シックハウス対策
しっくはうすたいさく
シックハウス症候群(住宅の内部に居ることによって起きる、原因がはっきりしない体調不良)を防ぐために化学物質の室内濃度を抑制することをいう。
建築基準法には、シックハウス対策として次のような規定がある。
1)クロルピリホスを添加した建材の使用禁止
2)内装仕上げ建材について、ホルムアルデヒドを発散する建材の面積制限
3)原則としてすべての建築物に機械換気設備の設置
4)天井裏等について、ホルムアルデヒドの発散の少ない下地建材の使用または機械換気設備の設置
また、住宅性能表示においては、ア)ホルムアルデヒド対策(内装および天井裏等)、イ)換気対策、ウ)室内空気の化学物質の濃度等に関する項目を表示の対象としている。
シックハウス症候群
住宅に起因する、倦怠感、めまい、頭痛、湿疹、のどの痛み、呼吸器疾患などの症状を総称していう。
汚染された住宅内の空気を吸引することによって発症する場合が多いとされ、建材や家具に含まれる有機溶剤や防腐剤、それらに類する揮発性有機化合物(VOC、Volatile Organic Compounds)が汚染源とされるほか、カビや微生物による空気汚染も原因となるといわれている。
その対策として、住宅性能表示制度における空気環境としてホルムアルデヒド濃度を表示することとされているほか、建築基準において、居室を有する建築物については、居室内において化学物質の発散による衛生上の支障がないように建築材料、および換気設備についての一定の技術的基準に適合すべきとされている。これによって、マンションなど特に気密性の高い住宅においては、ホルムアルデヒドを発散する恐れのある建築材料を使用しない場合であっても、家具からの発散の恐れがあるため、原則として、常時換気が可能な構造の機械換気設備等の設置が義務付けられている。
建築基準法
国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。
遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。
その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。
ホルムアルデヒド
揮発性有機化合物(VOC)の一つで、アルデヒド基(-CHO)を持つ化合物の代表とされる。化学式はCH2O。メタナールまたは酸化メチレンともいう。
無色で刺激臭のある気体で、毒性が強く、水に溶けたものはホルマリンといわれる。フェノール樹脂、尿素樹脂などの原料となるほか、安価なために、接着剤、塗料、防腐剤などとして広く用いられている。
建材や家具に使用されるホルムアルデヒドが原因となってシックハウス症候群を発症することがあるため、その濃度について指針があるほか、建築物への使用が規制されている。建築基準法では、単位時間・面積当たりのホルムアルデヒドの発散量に応じて、建築材料を第1種(0.12mg/平方メートルh超)から第3種(0.05mg/平方メートルh超0.02mg/住宅性能表示制度h以下)に分け、第1種については、使用を禁止し、第2種・第3種についても大臣認定を前提に使用面積を制限している(同法第28条の2第3号、同法施行令第20条の7から第20条の9)。
また、家具や建材からのホルムアルデヒドの発散に対応するため、マンションなど特に気密性の高い住宅においては、原則として常時換気が可能な構造の機械換気設備等の設置が義務付けられている。
さらに、住宅性能表示制度においても、「ホルムアルデヒド発散等級」を設けて性能評価の対象とし、住宅購入者の保護が図られている。
建築物
建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。
これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。
1.屋根と柱または壁を有するもの
2.上記に付属する門や塀
3.以上のものに設けられる建築設備
上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。
なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。