駐車場整備地区
ちゅうしゃじょうせいびちく
自動車交通の混雑解消のために都市計画で定められる地区。地域地区の一つで、地区内で駐車施設の付置が義務づけられる。「駐車場法」に基づく制度である。
駐車場整備地区は、商業地域、準商業地域などのうち、自動車交通が混雑する地域を対象に指定される。
駐車場整備地区内では、条例の定めに従って、延べ面積2,000平方メートル以上の建築物または事務所等の特定用途に供する一定面積以上の建築物の新増築に当たっては、駐車施設を付置しなければならない。また、駐車場整備地区については駐車場整備計画が策定される。
なお、駐車場整備地区以外の地域においても、条例によって、駐車場整備地区内と同様に、駐車施設の付置義務が課せられる場合がある。
都市計画
土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業に関する計画であって、都市計画の決定手続により定められた計画のこと(都市計画法第4条第1号)。
具体的には都市計画とは次の1.から11.のことである。
1.都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画法第6条の2)
2.都市再開発方針等(同法第7条の2)
3.区域区分(同法第7条)
4.地域地区(同法第8条)
5.促進区域(同法第10条の2)
6.遊休土地転換利用促進地区(同法第10条の3)
7.被災市街地復興推進地域(同法第10条の4)
8.都市施設(同法第11条)
9.市街地開発事業(同法第12条)
10.市街地開発事業等予定区域(同法第12条の2)
11.地区計画等(同法第12条の4)
注:
・上記1.から11.の都市計画は、都市計画区域で定めることとされている。ただし上記8.の都市施設については特に必要がある場合には、都市計画区域の外で定めることができる(同法第11条第1項)。
・上記4.の地域地区は「用途地域」「特別用途地区」「高度地区」「高度利用地区」「特定街区」「防火地域」「準防火地域」「美観地区」「風致地区」「特定用途制限地域」「高層住居誘導地区」などの多様な地域・地区・街区の総称である。
・上記1.から11.の都市計画は都道府県または市町村が定める(詳しくは都市計画の決定主体へ)。
地域地区
都市計画において、土地利用に関して一定の規制等を適用する区域として指定された、地域、地区または街区をいう。
指定する地域地区の種類に応じて、その区域内における建築物の用途、容積率、高さなどについて一定の制限が課せられる。
地域地区の種類は、次の通りである。
1.用途地域
2.特別用途地区
3.特定用途制限地域
4.特例容積率適用地区
5.高層住居誘導地区
6.高度地区または高度利用地区
7.特定街区
8.都市再生特別措置法による都市再生特別地区、居住調整地域または特定用途誘導地区
9.防火地域または準防火地域
10.密集市街地整備法による特定防災街区整備地区
11.景観法による景観地区
12.風致地区
13.駐車場法による駐車場整備地区
14.臨港地区
15.古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法による歴史的風土特別保存地区
16.明日香村における歴史的風土の保存および生活環境の整備等に関する特別措置法による第一種歴史的風土保存地区または第二種歴史的風土保存地区
17.都市緑地法による緑地保全地域、特別緑地保全地区または緑化地域
18.流通業務市街地の整備に関する法律による流通業務地区
19.生産緑地法による生産緑地地区
20.文化財保護法による伝統的建造物群保存地区
21.特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法による航空機騒音障害防止地区または航空機騒音障害防止特別地区
商業地域
都市計画法(9条)で「主として商業その他の業務の利便を増進するため定める地域」と定義されている。
この用途地域では、建ぺい率の限度は原則として80%である。
また容積率の限度は200%から1300%の範囲内(12種類)で都市計画で指定される。
この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。
(建築できるもの)
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗等
4.事務所等
5.危険や環境悪化の恐れが少ない作業場面積が150平方メートル以下の工場
6.ホテル・旅館
7.ボーリング場・スケート場・ゴルフ練習場・カラオケボックス・パチンコ屋・麻雀屋等、映画館・劇場、料理店、キャバレー、個室付浴場
8.自動車教習所
9.倉庫業の倉庫
(建築できないもの)
1.上記に挙げたもの以外の工場
建築物
建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。
これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。
1.屋根と柱または壁を有するもの
2.上記に付属する門や塀
3.以上のものに設けられる建築設備
上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。
なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。
事務所等(宅地建物取引業法における〜)
宅地建物取引業法では、その第31条の3第1項で、一定の場所には、成年で専任の宅地建物取引士を置かなければならないと定めている。
この専任の宅地建物取引士を置くべき場所のことを、宅地建物取引業法では「事務所等」と表現している。
「事務所等」とは具体的には次の2種類の場所を指す言葉である。
1.「事務所」
原則的には本店・支店を「事務所」と呼ぶ。ただし、本店・支店以外であっても、継続的に業務を行なうことができる施設に宅地建物取引業に係る支店長や支配人を置いていれば、その施設は「事務所」に含まれることになる(宅地建物取引業法施行令第1条の2)。
2.「事務所以外で専任の宅地建物取引士を置くべき場所」
これは上記1.の事務所以外であって、専任の宅地建物取引士を置かなければならない場所のことである。この場所は宅地建物取引業法施行規則第15条の5の2において具体的に規定されている。
この規則第15条の5の2の内容は複雑なので、概略だけをまとめれば「事務所以外で継続的に業務を行なう施設を有する場所」「10区画以上または10戸以上の一団地の宅地建物を分譲する場合の案内所」「他の宅地建物取引業者が分譲する10区画以上または10戸以上の一団地の宅地建物の代理または媒介をする場合の案内所」「宅地建物取引業者が展示会その他の催しをする場所」という4種類の場所であって、契約の締結または契約の申込みの受付をする場所が、この規則第15条の5の2の場所である。
なお「事務所等」という言葉は、上記のとおり宅地建物取引業法第31条第3項で定義されている。しかし、宅地建物取引業法第37条の2(クーリングオフ)においてもやはり「事務所等」という言葉が使用されている。両者は異なる内容を指しているので注意したい。