耐火性能検証法
たいかせいのうけんしょうほう
耐火建築物として認められる要件のうち、主要構造部の耐火性能については、
I)主要構造部が耐火構造であること(建築基準法第2条第9号の2イ(1))
II)建築物の構造、建築設備及び用途に応じて、発生が予測される火災に対する一定の耐火性能を満たしていること(同イ(2))
のいずれかが必要であるが、このうちIIの「一定の耐火性能を満たしているかどうか」について確認する方法が、「耐火性能検証法」である。詳細は、建築基準法施行令第108条の3及びこれに基づく平成12年建設省告示第1433号「耐火性能検証法に関する算出方法等を定める件」に定められている。
耐火建築物の要件は、長く上記Iの「主要構造部が耐火構造であること」とされており、建築物の階数ごとに、火災によって損傷するまでの時間を基準として定められていた。しかし、1998(平成10)年の建築基準法改正により、関係規定が性能化され、耐火構造でなくても性能的に同等の耐火性を有していれば、これを耐火構造とみなすとの規定が付け加えられた(同施行令第108条の3第3項参照)。
告示では、建築物の用途に応じた収納可燃物(例えば住宅であれば布団など)の発熱量を想定し、それに耐えることができる加熱時間(屋内火災保有耐火時間)等を算出したものを基準とすることにより検証することとなっている。
耐火建築物
建築基準において、その主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)が耐火性能を満たし、かつ、延焼の恐れのある開口部(窓やドア)に防火戸など火災を遮る設備を有する建築物をいう。
この場合に、耐火性能を満たすというのは、
1.主要構造部が耐火構造であること
2.屋内で発生する火災、および周囲で発生する火災による火熱に、当該火熱が終了するまで耐えることができるとする技術基準で定める性能(構造耐力、上昇温度などに関する一定の要件)に適合すること
である。
一定の特殊建築物や、都市計画で定められた防火地域内の一定の建築物は、耐火建築物としなければならない。
主要構造部
建築物の構造上、重要な役割を果たしている部分のこと。
建築基準法第2条5号では、主要構造部とは「壁・柱・床・梁・屋根・階段」であると定義している。
ただし、構造上重要でない最下階の床、間仕切り用の壁、間柱、つけ柱、局所的な小階段、屋外階段などは主要構造部から除外されている。
耐火構造
建築基準において、壁、柱、床その他の建築物の部分の構造が、耐火性能に適合する建築物の構造をいう。
この場合の耐火性能とは、通常の火災が終了するまでの間、当該火災による建築物の倒壊、および延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能のことである。その技術的な基準としては、各構造部分の種類や建物の階数に応じて定められる一定時間(おおむね1〜3時間)の間、火熱を加えても、各構造部分が構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであることなどの要件が定められている。
例えば、鉄筋コンクリート構造やれんが造は、原則として耐火構造である。
建築基準法
国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。
遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。
その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。
建築物
建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。
これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。
1.屋根と柱または壁を有するもの
2.上記に付属する門や塀
3.以上のものに設けられる建築設備
上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。
なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。
建築設備
建物と一体となって建物の機能を全うさせる設備のことで、空調・換気設備、給排水衛生設備、電気設備、エレベーターなどがこれに該当する。
建築設備は、建築物本体に比べて、その運用のための費用が大きいこと、建物利用の快適性を左右しやすいこと、エネルギー消費を伴い環境に対して大きな影響を与えることなどの特徴がある。
また、一般に、建物本体よりも耐用年数が短い傾向があるほか、建物の維持・改修に当たっては、建築設備の保守・更新を的確に行なうことが重要であるといわれている。
建築設備の設計は、通常、建物の設計と同時一体的に行なわれ、その施工も建物の建築を請け負った建設業者が一括して担うことが多い(ただし、直接の施工は、建築請負業者が設備工事業者に下請発注するのが一般的)。しかし、大規模な建築物については、建築設備の設計・施工を分離して実施する場合(分離発注)もある。