最終更新日:2025/10/15
所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法
しょゆうしゃふめいとちのりようのえんかつかとうにかんするとくべつそちほう所有者不明土地の利用の円滑化や、土地の所有者の効果的な探索を図るために必要な措置を定めた法律。2018年に制定された。
所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法が定める主な措置は、次の通りである。
(1)所有者不明土地の利用円滑化のための措置
ア)一定の要件を満たす所有者不明土地(特定所有者不明土地)について、公共事業における収用手続きにおいて収用委員会による審理手続きを省略することができる。
イ)特定所有者不明土地に対して、地域福利増進事業に利用する権利を設定することができる。
(2)所有者の探索を合理化するための措置
ア)行政機関は、土地の所有者の探索のために必要な公的情報を利用することができる。
イ)登記官は、所有権の登記名義人の死亡後に相続登記等がされていない土地であって、公共の利益となる事業の円滑な遂行を図るためその所有権の登記名義人となり得る者を探索する必要があるもの(特定登記未了土地)で一定の要件を満たす土地について、特定登記未了土地である旨等を職権で登記できる。
(3)所有者不明土地を適切に管理するための措置
地方公共団体の長等は、所有者不明土地について、家庭裁判所に相続財産の管理人の選任を請求できる。
-- 本文のリンク用語の解説 --
	所有者不明土地
探索しても所有者を確知できない土地。所有者が不明な場合のほか、所有者の所在が分からない場合も含まれる。
 
土地所有者の探索は、公的書類等による調査や聞き取り調査によるが、所有者が判明しなかったり、判明しても所在が不明の場合が少なくなく、また、長期にわたって相続登記がなく、数次の相続を経ているため所有者が多数にのぼるなど探索が困難な場合もある。このため、土地の公共的な利用に支障が生じることがある。
 
そこで、2018(平成30)年に、一定の事業のために特定の所有者不明土地を円滑に利用すること、所有者不明土地の財産管理人の選任申立権を地方公共団体の長等に付与すること、名義人死亡後長期間相続登記等がされていない土地である旨を登記に付記することなどの制度が創設された(所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法)。 また所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)が行なわれ、2023(令和5)年からは要件に該当する相続した土地については国庫に帰属させることができるようになり、2024(令和6)年からは相続登記が義務化になるなどの取り組みが進められている。
	土地所有者の探索は、公的書類等による調査や聞き取り調査によるが、所有者が判明しなかったり、判明しても所在が不明の場合が少なくなく、また、長期にわたって相続登記がなく、数次の相続を経ているため所有者が多数にのぼるなど探索が困難な場合もある。このため、土地の公共的な利用に支障が生じることがある。
そこで、2018(平成30)年に、一定の事業のために特定の所有者不明土地を円滑に利用すること、所有者不明土地の財産管理人の選任申立権を地方公共団体の長等に付与すること、名義人死亡後長期間相続登記等がされていない土地である旨を登記に付記することなどの制度が創設された(所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法)。 また所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)が行なわれ、2023(令和5)年からは要件に該当する相続した土地については国庫に帰属させることができるようになり、2024(令和6)年からは相続登記が義務化になるなどの取り組みが進められている。
特定所有者不明土地
所有者不明土地のうち、現に建築物がなく、業務の用、その他の特別の用途に供されていない土地(簡易構造の小規模な建築物がある土地を含む)をいう。
 
