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最終更新日:2024/4/9

書面の電子化

しょめんのでんしか

書面が必要とされている手続き等について、電磁的な方法による手続き等を認め、書面化を不要にすること。「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」(2021年制定)によって措置された。

不動産取引においては、次の書面について電子化されている。ただし、いずれの場合も、書面の作成・交付を電磁的な方法に代えることについて、取引の相手方の承諾が必要である。

(1)媒介契約書(媒介契約締結時に作成、交付しなければならない書面)

(2)重要事項説明書(重要事項等を記載し、交付しなければならない書面)

(3)賃貸借契約書・売買契約書(37条書面。賃貸借・売買の契約締結時に交付しなければならない書面)

 書面の電子化に当たっては、取引相手方の承諾を得るとともに、電子署名等によって本人証明や文書改ざんがないことの証明を行なうこと、電子書面を「電子帳簿保存法」に定められた方法で保管することなどが必要である。

なお、書面の電子化にあわせて、書面に押印する義務は、(2)(3)については不要とされた。

-- 本文のリンク用語の解説 --

媒介契約書

宅地建物取引業者は、媒介契約を締結したときは、遅滞なく、一定の事項を記載した書面を作成し、宅地建物取引業者がその書面に記名押印し、依頼者(売主・買主)にその書面を交付しなければならない。
このとき交付される書面のことを「媒介契約書」と呼んでいる(宅地建物取引業法第34条の2第1項)。

また、媒介契約書に記載されるべき事項は詳細に法定されている。

重要事項説明書

宅地建物取引業務における重要事項説明に当たって、取引の相手となる当事者に対して交付して説明しなけばならない書面をいう(「重要事項説明」についての詳細は当該用語を参照)。

重要事項説明書には説明を要する重要事項を記載しなければならず、また、書面は、宅地建物取引士が、説明して交付しなければならないとされている。 なお、2022年5月の宅地建物取引業法の改正で重要事項説明書を電磁的方法(電子書面)で交付できることになり、宅地建物取引士の押印は不要となった。

売買契約

当事者の一方が、ある財産権を相手方に移転する意思を表示し、相手方がその代金を支払う意思を表示し、双方の意思が合致することで成立する契約のこと(民法第555条)。

売買契約は諾成契約とされている。つまり、当事者の双方が意思を表示し、意思が合致するだけで成立する(財産が引き渡されたときに成立するのではない)。
また、売買契約は不要式契約なので、書面による必要はなく口頭でも成立する。
さらに、売買契約は財産権を移転する契約であるが、その対価として交付されるのは金銭でなければならない(金銭以外の物を対価として交付すると「交換契約」となってしまう)。

当事者の双方の意思の合致により売買契約が成立したとき、売主には「財産権移転義務」が発生し、買主には「代金支払義務」が発生する。両方の義務の履行は「同時履行の関係」に立つとされる。

電子署名

電磁的な記録(電子文書)について、その作成者および作成された記録が改竄されていないことを保障する仕組みをいう。

電子署名がなされた電子文書は、署名押印された文書と同様に、真正に成立したものとみなされる(電子署名及び認証業務に関する法律)。

電子署名の方式はいくつかある。いずれも暗号化技術の応用であるが、一般には公開鍵暗号方式を基本とした仕組みが利用されている(詳しくは、「暗号化」を参照)。

なお、電子署名において公開鍵を公開する場合に、その信頼性を確保するため、公開鍵がその持ち主のものであることを第三者が証明すること(認証業務)が有効であると考えられており、一定の要件を満たす認証業務(特定認証業務)を行なう者を認定する制度が整備されている。