財形住宅融資
ざいけいじゅうたくゆうし
財形貯蓄を行なっている勤労者に対する住宅資金の融資。
勤労者退職金共済機構による転貸融資、住宅金融支援機構および沖縄振興開発金融公庫による直接融資、公務員共済組合による直接融資がある。
財形住宅融資の金利は5年間固定金利で、通常、一般の住宅ローン金利よりも低い。返済期間は最長35年以内で、元利均等払い、元金均等払いのいずれかを選択できる。また、転貸融資の場合には、事業主から負担軽減措置を受けることができる。
財形貯蓄(住宅、年金、一般)
勤労者が財形貯蓄取扱機関と契約を締結し、事業主が勤労者に代わって賃金から天引き預金する方法により貯蓄を行なう制度。事業主が天引き預金するためには労使の合意が必要である。勤労者財産形成促進法に基づいて運用されている。
財形貯蓄は、次の3つの種類に分かれている。
ア 財形住宅貯蓄
持家取得を目的として行なう貯蓄で、55歳未満の勤労者が5年以上の期間にわたって定期的に賃金からの天引きで積み立てるもの。
イ 財形年金貯蓄
年金として支払いを受けることを目的とした貯蓄で、55歳未満の勤労者が5年以上の期間にわたって定期的に賃金からの天引きで積み立てるもの。年金は、60歳以降の契約所定の時期から5年以上の期間にわたって支払われる。
ウ 一般財形貯蓄
勤労者が3年以上の期間にわたって定期的に賃金からの天引きで積み立てる貯蓄。契約時の年齢制限がなく、貯蓄の使途は自由である。
財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄については、両方を合わせて元利合計550万円(財形年金貯蓄のうち、郵便貯金、生命保険の保険料等に係るものにあっては払込ベースで385万円)から生ずる利子等が非課税とされている。
住宅金融支援機構
政府の保証を背景とした住宅金融業務を実施することを目的に設立された「住宅金融公庫」の権利義務を引き継ぐ形で2007(平成19)年に設立された。
主な業務は、
1.一般の金融機関の住宅貸付債権の譲受け、住宅貸付債権を担保とする債券に係る債務保証などの業務(証券化支援業務)
2.民間住宅ローンについて保険を行なう業務(融資保険業務)
3.災害関連、都市居住再生等の一般の金融機関による融通が困難な分野で住宅資金を直接に融資する業務(直接融資業務)
である。
なお、住宅金融公庫が民間金融機関と提携して実施していた長期固定金利の住宅資金融資(フラット35)は、証券化支援業務の一つであり、機構が引き続き実施している。
固定金利型
住宅ローンなどにおいて、返済終了時まで返済利率が変わらない方式をいう。これに対して、市況等に応じて返済利率が変化する方式を「変動金利型」という。
固定金利型の借入れにおいては、借入金完済までの資金計画が確定し、金利が高くなるリスクを負担する必要がない一方、変動金利型よりも利率が高めである。また、市場金利が大幅に低下した場合には、借り換えなどによって利息負担を軽減できるが、その実施について一定の制約が課されている場合が多い。
住宅ローン
個人に対する住宅資金の融資をいう。
主として民間の金融機関が担っているが、その円滑な実施などのため、(独)住宅金融支援機構(住宅金融公庫の廃止後、その機能の一部を引き継いだ組織)と連携することが多い。また、年金基金、共済組合などが融資する場合もある。
融資の期間、利率(固定金利か変動金利かを含めて)などの条件は、金融機関によって異なるほか、借入者の属性や状況等、金融機関との取引の状況に応じて多様である。その選択のために、借入と償還をさまざまにシュミレーションできるサービスも提供されている。
住宅ローンの実施に際しては、通常、融資対象となる住宅に担保権が設定されるほか、連帯保証人を求められることが多い。また、住宅販売会社が提携金融機関の融資を斡旋する場合もある(提携住宅ローン)。
なお、住宅ローンの負担軽減のための税制上の優遇措置(住宅ローン減税)があるほか、住宅ローン債権がSPCなどに譲渡され証券化される例も増えてきている。