グリーン・ニューディール
ぐりーん・にゅーでぃーる
環境の保全・改善のための投資を促進することによって雇用を創出し、景気の浮揚を図ろうとする政策をいう。
その特徴は、環境投資と経済政策とを結び付け、「地球環境問題への対応」、「景気回復」、そして「エネルギーの確保」という3つの課題に対応することにある。
1920年代の世界大恐慌において採用されたニューディールは、TVA(テネシー川流域開発公社)設立(アメリカ)やアウトバーン建設(ドイツ)のような公共事業を中心とした投資を推進するものであったが、グリーン・ニューディールにおける投資は、気候変動問題に対応するための技術開発や、エネルギー構造の変革を推進する産業活動に向けられる。
グリーン・ニューディールの目標には、建物の熱効率の改善、建物のカーボンニュートラル(二酸化炭素の排出ゼロ)化、スマートグリッドの構築などが含まれていて、不動産のあり方にも大きな影響を与える可能性がある。
投資
金銭を金融商品等に変換し、あるいは事業に充当して利益を得る行為。株式、債券、不動産などを取得して配当等を受け取る方法、それらを売買して差額を得る方法、事業に出資する方法などがある。
例えば、「株式投資」または「不動産投資」は株式または不動産を金銭運用の対象とする投資、「投資信託」は投資利益を証券化した金融商品で信託のしくみを使うもの、「投資ファンド」は共同で投資するために集めた資金のことである。
投資は、費用とリスクを伴う。不動産投資を例にすれば、取引に伴って税(取引の内容に応じて、不動産取得税、印紙税、譲渡所得税、固定資産税など)や手数料を負担する必要があるほか、不動産価格の変動などによって賃貸料の減少や売却損が生じる恐れがある。
なお、経済学でも「投資」という用語を使うが、その意味は、一般的な意味とはまったく違うので注意が必要である。経済学でいう「投資」は、「消費」と対比した用語で、一定期間における実物資産の増加分(使われないで次の期に積み上がる資産)をいう。この場合、「投資」は事後的に「貯蓄」と等しくなる。
建物
民法では、土地の上に定着した物(定着物)であって、建物として使用が可能な物のことを「建物」という。
具体的には、建築中の建物は原則的に民法上の「建物」とは呼べないが、建物の使用目的から見て使用に適する構造部分を具備する程度になれば、建築途中であっても民法上の「建物」となり、不動産登記が可能になる。
熱効率
投入した熱エネルギーが仕事や有用なエネルギー(電力など)に変換される割合をいう。
この割合を高めることでエネルギー消費がより合理化できると考えられており、給湯機器や空調機器の性能を評価する指標とされる。
なお、熱効率は、1を超えることはできず、また、熱エネルギーを取り出すときに使用する熱源の温度によって決まる次の効率(カルノーサイクルの理論的熱効率)を超えることもない。
カルノーサイクルの理論熱効率=1−(低熱源の絶対温度/高熱源の絶対温度)
内燃機関の正味熱効率は30%程度、火力発電所の平均熱効率は40%程度とされている。
今後、建物や建築設備等について環境負荷の削減が要求されるようになるが、熱効率は、その場合の評価指標の一つとして使われることになる。
カーボンニュートラル
人間活動において、二酸化炭素の排出と吸収が相殺されてゼロであることをいう。
例えば、植物のからだは空気中の二酸化炭素が固定化されたものだから、その燃焼(バイオマス燃料の利用)によって二酸化炭素が排出されてもカーボンニュートラルである。また、人間活動に伴う二酸化炭素の排出量を、自然エネルギーを導入して相殺することもカーボンニュートラルであると考えられる。
カーボンニュートラルは、パリ協定(2015年)で「今世紀後半に温室効果ガスの人為的な排出と吸収を均衡する」旨が示され、また、多くの国において環境政策の長期的な目標とされている。
日本も、2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を設定し、そのために、産業・民生・運輸の各部門でエネルギーの脱炭素化 (エネルギー転換)や徹底した省エネルギー化を推進することとされている。省エネルギー住宅基準を設定して、基準適合を求める取り組みなども、カーボンニュートラルの実現に向けた政策の一つである。
スマートグリッド
電力需給を最適化する機能を備えた電力網をいう。
供給される電力の質や量は、水力、風力、太陽光、火力、燃料電池など発電形態によって異なり、電力の需要も、動力、照明、熱源など電気機器の性質によってさまざまに異なる。電力網は両者を結合し包含するが、情報通信技術を活用してこの電力網を制御することによって、ロスが少なく、安定した電力需給関係を形成・維持できるとされる。
スマートグリッドの構築は、グリーン・ニューディール政策の一つとされる。住宅やビルの電力もスマートグリッドに組み込まれ、その一端を担うこととなる。
スマートグリッドに対しては、エネルギーシステムの革新であるとして期待する意見がある一方、それが消費者の利益に資するかどうか疑問視する見方もある。
不動産
不動産とは「土地及びその定着物」のことである(民法第86条第1項)。
定着物とは、土地の上に定着した物であり、具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。また土砂は土地そのものである。