特定行政庁
建築基準行政において、建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長を、その他の市町村の区域については都道府県知事をいう。
人口が25万人以上の市の市長は原則として特定行政庁であるほか、それ以外の市町村長も建築主事を置くことによって特定行政庁となる。
建築主事は建築確認等の業務を行なうが、違反建築物に対する措置等は特定行政庁の業務とされている。
道路位置指定
特定行政庁が、私道の位置を指定することを「道路位置指定」と呼んでいる(建築基準法第42条第1項第5号)。
この「道路位置指定」を受けることによって、私道は「建築基準法上の道路」となることができる。
従って、私道のみに接する土地で建築をしようとする際には、まず私道について「道路位置指定」を受けることが必要である。
「道路位置指定」を受けるためには、その私道が建築基準法施行令第144条の4の基準を満たすことが必要である。この基準によれば、私道の幅は少なくとも4m(袋地の場合には6m)であることが必要とされている。
私道
民間の個人や法人が所有している道路を「私道」という。
「私道」には、特定の個人のために築造されたものもあれば、不特定多数の人が通行するために築造されたものもある。
「私道」は一定の手続きを経ることによって「建築基準法上の道路」になることができる。
この手続きは「道路位置指定」と呼ばれている。
建築基準法
国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。
遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。
その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。
道路(建築基準法上の〜)
建築基準法第43条では、建築物の敷地は「建築基準法上の道路」に2m以上の長さで接していなければならないと定めている。
ここでいう「建築基準法上の道路」には、次の2種類が存在する。
1.建築基準法第42条第1項の道路
建築基準法第42条第1項では次の1)〜3)を「道路」と定義している。
この1)〜3)の道路はすべて幅が4m以上である。
1)道路法上の道路・都市計画法による道路・土地区画整理法等による道路
2)建築基準法が適用された際に現に存在していた幅4m以上の道
3)特定行政庁から指定を受けた私道
2.建築基準法第42条第2項の道路
建築基準法第42条第2項では「建築基準法が適用された際に現に建築物が立ち並んでいる幅4m未満の道であって、特定行政庁が指定したもの」を道路とみなすと定めている。
このように建築基準法では、道路とは原則として4m以上の幅の道であるとしながらも、4m未満であっても一定の要件をみたせば道路となり得ることとしている。
建築物
建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。
これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。
1.屋根と柱または壁を有するもの
2.上記に付属する門や塀
3.以上のものに設けられる建築設備
上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。
なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。
建築
「建築物を新築し、増築し、改築し、または移転すること」と定義されている(建築基準法第2条第13号)。
関連用語
道路(建築基準法上の〜)
建築基準法第43条では、建築物の敷地は「建築基準法上の道路」に2m以上の長さで接していなければならないと定めている。
ここでいう「建築基準法上の道路」には、次の2種類が存在する。
1.建築基準法第42条第1項の道路
建築基準法第42条第1項では次の1)〜3)を「道路」と定義している。
この1)〜3)の道路はすべて幅が4m以上である。
1)道路法上の道路・都市計画法による道路・土地区画整理法等による道路
2)建築基準法が適用された際に現に存在していた幅4m以上の道
3)特定行政庁から指定を受けた私道
2.建築基準法第42条第2項の道路
建築基準法第42条第2項では「建築基準法が適用された際に現に建築物が立ち並んでいる幅4m未満の道であって、特定行政庁が指定したもの」を道路とみなすと定めている。
このように建築基準法では、道路とは原則として4m以上の幅の道であるとしながらも、4m未満であっても一定の要件をみたせば道路となり得ることとしている。
接道義務
建築基準法第43条の規定によれば、建築物の敷地は原則として、建築基準法上の道路と2m以上の長さで接しなければならない。これは消防活動などに支障をきたすことがないように定められたものである。この義務のことを「接道義務」と呼んでいる。
(なお建築基準法第43条では、その敷地の周囲に広い空地を有する建築物等については、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可したものについては、接道義務を免除することができるとも定めている)
また、多数の人が出入りするような特殊建築物(学校・ホテルなど)や大規模建築物(3階建て以上の建築物など)については、防火の必要性が特に高い等の理由により、地方自治体の条例(建築安全条例)において、より重い接道義務を設けていることが多いので注意したい。