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最終更新日:2023/9/20

カイン

かいん

地震動の強さを示す単位の一つで、観測地での揺れの速度を表す数値である。1カイン(kine)は1秒間に1センチメートル変位する速度で、数値が大きいほどより早い速度で揺れる地震動である。

地震動の大きさを示す単位はいくつかあるが、カインは、建物被害の状況と密接に関係する単位であると考えられている。そのため、建物の耐震設計における想定地震動の強さはカインで表されていて、L1地震耐用年数中に一度以上は受ける可能性が高い地震動)は25カイン以上、L2地震(過去、将来にわたって最強と考えられる地震動)は50カイン以上を想定することとされている。

なお、阪神・淡路大震災(1995年)と東日本大震災(2011年)は同程度の震度が観測された地震であったが、地震動の速度(建物が最も揺れやすい周期1〜2秒の振動の速度)は、前者のほうが後者よりも相当に大きかった。そして、前者の被害は家屋倒壊によるものが多数を占めているが、後者の被害は建物倒壊によるものは少なく、大部分は津波による被害であった。

-- 本文のリンク用語の解説 --

建物

民法では、土地の上に定着した物(定着物)であって、建物として使用が可能な物のことを「建物」という。 具体的には、建築中の建物は原則的に民法上の「建物」とは呼べないが、建物の使用目的から見て使用に適する構造部分を具備する程度になれば、建築途中であっても民法上の「建物」となり、不動産登記が可能になる。

L1地震

構造物の耐震設計において、耐用年数のあいだに一度は受けると想定される地震動をいう。L1は「レベル1」の略である。

構造物は、L1地震が起きたときに、おおむね弾力的な揺れで対応でき、構造材の破断などが生じないよう設計することとされている。これを「一次設計」という。

耐用年数

建物、機械、器具などが使用に耐えることのできる年数。材料や構造だけでなく、管理の状態によっても異なる。 また、財務会計においては、減価償却費の算定基準として耐用年数が定められている。これを「法定耐用年数」といい、たとえば住宅用建物の法定耐用年数は、木造が22年、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造が47年、軽量鉄骨造(骨格材肉厚3mm超4mm以下)が27年などとされている。 実際の耐用年数と法定耐用年数とは異なるので、用語の扱いに注意しなければならない。

L2地震

構造物の耐震設計において、発生する可能性がある最大級の地震動をいう。L2は「レベル2」の略である。

構造物は、L2地震が起きたときに、構造物の倒壊などによって人命の安全を大きく損うことがないよう設計することとされている。これを「二次設計」という。
-- 関連用語 --
地震

地殻が急激にずれ動く現象。これに伴って起きる大地の揺れ(地震動)をいう場合もある。地震が発生したとき最初に地殻が動いた場所が「震源」、震源の地表面位置が「震央」、伝播する地震動が「地震波」である。

地震の大きさを示す指標には、地震の規模によるものと、地震動の大きさによるものの2種類がある。一般に、地震の規模は地震によって放出されるエネルギー量を示す「マグニチュード(M)」で、地震動の大きさは揺れの程度を客観的に段階化した「震度」で示される。震度は、マグニチュードだけでなく、震源からの距離、地震波の特性、地盤の構造や性質などによって決まる。

地震が発生しやすいのは地殻に力が加わって歪みが蓄積している場所で、地震はその歪みが解消する際に起きると考えられている。しかし、発生の場所と時点を特定するのは非常に難しい。

なお、構造物の耐震設計は、地震動によって構造物に加わる力を許容できる程度に抑えるための設計であるから、想定する地震動の大きさや性質(揺れの方向、振動数、継続時間など)が重要となる。