最終更新日:2023/10/24
賃貸住宅管理業
ちんたいじゅうたくかんりぎょう賃貸住宅の賃貸人から委託を受けて、住宅の点検、清掃等の維持保全業務およびこれと併せて行なう家賃、敷金、共益費等の管理業務を実施する営業。業務の実施について、賃貸住宅管理業法に基づき規制が課されている。
まず、賃貸住宅管理業を実施する場合には、管理戸数が一定規模未満の事業を除き、国土交通大臣の登録を受けなければならない。
また、営業に当たっては、a)事務所毎に、業務管理者(賃貸住宅の管理に関する知識・経験等を有する一定の資格者)を選任し配置すること、b)管理を受託する契約の締結前に具体的な管理業務の内容・実施方法等(重要事項)について書面を交付して説明すること、c)管理する家賃等について自己の固有の財産等と分別して管理すること、d)業務の実施状況等について管理受託契約の相手方に対して定期的に報告すること、e)名義貸しをしない、知り得た秘密を守る、標識を掲示するなどの義務を遵守しなければならない。
登録を受けた賃貸住宅管理業者は、国土交通大臣による監督を受けることとなるが、賃貸住宅管理業法は、監督措置として、報告聴取、立入検査、業務改善命令、登録の取り消しなどを定めている。
なお、賃貸住宅管理業に対する法規制は、賃貸住宅管理業法の施行(2021年6月)から発効し、また、法施行のときに現に賃貸住宅管理業を営んでいる者の登録義務は一年間猶予された。
-- 本文のリンク用語の解説 --
敷金
建物の賃貸借契約を新規に締結する際に、借主から貸主に対して、次のような目的のために預けられる金銭。
1.賃料の不払い・未払いに対する担保
2.契約により借主が負担すべき修繕費用や原状回復費用の前払い
将来契約が終了した場合には、上記1や2の金額を控除した残額が、借主に対して退去後に返還される。なお、関西等では「敷引」の慣行がある。
1.賃料の不払い・未払いに対する担保
2.契約により借主が負担すべき修繕費用や原状回復費用の前払い
将来契約が終了した場合には、上記1や2の金額を控除した残額が、借主に対して退去後に返還される。なお、関西等では「敷引」の慣行がある。
共益費
賃貸集合住宅の入居者や事務所ビルのテナントが、建物の賃料とは別に負担する費用をいう。
建物全体の清掃や補修、警備等の費用、建物の共用部分に関する付加使用料など、入居者やテナントが分別して負担することが難しい費用が対象となる。専有面積当たりで算出し、月払いするのが一般的である。
なお、法律上の用語としても「共益費」が使われるが、これは同一の債務者に対する各債権者に共通の利益のために要した費用のことである。
例えば、ある債権者が債務者の財産を保存すればそれは他の債権者に利益にもなるので、そのための費用は共益費として、他の債務者に優先して弁済を受けることができるとされる。建物の賃借人が負担する共益費は、これとはまったく別のものであるから、注意を要する。
なお、法律上の用語としても「共益費」が使われるが、これは同一の債務者に対する各債権者に共通の利益のために要した費用のことである。
例えば、ある債権者が債務者の財産を保存すればそれは他の債権者に利益にもなるので、そのための費用は共益費として、他の債務者に優先して弁済を受けることができるとされる。建物の賃借人が負担する共益費は、これとはまったく別のものであるから、注意を要する。
賃貸住宅管理業法
賃貸住宅を管理する業務を適正に実施するための措置を定めた法律。正式な名称は「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」で、2020年6月に制定された。
賃貸住宅管理業法が定める主な措置は次のとおりである。
(1)賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設
・委託を受けて賃貸住宅の管理業務を行う事業を営もうとする者について、 国土交通大臣の登録を義務付ける。(ただし、管理戸数が一定規模未満の者は義務ではなく任意登録。なお、管理業務とは、賃貸住宅の維持保全及びこれと併せて行う家賃、敷金、共益費等の管理である。)
・賃貸住宅管理業者の業務について、次のことを義務付ける。
a)事務所毎に、業務管理者(賃貸住宅の管理に関する知識・経験等を有する一定の資格者)を選任し配置すること
b)管理受託契約の締結前に、具体的な管理業務の内容・実施方法等(重要事項)について書面を交付して説明すること
c)管理する家賃等について、自己の固有の財産等と分別して管理すること
d)業務の実施状況等について、管理受託契約の相手方に対して定期的に報告すること
e)名義貸しの禁止、知り得た秘密を守ること、標識の掲示など
(2)サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化に係る措置
・サブリース業者及び勧誘者が特定賃貸借契約(住宅を転貸するための賃貸借契約/マスターリース契約ともいう)を勧誘する場合に、契約の相手方に誇大に広告する行為及び家賃の減額リスクなど相手方の判断に影響を及ぼす事項について故意に事実を告げずまたは不実を告げる行為を禁止する。
・特定賃貸借契約の締結前に、家賃、契約期間等(重要事項)を記載した書面を交付して説明することを義務付ける。
なお、法律は、(1)に関しては21年6月から、(2)に関しては20年12月から施行された。
業務管理者(賃貸住宅管理業の〜)
賃貸住宅の管理に関する知識・経験等を有する一定の資格者。賃貸住宅管理業法に基づき、賃貸住宅管理業を営む場合に、事務所毎に選任し配置しなければならないとされている。
業務管理者の資格は、管理業務に関する2年以上の実務経験があり登録試験に合格した者や、賃貸不動産経営管理士、宅地建物取引士であって指定講習を修了した者等、一定の要件を満たす者について認められる。
管理受託契約
賃貸住宅の管理業務を受託する契約で、賃貸する住宅の所有者と賃貸住宅管理業者とのあいだで締結される。
管理受託契約には、業務の内容・実施方法、費用、再委託、免責などに関する事項が記載される。賃貸住宅管理業者は、管理受託契約を締結する前に、それらの事項(重要事項)を、業務を委託する住宅の所有者に書面を交付して説明しなければならない。