最終更新日:2023/10/24
IT重説
あいてぃーじゅうせつ不動産取引における重要事項説明を、インターネット等を活用して対面以外の方法で行なうこと、またはその方法を導入すること。
重要事項説明は、宅地建物取引士が対面で行ない、書面を交付しなければならないとされていた(宅地建物取引業法)。しかし、情報技術を活用すれば、インターネット等を利用して説明し、電磁的方法で書面を交付することができるとして、賃貸取引は平成29年(2017)10月から、売買取引は令和3年4月からIT重説の本格運用が開始された。なお、令和4(2022)年5月の宅建業法改正により重要事項説明書の電磁的交付ができるようになっている。
IT重説を実施するに当たっては、主に次の点に留意が必要になる。1)取引士により重要事項説明が行なわれ、取引士証が提示されること、2)重要事項説明を受ける者が契約者本人であること、3)取引士が、必要な内容について伝達すること、4)取引士と重要事項説明を受ける者とのやり取りに十分な双方向性があること。
なお、実務に関する詳細は国土交通省より出されている「重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明実施マニュアル」を参照する必要がある。
重要事項説明
重要事項説明を必要とするのは、宅地建物取引業者が自ら売主として取引する場合、および不動産取引を代理・媒介する場合であり、その説明は、売買契約や賃貸借契約を締結するよりも前に行なわなければならない。また、説明に当たるのは宅地建物取引士でなければならず、さらには、説明する重要事項をすべて書面に記載し、取引当事者にその書面(重要事項説明書)を交付する必要がある(相手方の同意を得たうえで電磁的方法で書面を交付し、IT(インターネット等)を用いた説明を行なうこともできる)。
説明を要する事項は、売買か賃貸かなどの取引内容に応じて異なるが、大きく分けて、 1.取引対象不動産の権利関係、2.取引対象不動産に係る法令上の制限、3.取引対象不動産の状態やその見込み、4.契約の条件 に関する事項とされている(詳細は必ず直接に法令(宅地建物取引業法第35条およびその関連法令)に当たって確認されたい。また、臨機に改正も予想されるので留意が必要である)。
重要事項説明は、不動産の特性や取引の形態に起因して取引当事者に不利益が発生することを防ぐための仕組みとされ、その適正な実施が強く求められている。
宅地建物取引士
一定以上の知識・経験を持つ者として公的に認められた者である。宅地建物取引業者は、事務所ごとに従事者5名に対して1名以上の割合で、専任の宅地建物取引士を置かなければならない(詳しくは宅地建物取引士の設置義務へ)。
宅地建物取引において特に重要な次の3つの業務は、宅地建物取引士だけが行なうことができるとされている(宅地建物取引士ではない者はこれらの業務を行なうことができない)。 1.重要事項説明
2.重要事項説明書への記名・押印
3.37条書面への記名・押印
宅地建物取引士となるためには、具体的には次の1)から5)の条件を満たす必要がある。 1)宅地建物取引士資格試験に合格すること
宅地建物取引業に関して必要な知識に関する資格試験である宅地建物取引士資格試験に合格することが必要である。なお、一定の要件を満たす者については宅地建物取引士資格試験の一部免除の制度がある。
2)都道府県知事に登録を申請すること
この場合、宅地建物取引に関して2年以上の実務経験を有しない者であるときは、「登録実務講習」を受講し修了する必要がある。
3)都道府県知事の登録を受けること
登録を受けるには一定の欠格事由に該当しないことが必要である。
4)宅地建物取引士証の交付を申請すること
宅地建物取引士証の交付を申請する日が宅地建物取引士資格試験に合格した日から1年を超えている場合には、都道府県知事の定める「法定講習」を受講する義務がある。
5)宅地建物取引士証の交付を受けること
氏名、住所、生年月日、有効期間の満了する日等が記載されている宅地建物取引士証の交付を受けて初めて正式に宅地建物取引士となる(氏名において旧姓が併記された宅地建物取引士証の交付を受けた日以降は、書面への記名等の業務において旧姓を使用してよいこととされている)。 宅地建物取引士は、宅地建物の取引の専門家として、購入者等の利益の保護および円滑な宅地建物の流通に資するよう公正誠実に業務を処理するほか、信用・品位を害するような行為をしないこと、必要な知識・能力の維持向上に努めることとされている。
宅地建物取引業法
この法律に定められている主な内容は、宅地建物取引を営業する者に対する免許制度のほか、宅地建物取引士制度、営業保証金制度、業務を実施する場合の禁止・遵守事項などである。これによって、宅地建物取引業務の適正な運営、宅地および建物の取引の公正の確保および宅地建物取引業の健全な発達の促進を図ることとされている。
取引士証
都道府県知事の行なう宅地建物取引士資格試験に合格し、都道府県知事の登録を受けた者は、登録をしている都道府県知事に対して申請することにより、宅地建物取引士証の交付を受けることができる(宅地建物取引業法第22条の2)。
宅地建物取引士証は顔写真付のカードであり、氏名、住所、生年月日、有効期間の満了する日等が記載されている。
有効期間は5年であり、申請により更新することができる(宅地建物取引業法第22条の3)。
取引士証の交付を受ける際に、取引士証の交付を申請する日が宅地建物取引士資格試験に合格した日から1年を超えている場合には、「法定講習」を受講する義務が生じるので注意が必要である(宅地建物取引業法第22条の2第2項)。
不動産取引における重要事項説明を、インターネット等を活用して対面以外の方法で行なうこと、またはその方法を導入すること。
重要事項説明は、宅地建物取引士が対面で行ない、書面を交付しなければならないとされていた(宅地建物取引業法)。しかし、情報技術を活用すれば、インターネット等を利用して説明し、電磁的方法で書面を交付することができるとして、賃貸取引は平成29(2017)年10月から、売買取引は令和3(2021)年4月からIT重説の本格運用が開始された。なお、令和4(2022)年5月の宅建業法改正により重要事項説明書の電磁的交付ができるようになっている。
IT重説を実施するに当たっては、主に次の点に留意が必要になる。1) 取引士により重要事項説明が行なわれ、取引士証が提示されること、2) 重要事項説明を受ける者が契約者本人であること、3) 取引士が、必要な内容について伝達すること、4)取引士と重要事項説明を受ける者とのやり取りに十分な双方向性があること。
なお、実務に関する詳細は国土交通省より出されている「重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明実施マニュアル」を参照する必要がある。
情報通信技術を大幅に活用した不動産サービスをいう。「不動産」と「技術(Technology)」を組み合わせた造語で、英語のReal Estateと組み合わせて「ReTech」とも言われる。
不動産テックで活用されるであろう主な技術は、分散型情報ネットワークの構築・運営、大量データの蓄積・解析、コンピュータによる知的情報処理(AI)などであるが、その具体的なビジネス展開はこれからである。
なお、情報通信技術を大幅に活用したビジネス展開が注目されている分野の代表は金融(FinTech)であるが、その動きは、不動産分野だけでなく、教育(EdTech)、医療(HealthTech)など多方面に広がっている。