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最終更新日:2023/9/20

開発許可の基準(全般的許可基準)

かいはつきょかのきじゅん(ぜんぱんてききょかきじゅん)

都市計画法における開発許可に関して、どの地域でも適用される技術的な基準のこと。

1.趣旨
都市計画法は、開発行為(建築物の建築特定工作物の建設を目的とする土地の区画形質の変更のこと)を行なうためには、原則として知事(指定都市等では市長)の開発許可を受ける必要があると定めている。

開発許可を与えるか否かの基準は次の二つに分けて定められている。
A)全国のすべての地域に適用される基準で、「全般的許可基準」または「技術的基準」と言われ、公共施設の整備、防災上の措置などの水準に関して審査するもの(都市計画法第33条)
B)市街化調整区域内でのみ適用される基準で、「立地基準」と言われ、立地の適正性を判断するためのもの(都市計画法第34条、詳しくは「開発許可の基準(市街化調整区域内の許可基準)」を参照)

A)の基準は宅地の水準を判断するための一般的な基準であって、市街化調整区域における市街化を抑制するべく定められているB)の基準とは性格を異にする。従って、市街化調整区域内での開発行為に対する開発許可ついては、B)だけでなくA)も適用されることとなる。

2.全般的許可基準の概要
「全般的許可基準」は次のとおりである。
1)予定建築物の用途が用途地域などに即していること
予定される建築物等の用途が、用途地域、特別用途地区特定用途制限地域などに適合していること。また地区計画が定められていて、地区整備計画が定められているとき(または施設の配置・規模が規定された再開発促進区があるとき)は、予定建築物等の用途などが地区計画等に即していること。
2)公共施設等との用途の配分
公共施設、公益的施設(学校など)、予定建築物の用途の配分が適正であること
3)排水施設、地盤の軟弱な土地等における安全措置
ア 排水路その他の排水施設が、下水を有効に排出し、溢水等の被害が生じないように設計されていること。
イ 地盤の軟弱な土地、がけ崩れや出水の恐れが多い土地などであるときは、地盤の改良、擁壁の設置などの安全上必要な措置が講じられていること。
4)権利者の同意
開発行為を行なう区域(開発区域)内の土地または建築物等につき、工事の実施の妨げとなる権利を有する者の相当数の同意を得ていること。
5)樹木の保全等、緑地帯等、輸送の便
ア 1ha以上の開発行為では、植物の生育の確保上必要な樹木の保存、表土の保全等の措置が講じられていること。
イ 1ha以上の開発行為では、騒音、振動等による環境の悪化の防止上必要な緑地帯その他の緩衝帯が配置されていること。
ウ 40ha以上の開発行為では、当該開発行為が道路、鉄道等による輸送の便等から見て支障がないこと。
6)公共空地、道路の接続
道路、公園、広場その他の公共空地(消防用貯水施設含む)が環境保全上等で支障がない規模構造で配置されること。開発区域内の主要な道路が、開発区域外の相当規模の道路に接続すること。なお、この基準は、自己居住用の住宅には適用されない。
7)給水施設
水道その他の給水施設が、想定される需要に支障をきたさないこと。なお、この基準は自己居住用の住宅には適用されない。
8)災害危険区域等を含まないこと
災害危険区域」「地すべり防止区域」「土砂災害特別警戒区域」などの土地を含まないこと(ただし支障がない時は含んでよい)。なお、この基準は、自己居住用の住宅と、自己業務用の建築物・工作物には適用されない。
9)資力信用、工事完成能力
開発許可の申請者に当該開発行為を行なうために必要な資力および信用があること。工事施行者に当該開発行為に関する工事を完成するために必要な能力があること。なお、この基準は、自己居住用の住宅と、一定規模以下の自己業務用の建築物・工作物には適用されない。

-- 本文のリンク用語の解説 --

都市計画法

都市計画に関する制度を定めた法律で、都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることを目的として、1968(昭和43)年に制定された。

この法律は、1919(大正8)年に制定された旧都市計画法を受け継ぐもので、都市を計画的に整備するための基本的な仕組みを規定している。

主な規定として、都市計画の内容と決定方法、都市計画による規制(都市計画制限)、都市計画による都市整備事業の実施(都市計画事業)などに関する事項が定められている。

開発許可

宅地造成等(開発行為)を行なう際に必要とされる許可のこと。都市計画法に基づく制度である。

1.趣旨
都市計画法では、無秩序な開発を規制するために、開発許可の制度を設けている。一定規模以上の開発行為を行なうためには、知事(指定都市等では市長)から開発許可を受ける必要がある。

2.開発許可の概要
1)許可の対象は「開発行為」である。
2)開発行為を行なおうとする者は、開発行為に着手する前に知事(指定都市等では市長)の許可を受ける必要がある(都市計画法第29条)。
3)一定の開発行為については、開発許可を受ける必要がない。
4)知事等が開発許可を与えるか否かを審査する基準には、全国どこでも適用される全般的許可基準(技術的基準、都市計画法第33条)と、市街化調整区域内の開発行為についての基準(立地基準、都市計画法第34条)とがある。

3.開発行為
開発許可の対象は「開発行為」である。開発行為とは「建築物の建築または特定工作物の建設のために土地の区画形質を変更すること」である(詳しくは「特定工作物」「土地の区画形質の変更」を参照)。

