもある。
真正売買(不動産流動化における)
不動産の流動化において、オリジネーターからSPCへ真正に不動産が譲渡されたことをいう。
不動産の譲渡には、譲渡担保など真の売買ではない場合(金融取引である)があり、そのような意図で売買された不動産に対しては、譲渡者の倒産等に際して売買が否認されることがある。つまり、オリジネーターの倒産から隔離されない。そこで、譲渡が真の売買であると判断することが必要になる。これが「真正売買」の問題といわれる。
真正売買であるかどうかは、当事者の意思(不動産の買戻特約や修繕費負担の有無、リスクの移転の程度)、取引価額の適正さ、所有権移転登記などを考慮して判断すべきとされる。日本公認会計士協会は、その具体的な判断の指針(5%ルール)を公表したが、実際にもおおむねこの基準に沿って判断されている。
不動産の譲渡には、譲渡担保など真の売買ではない場合(金融取引である)があり、そのような意図で売買された不動産に対しては、譲渡者の倒産等に際して売買が否認されることがある。つまり、オリジネーターの倒産から隔離されない。そこで、譲渡が真の売買であると判断することが必要になる。これが「真正売買」の問題といわれる。
真正売買であるかどうかは、当事者の意思(不動産の買戻特約や修繕費負担の有無、リスクの移転の程度)、取引価額の適正さ、所有権移転登記などを考慮して判断すべきとされる。日本公認会計士協会は、その具体的な判断の指針(5%ルール)を公表したが、実際にもおおむねこの基準に沿って判断されている。