公団・公社
こうだん・こうしゃ
公的主体(主に国)が、公共施設等を建設・管理するため特別な法律に基づいて設立した法人が「公団」である一方、「公社」は、国のほか主に地方公共団体が、特定の事業を運営させるために設立することが多い。
公団は、2001年以降の政府の「特殊法人改革」の中で多くが「独立行政法人」に移行した。特に住宅においては、1955年に大都市で不足する住宅の大量供給を目的として日本住宅公団が、また、1975年には宅地の大量供給を目的として宅地開発公団が設立され、これらが合併した住宅・都市整備公団が運営する賃貸住宅が「公団住宅」と呼ばれ、約80万戸に上る住宅供給を担ってきた。特殊法人改革により設立され、公団の業務を引き継いだ独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)においても、約70万戸の賃貸住宅が運営されている。
一方、地方住宅供給公社については、「地方住宅供給公社法」に基づき、住宅の供給増を図る都道府県及び政令指定都市において設立されたが、現在は役割を終えて廃止されたものもある。供給戸数は、約14万戸とされている。
住宅困窮者のために地方公共団体が自ら運営管理する「公営住宅」に比べ、所得制限がないなどの点に違いがあるが、まとめて「公団・公社住宅」などと呼ばれていた。しかし、「公団」は、2004年以降「UR都市機構」との名称を使用しており、「公団住宅」は「UR賃貸」に呼称が変わっている。
法人
私法上の概念で、自然人以外で、法律上の権利・義務の主体となることを認められた団体・財産をいう。
法人の設立は、法律の規定によらなければならないとされている。
例えば、一般社団法人、一般財団法人、株式会社、学校法人、宗教法人、管理組合法人などはすべて法人である。
地方公共団体
地域における行政を自主的、総合的に実施する役割を担う団体。その組織、運営、財務などについては、憲法の規定に基づき、地方自治法等によって定められている。
普通地方公共団体である都道府県・市町村と、特別地方公共団体である特別区・地方公共団体の組合・財産区の二種類に分類され、いずれも法人である。また、市町村は、地域の事務を一般的に処理する基礎的な地方公共団体である。
地方公共団体は、地方自治の本旨に基づいて組織し、運営しなければならない。この場合、地方自治の本旨とは、「団体自治」(国から独立した地域団体によって自己の事務を自己の機関・責任で処理し、国家から独立して意志を形成すること)および「住民自治」(住民が行政需要を自らの意思・責任によって充足し、意志形成において住民が政治的に参加すること)であるとされている。
宅地(宅地建物取引業法における〜)
宅地建物取引業法では、宅地の定義を次のように定めている(宅地建物取引業法第2条第1号、施行令第1条)。
1.用途地域内の土地について
都市計画法で定める12種類の用途地域内に存在する土地は、どのような目的で取引する場合であろうと、すべて宅地建物取引業法上の「宅地」である。
従って、例えば用途地域内に存在する農地を、農地として利用する目的で売却する場合であっても、宅地建物取引業法では「宅地」として取り扱う。
2.用途地域内の道路・公園・河川・広場・水路の用地について
用途地域内の土地のうちで、5種類の公共施設の用に供されている土地については、「宅地」から除外する。具体的には、道路・公園・河川・広場・水路という5種類の公共施設の用地は「宅地」から除外される(ただし下記の補足1を参照のこと)。
3.建物の敷地に供する目的で取引の対象とされた土地について
建物の敷地に供する目的で取引の対象とされた土地は、土地の原状の用途に関係なく、すべて宅地建物取引業法上の「宅地」である。
従って、例えば土地登記簿上の地目が「田」「畑」「池沼」「山林」「原野」である土地であっても、その土地を、建物の敷地に供する目的で取引するならば、宅地建物取引業法上はすべて「宅地」として取り扱われる。
これについては、土地の所在がどこであろうと適用される判断基準である。従って、都市計画区域外の山林や原野を、建物の敷地に供する目的で取引する場合には、その山林や原野は「宅地」として取り扱われる。
(補足1)用途地域内の道路・公園・河川・広場・水路の用地を、建物の敷地に供する目的で取引の対象とする場合について:
例えば、用途地域内の道路用地である土地を、建物の敷地に供する目的で取引する場合には、上記3.の基準が適用される。従って、この場合は、用途地域内の道路用地が、宅地建物取引業法上の「宅地」に該当することになる。
都市再生機構
都市基盤整備公団と地域振興整備公団の地方都市開発整備部門を合併・改組して、「独立行政法人都市再生機構法」にもとづき2004(平成16)年7月に設立された独立行政法人。
その主要な業務は、大都市および地域社会の中心となる都市において、
1.市街地の整備改善の支援(宅地の造成、土地区画整理事業等を自ら実施することを含む)
2.賃貸住宅の供給の支援(敷地の整備譲渡を自ら実施することを含む)
3.都市基盤整備公団から継承した賃貸住宅等の管理等
を行なうことである。また、これらの業務の実施に当っては、できる限り民間の資金、経営能力および技術的能力を活用し、民間事業者との協力および役割分担が適切に図られるよう努めなければならないとされている。
住宅供給公社
勤労者に対する良好な集合住宅の供給等を行なうために、都道府県等が出資し設立した公法人。「地方住宅供給公社法」に基づいて設立、運営される。
住宅供給公社は、積立分譲(一定の期間、一定の金額に達するまで定期に金銭を受け入れ、期間満了後にそれを代金の一部に充てて住宅を譲渡する方法)で住宅を供給するほか、賃貸住宅(公社住宅)の経営などの業務を行なっている。
公社は、資金調達のために債券を発行することができ、また、土地の先買いにおける買収主体になることができる。
公営住宅
住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸する住宅。住宅セーフティネットとしての機能を担い、公営住宅法に基づき地方公共団体が建設、買い取りまたは借り上げして、管理する。
公営住宅に入居できるのは、原則として収入分位(所得が低い順に並べたときにその所得以下の者が全体に占める割合)が25%以下の者であるが、高齢者等については収入分位が25〜40%の者も対象となる。また、家賃は、入居者の収入と立地条件や規模、経過年数等を考慮して決定され、近傍同種の家賃が上限とされる。