建物評価指針(中古住宅に係る〜)
たてものひょうかししん(ちゅうこじゅうたくにかかる〜)
住宅の機能に着目してその価値を評価するための指針で、中古戸建て住宅について公表されている(「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」(2014年、国土交通省))。
その基本的な考え方は次の通りである。
1)評価対象住宅を再調達するための価格から新築時以降減少した価値を減価修正する手法(原価法)を用いる。
2)減価修正に当たっては、人が居住する建物としての機能に着目した価値(使用価値)を把握・評価する。
3)使用価値は、住宅の各部位の機能がどの程度維持されているかを把握する方法で評価する。
これによって、法人税法の耐用年数(木造住宅は22年)を超えた住宅についても相応の価値を認めることとなるほか、リフォーム等を価値に反映することができる。
原価法
不動産鑑定評価において、不動産の再調達原価をベースとして、対象不動産の価格を求める手法のこと。
原価法では、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行なって対象不動産の試算価格を求める。この原価法による試算価格は「積算価格」と呼ばれる。
原価法は、対象不動産が「建物」または「建物およびその敷地」である場合に、再調達原価の把握と減価修正を適切に行なうことができるときに有効である。
また、対象不動産が「土地のみ」である場合においても、最近造成された造成地などのように再調達原価を適切に求めることができるときは、この原価法を適用することができる。
この場合において、対象不動産が現に存在するものでないときは、価格時点における再調達原価を適切に求めることができる場合に限り適用することができるものとする。
耐用年数
建物、機械、器具などが使用に耐えることのできる年数。材料や構造だけでなく、管理の状態によっても異なる。
また、財務会計においては、減価償却費の算定基準として耐用年数が定められている。これを「法定耐用年数」といい、たとえば住宅用建物の法定耐用年数は、木造が22年、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造が47年、軽量鉄骨造(骨格材肉厚3mm超4mm以下)が27年などとされている。
実際の耐用年数と法定耐用年数とは異なるので、用語の扱いに注意しなければならない。
リフォーム
建物の構造強化、機能向上などを図るための改修をいう。リフォームの種類には、耐震化、バリアフリー化、省エネルギー化、耐久性向上化などのための工事がある。
リフォームへのニーズは、既存建物の有効活用、既存住宅流通の活性化、良質な住宅ストックの形成などの要請によって、今後高まっていくと考えられている。また、これを促進するためのリフォーム減税が措置されている。
一方で、リフォームは、その目的や内容が多様で幅広いこと、リフォーム前の建物の状態がさまざまであることなどの特徴がある。そのため、リフォームのための技術・技能や費用を標準化するのが難しい。また、リフォームによって高まるであろう不動産価値を評価する手法は十分に確立されているとは言い難く、リフォームを不動産価格に反映するしくみも十分ではない。リフォームに対するニーズに応えるためには、これらの課題に取り組まなければならない。