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最終更新日:2024/3/25

オンライン重説

おんらいんじゅうせつ

不動産取引における重要事項説明をオンラインで実施すること。「IT重説」と同じ意味で用いる場合もあるが、重要事項説明の手続きをすべてオンラインで実施するときには、(1)インターネット等を利用して対面以外の方法で説明すること(IT重説)と、(2)重要事項説明書を電磁的方法で提供すること(書面の電子化)の2つの方法を組み合わせることになる。

オンライン重説の手続きの(1)は、宅地建物取引業法が定めている重要事項説明における対面原則の例外、(2)は、重要事項説明書の書面交付義務の例外である。

オンライン重説に当たっては、消費者が不利益を被らないよう措置することが重要で、取引相手方の承諾を得るとともに、双方向で確実にやりとりができること、電子署名等によって本人証明や文書改ざんがないことの証明を行なうこと、電子書面を「電子帳簿保存法」に定められた方法で保管することなどの要件を満たさなければならない。また、重要事項説明は宅地建物取引士が実施しなければならない。

なお、IT重説と書面の電子化は別の手続きであって、片方だけ実施することもできる。

-- 本文のリンク用語の解説 --

重要事項説明

宅地建物の取引において、宅地建物取引業者が取引当事者に対して契約上重要な事項を説明することをいう。 また、その際に、説明の内容を記載して当事者に交付する書面を重要事項説明書という。

重要事項説明を必要とするのは、宅地建物取引業者が自ら売主として取引する場合、および不動産取引を代理・媒介する場合であり、その説明は、売買契約や賃貸借契約を締結するよりも前に行なわなければならない。また、説明に当たるのは宅地建物取引士でなければならず、さらには、説明する重要事項をすべて書面に記載し、取引当事者にその書面(重要事項説明書)を交付する必要がある(相手方の同意を得たうえで電磁的方法で書面を交付し、IT(インターネット等)を用いた説明を行なうこともできる)。

説明を要する事項は、売買か賃貸かなどの取引内容に応じて異なるが、大きく分けて、 1.取引対象不動産の権利関係、2.取引対象不動産に係る法令上の制限、3.取引対象不動産の状態やその見込み、4.契約の条件 に関する事項とされている(詳細は必ず直接に法令(宅地建物取引業法第35条およびその関連法令)に当たって確認されたい。また、臨機に改正も予想されるので留意が必要である)。

重要事項説明は、不動産の特性や取引の形態に起因して取引当事者に不利益が発生することを防ぐための仕組みとされ、その適正な実施が強く求められている。

IT重説

不動産取引における重要事項説明を、インターネット等を活用して対面以外の方法で行なうこと、またはその方法を導入すること。

重要事項説明は、宅地建物取引士が対面で行ない、書面を交付しなければならないとされていた(宅地建物取引業法)。しかし、情報技術を活用すれば、インターネット等を利用して説明し、電磁的方法で書面を交付することができるとして、賃貸取引は平成29年(2017)10月から、売買取引は令和3年4月からIT重説の本格運用が開始された。なお、令和4(2022)年5月の宅建業法改正により重要事項説明書の電磁的交付ができるようになっている。

IT重説を実施するに当たっては、主に次の点に留意が必要になる。1)取引士により重要事項説明が行なわれ、取引士証が提示されること、2)重要事項説明を受ける者が契約者本人であること、3)取引士が、必要な内容について伝達すること、4)取引士と重要事項説明を受ける者とのやり取りに十分な双方向性があること。

なお、実務に関する詳細は国土交通省より出されている「重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明実施マニュアル」を参照する必要がある。

重要事項説明書

宅地建物取引業務における重要事項説明に当たって、取引の相手となる当事者に対して交付して説明しなけばならない書面をいう(「重要事項説明」についての詳細は当該用語を参照)。

重要事項説明書には説明を要する重要事項を記載しなければならず、また、書面は、宅地建物取引士が、説明して交付しなければならないとされている。 なお、2022年5月の宅地建物取引業法の改正で重要事項説明書を電磁的方法(電子書面)で交付できることになり、宅地建物取引士の押印は不要となった。

書面の電子化

書面が必要とされている手続き等について、電磁的な方法による手続き等を認め、書面化を不要にすること。「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」(2021年制定)によって措置された。 不動産取引においては、次の書面について電子化されている。ただし、いずれの場合も、書面の作成・交付を電磁的な方法に代えることについて、取引の相手方の承諾が必要である。 (1)媒介契約書(媒介契約締結時に作成、交付しなければならない書面) (2)重要事項説明書(重要事項等を記載し、交付しなければならない書面) (3)賃貸借契約書・売買契約書(37条書面。賃貸借・売買の契約締結時に交付しなければならない書面)  書面の電子化に当たっては、取引相手方の承諾を得るとともに、電子署名等によって本人証明や文書改ざんがないことの証明を行なうこと、電子書面を「電子帳簿保存法」に定められた方法で保管することなどが必要である。 なお、書面の電子化にあわせて、書面に押印する義務は、(2)(3)については不要とされた。

