消費税
しょうひぜい
国内の資産・商品・サービスの取引によって発生する付加価値に対して課税される税金。
法人や個人事業者が有償で行なう「資産の譲渡」「商品の販売」「資産の貸付け」「サービスの提供」は原則としてすべて消費税が課税される「課税取引」とされている。
また、土地の販売・住宅の家賃のように、税の性格や社会政策的配慮により消費税が課税されないこととされている取引は「非課税取引」と呼ばれる。
なお、課税取引に基づく売上高が一定規模に達しない法人や個人事業者については「免税業者」や「簡易課税制度」という措置が設けられている。ただし、適格請求書発行事業者は、基準期間における課税売上高にかかわらず、納税義務は免除されない。
法人
私法上の概念で、自然人以外で、法律上の権利・義務の主体となることを認められた団体・財産をいう。
法人の設立は、法律の規定によらなければならないとされている。
例えば、一般社団法人、一般財団法人、株式会社、学校法人、宗教法人、管理組合法人などはすべて法人である。
課税取引
課税取引とは、消費税が課税される取引のことである。
本来、消費税はすべての取引に対して課税されるのが原則であるので、物品の販売やサービスの提供は原則的にすべて「課税取引」であるとされている。
しかし、税の性格や社会政策的配慮により消費税を課税しない取引が存在する。これは「非課税取引」と呼ばれている。
具体的には、不動産取引に関連して次のものは「非課税取引」とされている。
1.土地の販売における土地の対価
2.土地と建物を一体として販売する場合における土地部分の対価
3.借地権の譲渡の対価
4.住宅の賃貸借における家賃・共益費・礼金・更新料
注意
・不動産仲介手数料は、たとえ上記1.から4.に関する仲介であっても、課税対象である。
・施設の整備された駐車場の駐車料は課税対象である。
・住宅の賃貸借であっても、その賃貸期間が1ヵ月未満の短期である場合はその家賃は課税対象である。
・住宅の賃貸借において授受される敷金・保証金は預かり金であるので、課税対象とならない。
・住宅の賃貸借において授受される敷金・保証金のうち将来返還を予定しない部分(関西におけるいわゆる「敷引」など)は家賃と同様の扱いであり、非課税である。
非課税取引
消費税の性格や社会政策的配慮により、消費税が課税されない取引のことを「非課税取引」という。
詳しくは「課税取引」を参照のこと。
免税業者
消費税の課税において、その売り上げについて消費税が課税されない事業者をいう。
課税期間の基準期間(課税期間の前々年度)における課税売上高(課税される取引にもとづく売上高)が1,000万円以下の事業者がこれに該当する。ただし、適格請求書発行事業者は、基準期間における課税売上高にかかわらず、納税義務は免除されない。
免税業者については、その取引において消費税額を取引の相手から受け取るかどうかは、その自由な選択に委ねられている。
なお、免税業者は仕入れの際に支払った消費税額を必要経費に計上することができないため、それを必要経費に計上することを希望する場合には、自ら税務署に「課税業者となる旨の届出」を行なうことによって課税業者となることもできる。
簡易課税制度
消費税が課税される取引(これを課税取引という)に基づく売上高を「課税売上高」と呼ぶ。
前々年における課税売上高が5,000万円以下であるとき、その会社または個人事業者は、仕入れにおいて支払った消費税額の複雑な計算をしないで、次のような簡単な計算で消費税額を求めることができる。
消費税の納税額=消費税を除外した課税売上高×(1−みなし仕入率)×消費税率
このように簡単な計算方法で消費税の納税額を求める制度のことを「簡易課税制度」と呼んでいる。
この「簡易課税制度」は1989年の消費税導入に際して、仕入れに係る消費税額の計算の事務負担が大き過ぎるという批判によって導入されたものである。
上記計算で使用する「みなし仕入率」は業種ごとに、第一種事業(卸売業)90%、第二種事業(小売業)80%、第三種事業(製造業等)70%、第四種事業(その他の事業)60%、第五種事業(サービス業等) 50%と定められている。不動産業は第六種事業40%とされている。また、複数の事業を営む場合には、原則として消費税額によって按分してみなし仕入率が適用される。
なお、この「簡易課税制度」を選択する場合には、税務署への届出が必要である。