このページを印刷する

最終更新日:2017/12/8

逆線引き

ぎゃくせんびき

都市計画で定める区域区分を、市街化区域から市街化調整区域に変更することをいう。

都市計画の見直しに際して、市街化区域内であるが、まとまった農地が残っているなどのため市街化を抑制すべきとされた地区が対象となる。
逆線引きがなされる背景には、特定市街化区域農地(生産緑地地区を除く)に対して固定資産税・都市計画税が宅地並みで課税されることなどの事情がある。ただし、事例は数少ない。

-- 本文のリンク用語の解説 --

都市計画

土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業に関する計画であって、都市計画の決定手続により定められた計画のこと(都市計画法第4条第1号)。
具体的には都市計画とは次の1.から11.のことである。

1.都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画法第6条の2)
2.都市再開発方針等(同法第7条の2)
3.区域区分(同法第7条)
4.地域地区(同法第8条)
5.促進区域(同法第10条の2)
6.遊休土地転換利用促進地区(同法第10条の3)
7.被災市街地復興推進地域(同法第10条の4)
8.都市施設(同法第11条)
9.市街地開発事業(同法第12条)
10.市街地開発事業等予定区域(同法第12条の2)
11.地区計画等(同法第12条の4) 注:
・上記1.から11.の都市計画は、都市計画区域で定めることとされている。ただし上記8.の都市施設については特に必要がある場合には、都市計画区域の外で定めることができる(同法第11条第1項)。
・上記4.の地域地区は「用途地域」「特別用途地区」「高度地区」「高度利用地区」「特定街区」「防火地域」「準防火地域」「美観地区」「風致地区」「特定用途制限地域」「高層住居誘導地区」などの多様な地域・地区・街区の総称である。
・上記1.から11.の都市計画は都道府県または市町村が定める(詳しくは都市計画の決定主体へ)。

区域区分

都市計画によって、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域とに区分することをいう。

区域区分は、 1.都道府県が、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があると認めるとき
2.都市計画区域が、指定都市の区域、首都圏の既成市街地・近郊整備地帯、近畿圏の既成都市区域・近郊整備区域、中部圏の都市整備区域の全部または一部を含む場合 に定められる。

なお、区域区分が定められていない都市計画区域を「非線引き区域」と呼ぶことがある。

市街化区域

都市計画によって定められた、すでに市街地を形成している区域およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域をいう。

一定の都市計画区域について、都道府県知事が区域区分を決定することによって定まる。

市街化区域内では、必ず用途地域が指定されている。

市街化調整区域

都市計画によって定められた、市街化を抑制すべき区域をいう。

一定の都市計画区域について、都道府県知事が区域区分を決定することによって定まる。

市街化調整区域内で土地の区画形質の変更をする場合には、原則として許可を要する(開発許可)。そして開発許可に当たっては特別な事情にある場合を除いて住宅のための宅地造成等は許可されないなど、市街化調整区域内での開発・建築行為を抑制する規制が適用される。

農地

一般的には「耕作の目的に供されている土地」を「農地」と呼ぶ(農地法第2条第1項)。 実際には、ある土地が「農地」であるかどうかをめぐって争いがあることが少なくない。ちなみ、過去の裁判例では次の1.2.のような基準が設けられている。

1.「農地」であるかどうかは、登記簿上の地目とは関係がない。たとえ地目が「原野」であっても、現状が「耕作目的の土地」であれば「農地」となる。
2.「農地」とは継続的に耕作する目的の土地である。住宅を建てるまでの間、一時的に野菜を栽培しているような家庭菜園などは「農地」ではない。その反面、たとえ休耕地であっても将来にわたって耕作する目的のものは「農地」である。 実務的には、宅地であるのか農地であるのか判断が分かれるような土地について取引を行なう場合には、市町村の農業委員会において確認を受けることが最も安全である。

生産緑地

市街化区域内にある農地や山林で、都市計画によって指定された生産緑地地区内のものをいう。

生産緑地地区として指定できるのは、市街化区域内にある一団の農地等で、
1.公害または災害の防止、農林漁業と調和した都市環境の保全等良好な生活環境の確保に相当の効用があり、公共施設等の敷地の用に供する土地として適している
2.500平方メートル以上の規模の区域である(条例で規模の引き下げが可能)
3.用排水その他の状況を勘案して農林漁業の継続が可能な条件を備えていると認められる
という3つの条件を備えた区域である。

生産緑地は農地等として管理されなければならず(営農の継続義務)、生産緑地地区内では、建築物等の新改築、宅地造成などについて市町村長の許可を受けなければならない。そして原則として、農林漁業を営むために必要な建築や造成等でなければ許可されない(直売所、農家レストラン等の設置は可能)。

一方で、生産緑地は、税制上の優遇措置(市街化区域内の土地であっても一定の条件を満たせば農地とみなして課税されるなど)が適用される。

また、生産緑地における農林漁業の主たる従事者が死亡等の理由で従事することができなくなった場合、または、生産緑地として定められてから30年が経過した場合には(30年経過後は10年ごとに延長可能)、市町村長に買い取りを申し出ることができる。そして、申し出てから3ヵ月以内に所有権の移転がない場合には、行為制限が解除される(実質的に生産緑地としての役割を失う)。

なお、多くの生産緑地は、2022年から買い取りの申し出が可能となる。

固定資産税

毎年1月1日現在において、土地・家屋等を所有している者に対し、市町村が課税する地方税のこと。
不動産の所在地の市町村が課税の主体となるので、実際の徴収事務は市町村の税務担当部署が行なう。

固定資産税の納付方法については、年度初めに市町村から土地・家屋の所有者に対して、固定資産税の「納税通知書」が送付されてくるので、それに従って年度内に通常4回に分割して納付することとされている(ただし1年分をまとめて先に支払うことも可能である)。

固定資産税の税額は原則的に「固定資産税課税標準額の1.4%」とされている。
ただし、一定の新築住宅については固定資産税額の軽減措置が実施されている。また、住宅用地については固定資産税課税標準額そのものが6分の1または3分の1に圧縮されている。

固定資産税は毎年1月1日において、固定資産課台帳に所有者として登録されている者に課税される。
従って、年の途中で不動産の売買が行なわれて、所有者が変わった場合であっても、納税義務者は元の所有者となる。こうした場合には不動産売買契約書において、その年度分の固定資産税額の一部を新所有者が負担するという特約を設けることが多い。

都市計画税

市町村が条例で定めた区域内に存在する土地や建物の所有者に課税する地方税。
この条例で定めた区域は、原則として市街化区域の中に設定される。

この都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業の費用を集めるために課税される税金であるとされている。
市町村の条例で税率を設定する。