宅地建物取引業法

宅地建物取引の営業に関して、免許制度を実施し、その事業に対し必要な規制を定めた法律。1952年に制定された。

この法律に定められている主な内容は、宅地建物取引を営業する者に対する免許制度のほか、宅地建物取引士制度、営業保証金制度、業務を実施する場合の禁止・遵守事項などである。これによって、宅地建物取引業務の適正な運営、宅地および建物の取引の公正の確保および宅地建物取引業の健全な発達の促進を図ることとされている。

電子署名

電磁的な記録(電子文書)について、その作成者および作成された記録が改竄されていないことを保障する仕組みをいう。

電子署名がなされた電子文書は、署名押印された文書と同様に、真正に成立したものとみなされる(電子署名及び認証業務に関する法律)。

電子署名の方式はいくつかある。いずれも暗号化技術の応用であるが、一般には公開鍵暗号方式を基本とした仕組みが利用されている(詳しくは、「暗号化」を参照)。

なお、電子署名において公開鍵を公開する場合に、その信頼性を確保するため、公開鍵がその持ち主のものであることを第三者が証明すること(認証業務)が有効であると考えられており、一定の要件を満たす認証業務(特定認証業務)を行なう者を認定する制度が整備されている。

宅地建物取引士

宅地建物取引士資格試験に合格し、都道府県知事の登録を受けて、宅地建物取引士証の交付を受けた者のこと。

一定以上の知識・経験を持つ者として公的に認められた者である。宅地建物取引業者は、事務所ごとに従事者5名に対して1名以上の割合で、専任の宅地建物取引士を置かなければならない(詳しくは宅地建物取引士の設置義務へ)。

宅地建物取引において特に重要な次の3つの業務は、宅地建物取引士だけが行なうことができるとされている(宅地建物取引士ではない者はこれらの業務を行なうことができない)。 1.重要事項説明
2.重要事項説明書への記名・押印
3.37条書面への記名・押印

宅地建物取引士となるためには、具体的には次の1)から5)の条件を満たす必要がある。 1)宅地建物取引士資格試験に合格すること
宅地建物取引業に関して必要な知識に関する資格試験である宅地建物取引士資格試験に合格することが必要である。なお、一定の要件を満たす者については宅地建物取引士資格試験の一部免除の制度がある。
2)都道府県知事に登録を申請すること
この場合、宅地建物取引に関して2年以上の実務経験を有しない者であるときは、「登録実務講習」を受講し修了する必要がある。
3)都道府県知事の登録を受けること
登録を受けるには一定の欠格事由に該当しないことが必要である。
4)宅地建物取引士証の交付を申請すること
宅地建物取引士証の交付を申請する日が宅地建物取引士資格試験に合格した日から1年を超えている場合には、都道府県知事の定める「法定講習」を受講する義務がある。
5)宅地建物取引士証の交付を受けること
氏名、住所、生年月日、有効期間の満了する日等が記載されている宅地建物取引士証の交付を受けて初めて正式に宅地建物取引士となる(氏名において旧姓が併記された宅地建物取引士証の交付を受けた日以降は、書面への記名等の業務において旧姓を使用してよいこととされている)。 宅地建物取引士は、宅地建物の取引の専門家として、購入者等の利益の保護および円滑な宅地建物の流通に資するよう公正誠実に業務を処理するほか、信用・品位を害するような行為をしないこと、必要な知識・能力の維持向上に努めることとされている。
-- 関連用語 --
重説IT化

不動産取引における重要事項説明を、インターネット等を活用して対面以外の方法で行なうこと、またはその方法を導入すること。

重要事項説明は、宅地建物取引士が対面で行ない、書面を交付しなければならないとされていた(宅地建物取引業法)。しかし、情報技術を活用すれば、インターネット等を利用して説明し、電磁的方法で書面を交付することができるとして、賃貸取引は平成29(2017)年10月から、売買取引は令和3(2021)年4月からIT重説の本格運用が開始された。なお、令和4(2022)年5月の宅建業法改正により重要事項説明書の電磁的交付ができるようになっている。

IT重説を実施するに当たっては、主に次の点に留意が必要になる。1) 取引士により重要事項説明が行なわれ、取引士証が提示されること、2) 重要事項説明を受ける者が契約者本人であること、3) 取引士が、必要な内容について伝達すること、4)取引士と重要事項説明を受ける者とのやり取りに十分な双方向性があること。

なお、実務に関する詳細は国土交通省より出されている「重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明実施マニュアル」を参照する必要がある。

IT重説

不動産取引における重要事項説明を、インターネット等を活用して対面以外の方法で行なうこと、またはその方法を導入すること。

重要事項説明は、宅地建物取引士が対面で行ない、書面を交付しなければならないとされていた(宅地建物取引業法)。しかし、情報技術を活用すれば、インターネット等を利用して説明し、電磁的方法で書面を交付することができるとして、賃貸取引は平成29年(2017)10月から、売買取引は令和3年4月からIT重説の本格運用が開始された。なお、令和4(2022)年5月の宅建業法改正により重要事項説明書の電磁的交付ができるようになっている。

IT重説を実施するに当たっては、主に次の点に留意が必要になる。1)取引士により重要事項説明が行なわれ、取引士証が提示されること、2)重要事項説明を受ける者が契約者本人であること、3)取引士が、必要な内容について伝達すること、4)取引士と重要事項説明を受ける者とのやり取りに十分な双方向性があること。

なお、実務に関する詳細は国土交通省より出されている「重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明実施マニュアル」を参照する必要がある。