換地計画
かんちけいかく
土地区画整理事業において、事業施行地区内の土地や土地に関する権利が、事業施行後にどのような姿となるかを定める計画をいう。
換地計画では、原則的には、事業前の各宅地に対して、事業によって整備された換地をそれぞれ交付するように定める。そのほか、換地に当たっての不均衡に対応するための金銭(清算金)の徴収・交付、公共用地の帰属、事業費に充てるための保留地などについても定められる。
換地計画において換地を定める場合には、原則として、換地および従前の宅地の位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等が照応するように定めなければならないとされている(照応原則)。また、換地計画を定めようとする場合には、2週間公衆の縦覧に供するなどの手続きが必要である。
換地計画の効果は、工事が完了した後になされる換地処分によって生じるのが原則である。従って、事業完了前に換地予定地を利用する場合には、その土地を仮換地に指定して利用することとなる。
土地区画整理事業
市街地を面的に整備するために、土地の区画形質の変更や公共施設の整備を行なう事業の一つで、土地区画整理法に従って実施されるものをいう。
この事業の実施によって、例えば、不整形な土地や袋地が解消され、道路や公園が整備されることとなる。
土地区画整理事業の特徴は、
1.権利変換による土地の交換・分合(換地)という手法を採用すること
2.新たに必要となる公共用地を土地所有者が平等に提供するという仕組み(減歩)によって生み出すこと
である。
また、事業によって宅地の評価が増価するが、その一部を事業に充てるという受益者負担の考え方が取り入れられていることも大きな特徴である。
日本においては、農地から市街地への土地利用の計画的な転換、大震災後の市街地復興、街路網の整備などの手法として多用されてきた。
宅地(宅地建物取引業法における〜)
宅地建物取引業法では、宅地の定義を次のように定めている(宅地建物取引業法第2条第1号、施行令第1条)。
1.用途地域内の土地について
都市計画法で定める12種類の用途地域内に存在する土地は、どのような目的で取引する場合であろうと、すべて宅地建物取引業法上の「宅地」である。
従って、例えば用途地域内に存在する農地を、農地として利用する目的で売却する場合であっても、宅地建物取引業法では「宅地」として取り扱う。
2.用途地域内の道路・公園・河川・広場・水路の用地について
用途地域内の土地のうちで、5種類の公共施設の用に供されている土地については、「宅地」から除外する。具体的には、道路・公園・河川・広場・水路という5種類の公共施設の用地は「宅地」から除外される(ただし下記の補足1を参照のこと)。
3.建物の敷地に供する目的で取引の対象とされた土地について
建物の敷地に供する目的で取引の対象とされた土地は、土地の原状の用途に関係なく、すべて宅地建物取引業法上の「宅地」である。
従って、例えば土地登記簿上の地目が「田」「畑」「池沼」「山林」「原野」である土地であっても、その土地を、建物の敷地に供する目的で取引するならば、宅地建物取引業法上はすべて「宅地」として取り扱われる。
これについては、土地の所在がどこであろうと適用される判断基準である。従って、都市計画区域外の山林や原野を、建物の敷地に供する目的で取引する場合には、その山林や原野は「宅地」として取り扱われる。
(補足1)用途地域内の道路・公園・河川・広場・水路の用地を、建物の敷地に供する目的で取引の対象とする場合について:
例えば、用途地域内の道路用地である土地を、建物の敷地に供する目的で取引する場合には、上記3.の基準が適用される。従って、この場合は、用途地域内の道路用地が、宅地建物取引業法上の「宅地」に該当することになる。
換地
土地区画整理事業によって行なう土地の所有権の変更をいう。
土地区画整理事業においては、土地の区画についてその位置等を変更する必要があるが、そのために行なわれる、区画を変更する前の宅地(従前の宅地)から区画を変更した後の宅地(新しい宅地)への土地の所有権の変更手続が「換地」である。
宅地所有者から見れば、いったん従来の宅地を失い、それと同時に新しい宅地を与えられるということである。また、こうして宅地所有者に与えられる新しい宅地そのものを「換地」と呼ぶこともある。
清算金
土地区画整理事業において、換地計画によって金銭により清算すると定められた場合のその金銭をいう。
清算金が定められるのは、同意による換地の不交付や技術的な事情によって換地等に不均衡が生ずると認められる場合で、その金額は、従前の宅地等および換地等の、位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等を総合的に考慮して決定される。
保留地
土地区画整理事業を実施した際に、事業主体が取得する宅地のことを「保留地」という。
土地区画整理事業では、事業が施行される区域内のすべての宅地は、従来の宅地所有者に交付される新しい宅地(換地)となるのが原則である。
しかし、事業にかかる費用を捻出する等の目的のために、施行区域内の一部の宅地は換地とせず、その土地を事業主体が取得することができるとされている。このような土地を「保留地」という(土地区画整理法第96条)。
保留地は、将来的には事業主体が一般人に売却して、その売却代金を事業費用に充てることが多い。
地積
土地登記簿に記載されている土地の面積をいう。
この地積は、明治初期の測量に基づく場合がある等の事情により、不正確であるケースが少なくない。
そのため、土地の売買にあたっては、土地登記簿の地積を信頼するのは危険であり、実際に測量をすることが望ましいといわれている。
換地処分
土地区画整理事業において行なわれる、土地の権利変動等の効果を生じる行政処分をいう。これによって換地は従前の宅地とみなされる。
権利変動などの内容は換地計画に定められているが、換地処分によってそれが法的な効果として確定することとなる。
換地処分は原則として工事が完了した後に遅滞なく行なわれ、公告される。そして、公告の翌日から、従前の宅地の所有権等は、換地計画において定められた換地の所有権等に変わる。また、換地処分による土地や建物の変動は、事業施行者によって登記される。
なお、換地処分は、土地改良事業においても行なわれることがある。
仮換地
土地区画整理事業において、正式な換地に先立って行なわれる換地をいう。
土地区画整理事業では、事業によって、区画を変更する前の宅地(従前の宅地)から区画を変更した後の宅地(新しい宅地)へと所有権が変更されるが(これを「換地」という)、その時期は、土地区画整理事業を行なう区域のすべてについて必要な工事が完了した時点とするのが原則である。しかし、工事に長期間を要することが多いため、工事が先に完成した地区において、仮に換地を定めて土地の利用を認めることがある。このようにして仮に換地を定めるのが仮換地である。また、仮換地された土地そのものを仮換地ということもある。
「仮換地」された宅地は、将来、そのまま正式に換地されるのが原則である。