NCF
えぬしーえふ
不動産経営において用いられる概念で、不動産から得る単純なキャッシュフロー収益から資本的な支出を控除した金額をいう。Net Cash Flowの略語。
不動産経営によって生み出されるキャッシュフロー収益は、家賃収入と管理コスト(減価償却費等のキャッシュフローに影響しない費用、および支払い利息等の金融費用は算入しない)との差額となる。この場合に、管理コストの算定に当たって、修繕費等の資本的支出を考慮し算入するのがNCFである。不動産鑑定評価に当たって収益還元法を用いるときには、このNCFをベースにすることが多い。
一方、資本的支出を考慮せず単純なキャッシュフローベースで収益を算定するのがNOI(Net Operating Income)である。
減価償却
企業会計において、長期間にわたって使用される資産(有形固定資産のほか、特許権などの無形固定資産を含む)を費用化する手法をいう。
例えば、生産設備などは複数の会計年度にわたって使い続けられるため、その取得費を複数年度に分けて費用として計上する必要があるが、そのための手法が減価償却である。
毎年度の減価償却費は、取得費用と耐用年数をもとに、一定の方法(定額法、定率法、級数法、生産高比例法のいずれか)で計算され、それを計上することによって資産が減価し、費用が発生することとなる。
なお、使用によって減価しない資産は減価償却の対象とならない。その代表的な例が、土地や地上権、借地権などである。
一方で、土地等は減価償却の対象とならない代わりに、地価の変動等に応じて再評価する必要がある。
鑑定評価
不動産の経済価値を判定し、価額で表示すること。その業務は、不動産鑑定士の独占とされている。
鑑定は不動産鑑定評価基準に従って実施されるが、その方法は原則として、
1.原価法(不動産の再調達原価に着目して価格を求める方法、積算価格を算出)、2.取引事例比較法(類似の不動産の取引事例価格に着目して価格を求める方法、比準価格を算出)、3.収益還元法(不動産が将来生み出す収益に着目して価格を求める方法、収益価格を算出)
の3つを併用することとされている。
なお、収益還元法には、純利益を一定率で割り戻して直接に現在価値を求める方法(直接還元法)と、保有期間中に得られる純利益と期間満了後の売却によって得られる予想価格を現在価格に割り戻して合算する方法(DCF法、Discounted Cash Flow Methodの略)があるが、不動産の証券化のための評価は原則としてDCF法が適用される。
NOI
Net Operating Incomeの略。純収益という意味で、収入(賃料)から、実際に発生した経費(管理費、固定資産税など)のみを控除して求める。減価償却費のような支出を伴わない費用、支払利息のような金融費用、修繕費などの資本的な支出は収入から控除しないため、事業によって生み出される単純なキャッシュフローとなる。
例えば、不動産賃貸により得ることのできる純粋な収益額がこれに相当し、資産価値を評価する場合の指標となる。
なお、NOIから資本的な支出を控除したものがNCF(Net Cash Flow)である。