地目の変更
ちもくのへんこう
土地登記簿上の「地目」が、実際のその土地の現況および利用状況と明らかに食い違う場合には、登記所に対して「地目の変更登記」を申請することができる。例えば、農業委員会から農地の転用許可を取得して、農地を宅地にした場合には、登記所に対して「地目の変更登記」を申請することとなる。
また農地の転用許可を取得しない場合でも、20年以上の長期間にわたって農地が耕作されていない等の場合には、当該市町村の農業委員会から「非農地証明」を取得した後に「地目の変更登記」を申請することが可能とされる場合がある。
土地登記簿
一筆の土地ごとに作成される登記記録のこと。
地目
登記所の登記官が決定した土地の主な用途のこと。
土地登記簿の最初の部分(表題部という)には、土地の所在、地番、地目、地積(土地面積)が記載されている。
地目は、現況と利用状況によって決められることになっており、次の23種類に限定されている。
田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、
墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、
堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園、雑種地
登記所
登記事務を担当する機関のこと。
一般名称として「登記所」と呼んでいるが、正式名称は「法務局」、「地方法務局」、「支局」、「出張所」である。
農業委員会
市町村に設置される独立の行政委員会で、農業者の代表機能を持つ合議体組織。公選された委員と推薦された委員とで構成される。
農地の権利移動許可、転用許可などに関して専属的な行政権限を持つ他、耕作放棄地の解消などの実施機能も担っている。
また、市街化区域内の農地転用に際しては、農業委員会に届け出ることが必要である。
農地
一般的には「耕作の目的に供されている土地」を「農地」と呼ぶ(農地法第2条第1項)。
実際には、ある土地が「農地」であるかどうかをめぐって争いがあることが少なくない。ちなみ、過去の裁判例では次の1.2.のような基準が設けられている。
1.「農地」であるかどうかは、登記簿上の地目とは関係がない。たとえ地目が「原野」であっても、現状が「耕作目的の土地」であれば「農地」となる。
2.「農地」とは継続的に耕作する目的の土地である。住宅を建てるまでの間、一時的に野菜を栽培しているような家庭菜園などは「農地」ではない。その反面、たとえ休耕地であっても将来にわたって耕作する目的のものは「農地」である。
実務的には、宅地であるのか農地であるのか判断が分かれるような土地について取引を行なう場合には、市町村の農業委員会において確認を受けることが最も安全である。
宅地(不動産登記法における〜)
土地登記簿の最初の部分(表題部という)には土地の「地目」が記載されている。地目は、「田」「畑」「宅地」「山林」「原野」など全部で21種類に限定されており、ここでいう「宅地」とは「建物の敷地およびその維持もしくは効用を果たすための土地」と説明されている。
なお、現況が明らかに「宅地」であるにもかかわらず、登記簿上の地目が「田」や「畑」となっている場合には、登記所に対して「地目の変更登記」を申請することが可能な場合もある。
関連用語
非農地証明
各市町村に設置された農業委員会が発行する証明書の一つである。
「非農地証明」が発行されるのは次のいずれか一つに該当する場合である。
1.農地法が適用された日以前から非農地であった土地
2.自然災害による災害地で農地への復旧が困難であると認められる土地
3.農業振興地域の整備に関する法律で定める「農用地区域」の外の土地で、原則として20年以上耕作放棄され将来的にも農地として使用するのが困難であり、農地行政上も特に支障がないと認められる土地
なお「非農地証明」を取得するには、上記の一つに該当することを客観的に証明する証拠が必要である。
例えば、上記3.の「20年以上の耕作放棄」を証明するためには、非農地となった時期が証明できる公的証拠(航空写真・家屋登記簿謄本・課税証明等)が必要である。