カイン
かいん地震動の強さを示す単位の一つで、観測地での揺れの速度を表す数値である。1カイン(kine)は1秒間に1センチメートル変位する速度で、数値が大きいほどより早い速度で揺れる地震動である。
地震動の大きさを示す単位はいくつかあるが、カインは、建物被害の状況と密接に関係する単位であると考えられている。そのため、建物の耐震設計における想定地震動の強さはカインで表されていて、L1地震(耐用年数中に一度以上は受ける可能性が高い地震動)は25カイン以上、L2地震(過去、将来にわたって最強と考えられる地震動)は50カイン以上を想定することとされている。
なお、阪神・淡路大震災(1995年)と東日本大震災(2011年)は同程度の震度が観測された地震であったが、地震動の速度(建物が最も揺れやすい周期1〜2秒の振動の速度)は、前者のほうが後者よりも相当に大きかった。そして、前者の被害は家屋倒壊によるものが多数を占めているが、後者の被害は建物倒壊によるものは少なく、大部分は津波による被害であった。
地殻が急激にずれ動く現象。これに伴って起きる大地の揺れ(地震動)をいう場合もある。地震が発生したとき最初に地殻が動いた場所が「震源」、震源の地表面位置が「震央」、伝播する地震動が「地震波」である。
地震の大きさを示す指標には、地震の規模によるものと、地震動の大きさによるものの2種類がある。一般に、地震の規模は地震によって放出されるエネルギー量を示す「マグニチュード(M)」で、地震動の大きさは揺れの程度を客観的に段階化した「震度」で示される。震度は、マグニチュードだけでなく、震源からの距離、地震波の特性、地盤の構造や性質などによって決まる。
地震が発生しやすいのは地殻に力が加わって歪みが蓄積している場所で、地震はその歪みが解消する際に起きると考えられている。しかし、発生の場所と時点を特定するのは非常に難しい。
なお、構造物の耐震設計は、地震動によって構造物に加わる力を許容できる程度に抑えるための設計であるから、想定する地震動の大きさや性質(揺れの方向、振動数、継続時間など)が重要となる。