最終更新日:2024/5/1
尺貫法
しゃっかんほう中国に起源を持ち、日本では古代から長く使われてきた計測の単位系、度量衡法。長さの「尺」、重さの「貫」、さらには体積の「升」、面積の「坪」も尺貫法の体系に含められる。「尺」の語源については、ものの長さを人体の一部を用いて測ったことに由来するとされる。
不動産・建築に関しては、「尺(1尺は約303mm)」「寸(すん。1寸は約30.3mm)」、そして1尺の3倍から端数を省いたと思われる3尺=約910mmをひとつの基準的な長さとして、柱の間隔という意味であるとされる1間(いっけん)=3尺×2=約1820mmが用いられ、面積の単位としては1間×1間の「坪(つぼ。1坪=約3.3平方メートル)」が木造建築等の伝統工法を利用する業界をはじめとする不動産・建設業界、さらには広く日常的にも用いられている。また、主に関西圏ではこれよりもやや広めである「京間(きょうま)」の考え方があり、これも現在まで使われている(「関東間(かんとうま)」も参照)。
度量衡の全国統一は、豊臣秀吉や江戸幕府の基本政策でもあったが、明治政府は、メートル条約の批准を受けて尺・坪(面積の単位)・升・貫をメートル法により定義しなおした。その後、1952(昭和27年)の旧計量法が施行し、昭和30年代まで尺貫法とメートル法が併用された後、商品の取引等に対しては、メートル法の使用が義務付けられた(計量法はその後、1992(平成4)年に国際単位系に合わせた新計量法が制定、翌年施行)。
不動産・建築業界においても、例えば「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」においては、メートル法表示が必須とされており、あくまでもメートル法が原則であるが、歴史的・文化的に継続してきた尺貫法は、現場を中心に日常的に通用している。
間取りの設計等に際して尺貫法を基本に、910ミリ×910ミリの正方形やひと坪を単位に空間を構想することなどを「尺モジュールを用いる」という(対してメートル法を基本にする場合は、「メーターモジュールを用いる」ということになる。)。計量法に従い、契約書等においては、メーターモジュールを基本にしながらも、国際的に見ればやや小柄な日本人の体格に適合しているところであり、既存の建築物、家具類、調度品、設備なども「尺モジュール」で製造されていることから、尺貫法には一定の有用性があり、当面は広く使用されていくものと思われる
尺
坪
ただしメートル表示と同時に、坪表示も併せて表示することは可能である。
不動産
定着物とは、土地の上に定着した物であり、具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。また土砂は土地そのものである。
建築
間(ケン)
京間
関東間
不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)
この表示規約が最初に作られたのは1963(昭和38)年のことであり、その後、10回以上も改正されて、不動産の広告に関する最も詳細な規制として、不動産会社に広く遵守されている。
この表示規約の改正作業や、表示規約に違反した不動産会社への警告などを行なっているのは、全国各地に設立されている「不動産公正取引協議会」である。
間取り
間取りを図面化したものを「間取図」といい、通常は方位、縮尺が示されている。
なお、「◯LDK」のような表示は、部屋の位置関係が不明であって、間取りを示すものではない。