開発許可が不要な開発行為(市街化調整区域における〜)
かいはつきょかがふようなかいはつこうい(しがいかちょうせいくいきにおける〜)市街化調整区域では、その規模にかかわらず、開発行為について知事(指定都市等では市長)の許可を受けなければならないとされている。
市街化調整区域は市街化を抑制する区域であるので、小規模開発についても、立地規制の観点から開発許可の対象としているのである。
ただし例外として、次のような開発行為については、開発許可を受ける必要がないものとされている。
1.農林漁業者の住宅や、農林漁業用建築物(畜舎、蚕室、温室、堆肥舎、サイロなど)を建築するための開発行為
2.市街化調整区域内に居住している者の日常生活のため必要な物品の販売、加工、修理等の業務を営む店舗等(延床面積が50平方メートル以下)を新築する目的で、その市街化調整区域内に居住している者が自らその業務を営むために行なう100平方メートル以下の開発行為
3.鉄道の施設、医療施設、小中学校、高校、公民館等の公益上必要な建築物の建築のために行なう開発行為等
市街化調整区域での建築であって、開発行為を伴わないものに対する建築の許可をいう。
市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域であるから、建築は原則的に禁止されている。ただし、次のような場合には、建築を行なうことができる。
1.開発行為(土地の区画形質の変更)を行なうための許可(開発許可)を受けた区域内で行なう、開発許可条件に適合する建築
2.開発行為を伴わない建築で、都道府県知事の許可を得て行なう建築(都市計画法第43条)(この場合の都道府県知事の許可が「市街化調整区域における建築許可」)
市街化調整区域における建築許可は厳しく運用されていて、開発許可区域以外の区域で建築(改築、用途変更を含む)を行なえるは、次のものに限られている。
1)建築許可を要しない建築
ア.農産物、林産物または水産物の生産、または集荷の用に供する建築物(畜舎、蚕室、温室、育種苗施設など)およびこれらの業務を営む者の居住の用に供する建築物の建築
イ.公益上必要な建築物(鉄道の施設、社会福祉施設、医療施設、学校教育法による学校など)であって、適正合理的な土地利用および環境保全上支障がない建築物の建築
2)建築許可を受けることのできる建築
ア.都市計画事業の施行として行なう建築物の建築
イ.非常災害のため必要な応急措置として行なう建築物の建築
ウ.仮設建築物の新築
エ.通常の管理行為、軽易な行為として行なう次のもの
a.既存の建築物の敷地内において行なう車庫、物置その他これらに類する附属建築物の建築
b.建築物の改築または用途の変更で当該改築、または用途の変更に係る床面積の合計が10平方メートル以内であるもの
c.周辺の市街化調整区域内に居住している者の日常生活のため必要な物品の販売、加工、修理等の業務を営む店舗、事業場その他これらの業務の用に供する建築物(その延べ面積が50平方メートル以内のものの新築で、当該市街化調整区域内に居住している者が自ら当該業務を営むために行なうものに限る)
d.土木事業その他の事業に一時的に使用するための第一種特定工作物の新設
市街化調整区域は市街化を抑制する区域であるので、建築が厳しく規制されている。
具体的には、市街化調整区域内で建築を行なうことができるのは次の3つのケースである(都市計画法第43条第1項)。
1.開発許可を受けて、その開発許可に適合する建築を行なう場合
2.建築許可が不要な建築を行なう場合
3.建築許可を受けた場合
しかし2001(平成13)年5月18日より前には、市街化調整区域内であっても一定の条件を満たす土地であれば、建築許可を受けないで建築をすることが広く認められるという制度が存在した。
これが「既存宅地」の制度である(旧都市計画法43条1項6号)。
既存宅地の制度とは次の条件のすべてを満たす宅地については、建築許可を受けなくとも、建築物の新築・改築・用途変更を一定の範囲内で認めるという制度であった。
1)市街化区域に隣接している地域内の土地であること
2)おおむね50戸以上の建築物が立ち並んでいる地域内の土地であること
3)市街化調整区域に編入された際にすでに宅地であったこと
4)3)について知事の確認を受けたこと
このような知事の確認を受けた既存宅地については、比較的自由に建築を行なうことができたのである。
しかし、2001(平成13)年5月18日に都市計画法が改正・施行されたことにより、こうした既存宅地の制度は、5年間の経過措置を経たのちに消滅することとなった。