特定所有者不明土地については、地域福利増進事業を実施しようとする者が一定の手続きによって土地使用権を設定し、事業の用に供することができる。また、事業認定を受けた収用適格事業または都市計画事業の企業地・事業地内にある特定所有者不明土地について、起業者・事業者は、都道府県知事の裁定によってその土地を収用または使用することができる。
	特定所有者不明土地については、地域福利増進事業を実施しようとする者が一定の手続きによって土地使用権を設定し、事業の用に供することができる。また、事業認定を受けた収用適格事業または都市計画事業の企業地・事業地内にある特定所有者不明土地について、起業者・事業者は、都道府県知事の裁定によってその土地を収用または使用することができる。
収用委員会
土地収用の裁決等を行なう組織をいう。
都道府県知事の所轄のもとに置かれるが、独立してその職権を担う。都道府県の議会の同意を得て都道府県知事が任命する委員7人をもって組織し、委員の任期は3年である。
	都道府県知事の所轄のもとに置かれるが、独立してその職権を担う。都道府県の議会の同意を得て都道府県知事が任命する委員7人をもって組織し、委員の任期は3年である。
所有権
法令の制限内で自由にその所有物の使用、収益および処分をする権利をいう。
物を全面的に、排他的に支配する権利であって、時効により消滅することはない。その円満な行使が妨げられたときには、返還、妨害排除、妨害予防などの請求をすることができる。
近代市民社会の成立を支える経済的な基盤の一つは、「所有権の絶対性」であるといわれている。だが逆に、「所有権は義務を負う」とも考えられており、その絶対性は理念的なものに過ぎない。
土地所有権は、法令の制限内においてその上下に及ぶとされている。その一方で、隣接する土地との関係により権利が制限・拡張されることがあり、また、都市計画などの公共の必要による制限を受ける。さらには、私有財産は、正当な補償の下に公共のために用いることが認められており(土地収用はその例である)、これも所有権に対する制約の一つである。
	近代市民社会の成立を支える経済的な基盤の一つは、「所有権の絶対性」であるといわれている。だが逆に、「所有権は義務を負う」とも考えられており、その絶対性は理念的なものに過ぎない。
土地所有権は、法令の制限内においてその上下に及ぶとされている。その一方で、隣接する土地との関係により権利が制限・拡張されることがあり、また、都市計画などの公共の必要による制限を受ける。さらには、私有財産は、正当な補償の下に公共のために用いることが認められており(土地収用はその例である)、これも所有権に対する制約の一つである。
登記名義人
一筆の土地または一個の建物に関する登記記録において、不動産に関して所有権・賃借権・抵当権などの権利を有する者として記載されている者のことを「登記名義人」という。
例えば、A氏からB氏への所有権移転登記が記載されている場合、B氏が登記名義人と呼ばれる。
	相続登記
相続の発生に伴って、土地建物の権利者(または権利の割合)が変わった場合に、その権利の変更を登記することを「相続登記」という。
 
相続登記をするには、法定相続分のままで登記する場合と、遺産分割協議で決定した内容に基づいて登記する場合がある。また、有効な遺言書が存在すれば、遺言書に従って相続登記することになる。
 
法定相続分のままで相続登記をし、その後に遺産分割協議が成立した場合は、その協議の決定内容に基づいて再度、相続登記を申請することになる。
 
なお、不動産登記法の改正によって、相続登記が義務化された(2024年4月1日施行)。この場合、正式の申請に代わって、相続した旨のみを申し出ることで申請義務を履行したものとみなす仕組み(相続人申告登記)も創設されている(「相続登記の義務化」参照)。
	相続登記をするには、法定相続分のままで登記する場合と、遺産分割協議で決定した内容に基づいて登記する場合がある。また、有効な遺言書が存在すれば、遺言書に従って相続登記することになる。
法定相続分のままで相続登記をし、その後に遺産分割協議が成立した場合は、その協議の決定内容に基づいて再度、相続登記を申請することになる。
なお、不動産登記法の改正によって、相続登記が義務化された(2024年4月1日施行)。この場合、正式の申請に代わって、相続した旨のみを申し出ることで申請義務を履行したものとみなす仕組み(相続人申告登記)も創設されている(「相続登記の義務化」参照)。
特定登記未了土地
所有権の登記名義人の死亡後に相続登記等がされていない土地であって、公共の利益となる事業の円滑な遂行を図るため、当該土地の所有権の登記名義人となり得る者を探索する必要があるものをいう。
 
登記官は、その所有権の登記名義人の死亡後一定の期間(10年以上30年以内で政令で定められる)を超えて相続登記等がされていないと認めるときは、当該土地の所有権の登記名義人となり得る者を探索したうえで、職権で、所有権の登記名義人の死亡後長期間にわたり相続登記等がされていない土地である旨などをその所有権の登記に付記することができる。
	登記官は、その所有権の登記名義人の死亡後一定の期間(10年以上30年以内で政令で定められる)を超えて相続登記等がされていないと認めるときは、当該土地の所有権の登記名義人となり得る者を探索したうえで、職権で、所有権の登記名義人の死亡後長期間にわたり相続登記等がされていない土地である旨などをその所有権の登記に付記することができる。
地方公共団体
地域における行政を自主的、総合的に実施する役割を担う団体。その組織、運営、財務などについては、憲法の規定に基づき、地方自治法等によって定められている。
普通地方公共団体である都道府県・市町村と、特別地方公共団体である特別区・地方公共団体の組合・財産区の二種類に分類され、いずれも法人である。また、市町村は、地域の事務を一般的に処理する基礎的な地方公共団体である。
地方公共団体は、地方自治の本旨に基づいて組織し、運営しなければならない。この場合、地方自治の本旨とは、「団体自治」(国から独立した地域団体によって自己の事務を自己の機関・責任で処理し、国家から独立して意志を形成すること)および「住民自治」(住民が行政需要を自らの意思・責任によって充足し、意志形成において住民が政治的に参加すること)であるとされている。
	 (C)1997-2008 一般社団法人 不動産流通経営協会 All rights are reserved.
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