消防法
しょうぼうほう
火災の予防・警戒・鎮圧や、火災等の災害を軽減するために必要な措置を定めた法律。1948(昭和23)年に制定された。
消防法が定める火災予防のための主な措置は、(1)消防機関による立入検査、措置命令等、(2)住宅用火災警報器の設置・維持、(3)一定の建物における防火管理者の選任、消防計画の作成・届出、訓練の実施等、(4)一定の建物についての消火設備、警報設備、避難設備等の設置・維持、(5)一定の防炎品の検定等である。また、消火活動のために消防機関が即時に強制できる権限(緊急通行、土地や水利の使用、立入制限等)なども定められている。
なお、火災予防のためには、消防法のほか、建築基準法による措置が重要である。
火災
火によって生じる災害。「火事」も同じ意味である。
火災統計(消防庁)では、火災を、人の意図に反して発生・拡大し(放火による発生を含む)、消火の必要がある燃焼現象であって、消火するために消火施設等を必要とするもの(人の意図に反して発生・拡大した爆発現象を含む)と定義している。
燃焼のためには、発火だけでなく、可燃物と酸素の供給が必要で、可燃物又は酸素が無ければ燃焼は継続しない。したがって、火災を防ぐためには、意図しない発火を防止し、可燃物を適切に管理する必要がある。また、火災が発生したときには、早期に発見し、可燃物の隔離、酸素供給の遮断、放水による冷却などによって燃焼反応を抑えることになる。さらには、家屋火災を防ぐためには、建物を防火・耐火構造にすることが重要である。
火災対策のための設備として、自動火災警報器のような火災を発見・通報する設備、水や消火剤を放出し燃焼を抑える消火設備、炎や煙が拡散するのを防ぐ防火扉や排煙設備などがある。避難のための非常口の設置も有効である。また、火災による損失を補填する火災保険は、火災リスクを管理する仕組みである。
なお、失火によって他者に損害を与えた場合は、「失火ノ責任ニ関スル法律」によって、損害賠償の責任を負わないとされている。ただし、失火者に重大な過失があったときにはこの限りではない。
住宅用火災警報器
火災の発生をキャッチしてブザーや音声で知らせる装置をいい、すべての寝室と寝室のある階の階段には必ず設置しなければならない(スプリンクラーや自動火災警報設備が設置されているときは免除)。
また、市町村の火災予防条例で台所等への設置を義務付けている場合もある。
この義務付けは、住宅火災による死者発生の防止を目的としたもので、新築住宅は2006(平成18)年6月1日から、既存住宅は市町村の火災予防条例で定める日(最も遅い地域でも2011(平成23)年6月1日)から義務化されている。
ただし、設置は自己責任とされ、設置しない場合も罰則は課されない。
住宅用火災警報器にはいくつかの種類があるが、設置が義務付けられているのは煙を感知するもの(煙式)である。なお、消防法では「住宅用防災警報器」と規定されているが、住宅用火災警報器と同義である。
建物
民法では、土地の上に定着した物(定着物)であって、建物として使用が可能な物のことを「建物」という。
具体的には、建築中の建物は原則的に民法上の「建物」とは呼べないが、建物の使用目的から見て使用に適する構造部分を具備する程度になれば、建築途中であっても民法上の「建物」となり、不動産登記が可能になる。
建築基準法
国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。
遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。
その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。