具体的には、改正法施行日(2001(平成13)年5月18日)以前に既存宅地である旨の確認を受けた土地については、施行日から5年間(2006(平成18)年5月17日まで)だけは「自己の居住または業務を行なうことを目的とする建築行為」であれば、従来と同様に建築許可を受けずに建築することができる。
ただし「自己の居住または業務を行なうことを目的としない建築行為」については、経過措置の対象にならないので、原則通り建築許可を取得することが必要となっている。
宅地造成等(開発行為)を行なう際に必要とされる許可のこと。都市計画法に基づく制度である。
1.趣旨
都市計画法では、無秩序な開発を規制するために、開発許可の制度を設けている。一定規模以上の開発行為を行なうためには、知事(指定都市等では市長)から開発許可を受ける必要がある。
2.開発許可の概要
1)許可の対象は「開発行為」である。
2)開発行為を行なおうとする者は、開発行為に着手する前に知事(指定都市等では市長)の許可を受ける必要がある(都市計画法第29条)。
3)一定の開発行為については、開発許可を受ける必要がない。
4)知事等が開発許可を与えるか否かを審査する基準には、全国どこでも適用される全般的許可基準(技術的基準、都市計画法第33条)と、市街化調整区域内の開発行為についての基準(立地基準、都市計画法第34条)とがある。
3.開発行為
開発許可の対象は「開発行為」である。開発行為とは「建築物の建築または特定工作物の建設のために土地の区画形質を変更すること」である(詳しくは「特定工作物」「土地の区画形質の変更」を参照)。
4.開発許可を得る必要がない開発行為
次のような開発行為は開発許可を受けないで行なうことができる。
1)次の面積に達しない開発行為
・東京都の特別区・既成市街地・近郊整備地帯等:500平方メートル未満
・市街化区域:1,000平方メートル未満
・区域区分が定められていない都市計画区域: 3,000平方メートル未満
・準都市計画区域:3,000平方メートル未満
ただしこれらの面積は、特に必要があると認められる場合には、都道府県・指定都市等の条例で「300平方メートル未満」にまで引き下げることができる。
2)市街化調整区域・区域区分が定められていない都市計画区域・準都市計画区域における、農林漁業者の住宅を建築するための開発行為および農林漁業用の建築物を建築するための開発行為
3)公益施設のための開発行為
公益施設は、駅舎、医療施設、小中学校、高校、公民館、郵便局、図書館、墓地、火葬場、と畜場、し尿処理施設、ごみ処理施設、卸売市場など政令で指定するものに限る。
4)国・都道府県・一定の市町村が行なう開発行為
5)都市計画事業の施行として行なう開発行為
6)市街地再開発事業の施行、住宅街区整備事業の施行、土地区画整理事業の施行として行なう開発行為
7)非常災害のため必要な応急措置、通常の管理行為・軽易な行為に該当する開発行為
通常の管理行為・軽易な行為は、仮設建築物の建築、土木事業などに一時的に使用するための第一種特定工作物の建設、車庫・物置その他附属建築物の建築、建築物の増築で増築に係る床面積の合計が10平方メートル以内のもの、建築物の改築で用途の変更を伴わないもの、建築物の改築で改築に係る床面積の合計が10平方メートル以内のもの、主として当該開発区域の周辺の市街化調整区域内に居住している者の日常生活のため必要な物品の販売加工修理等の業務を営む店舗・事業場などの新築(延べ面積が50平方メートル以内)であって当該開発区域の周辺の市街化調整区域内に居住している者が自ら当該業務を営むために行なう開発行為(開発規模が100平方メートル以内に限る)など、政令で指定するものに限る。
5.開発許可の基準
知事(指定都市等では市長)が開発許可を与える場合の基準が定められている。この基準には、全国どこでも適用される全般的な基準(技術基準、都市計画法第33条)と、市街化調整区域内においてのみ適用される基準(立地基準、都市計画法第34条)の2種類がある。市街化調整区域では両方の基準を満たさなければならない。(開発許可基準については「開発許可の基準(全般的許可基準)」「開発許可の基準(市街化調整区域内の許可基準)」参照)
6.都市計画区域・準都市計画区域以外の区域における開発行為
都市計画区域および準都市計画区域以外の区域においてその面積が1万平方メートル以上開発行為を行なう場合は、4の2)〜7)に該当しない限り開発許可を受けなければならない。