4.開発許可を得る必要がない開発行為
次のような開発行為は開発許可を受けないで行なうことができる。
1)次の面積に達しない開発行為
・東京都の特別区・既成市街地・近郊整備地帯等:500平方メートル未満
・市街化区域:1,000平方メートル未満
・区域区分が定められていない都市計画区域: 3,000平方メートル未満
・準都市計画区域:3,000平方メートル未満
ただしこれらの面積は、特に必要があると認められる場合には、都道府県・指定都市等の条例で「300平方メートル未満」にまで引き下げることができる。
2)市街化調整区域・区域区分が定められていない都市計画区域・準都市計画区域における、農林漁業者の住宅を建築するための開発行為および農林漁業用の建築物を建築するための開発行為
3)公益施設のための開発行為
公益施設は、駅舎、医療施設、小中学校、高校、公民館、郵便局、図書館、墓地、火葬場、と畜場、し尿処理施設、ごみ処理施設、卸売市場など政令で指定するものに限る。
4)国・都道府県・一定の市町村が行なう開発行為
5)都市計画事業の施行として行なう開発行為
6)市街地再開発事業の施行、住宅街区整備事業の施行、土地区画整理事業の施行として行なう開発行為
7)非常災害のため必要な応急措置、通常の管理行為・軽易な行為に該当する開発行為

通常の管理行為・軽易な行為は、仮設建築物の建築、土木事業などに一時的に使用するための第一種特定工作物の建設、車庫・物置その他附属建築物の建築、建築物の増築で増築に係る床面積の合計が10平方メートル以内のもの、建築物の改築で用途の変更を伴わないもの、建築物の改築で改築に係る床面積の合計が10平方メートル以内のもの、主として当該開発区域の周辺の市街化調整区域内に居住している者の日常生活のため必要な物品の販売加工修理等の業務を営む店舗・事業場などの新築(延べ面積が50平方メートル以内)であって当該開発区域の周辺の市街化調整区域内に居住している者が自ら当該業務を営むために行なう開発行為(開発規模が100平方メートル以内に限る)など、政令で指定するものに限る。

5.開発許可の基準
知事(指定都市等では市長)が開発許可を与える場合の基準が定められている。この基準には、全国どこでも適用される全般的な基準(技術基準、都市計画法第33条)と、市街化調整区域内においてのみ適用される基準(立地基準、都市計画法第34条)の2種類がある。市街化調整区域では両方の基準を満たさなければならない。(開発許可基準については「開発許可の基準(全般的許可基準)」「開発許可の基準(市街化調整区域内の許可基準)」参照)

6.都市計画区域・準都市計画区域以外の区域における開発行為
都市計画区域および準都市計画区域以外の区域においてその面積が1万平方メートル以上開発行為を行なう場合は、4の2)〜7)に該当しない限り開発許可を受けなければならない。

開発行為

都市計画法上の開発許可の対象となる行為のこと。

1.趣旨
都市計画法では、無秩序な開発を規制するために、宅地開発に対しては知事(または市長)の許可が必要であると定めており、これを開発許可という(都市計画法第29条)。この開発許可の対象となる行為が「開発行為」である。

2.定義
開発行為とは、正確には「主として建築物の建築または特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更」と定義されている(都市計画法第4条第12項)。
ここで「特定工作物」と「土地の区画形質の変更」の意味については、おおよそ次のように定義されている。
1)特定工作物
コンクリートプラント、ゴルフコース、1ha以上のテニスコートなどのこと(詳しくは特定工作物へ)。
2)土地の区画形質の変更
宅地造成、道路の新設などを伴う土地区画の変更、農地から宅地への変更などのこと(詳しくは土地の区画形質の変更へ)。

2.の定義に該当しない行為は、開発行為ではないので、開発許可を必要としない。例えば、1ha未満のテニスコートの建設のための宅地造成は、開発行為に該当しない。また建築物を建築する目的で、登記簿上で土地を合筆することは「土地の区画形質の変更」ではないので、開発行為に該当しない。

建築

「建築物を新築し、増築し、改築し、または移転すること」と定義されている(建築基準法第2条第13号)。

特定工作物

都市計画法における開発許可の対象となる、コンクリートプラント、ゴルフコース、テニスコート、墓園などのこと。

都市計画法では、建築物や工作物をつくる目的で宅地造成などを行なう場合には、開発許可を受ける必要があると定めている(都市計画法第29条)。特定工作物は、この開発許可の対象となる工作物のことであり、次の2種類に区分されている。

1.第一種特定工作物
周辺の地域の環境の悪化をもたらす恐れがある工作物であって、都市計画法施行令第1条第1項に規定されたもののこと。具体的には、コンクリートプラント、クラッシャープラント、危険物の貯蔵または処理に供する工作物である。

2.第二種特定工作物
大規模な工作物であって、都市計画法施行令第1条第2項に規定されたもののこと。具体的には次のものである。
1)ゴルフコース(面積関係なし)
2)1ha以上の野球場、庭球場、陸上競技場、遊園地、動物園その他の運動・レジャー施設
3)1ha以上の墓園

土地の区画形質の変更

都市計画法における開発許可の対象となる宅地造成等のこと。

1.趣旨
都市計画法では、無秩序な開発を規制するために開発許可の制度を設けているが、その開発許可の対象となるのが、「土地の区画形質の変更」である。
「土地の区画形質の変更」とは、宅地造成だけでなく、道路の新設などを伴う土地区画の変更、農地から宅地への変更などを含む広い概念である。ただし、建築確認をうけた建築工事に伴って掘削や基礎打ちをすることは含まれない。

2.具体的な内容
「土地の区画形質の変更」の具体的な運用は、各自治体の条例などで定められているが、一般的には「土地の区画形質の変更」には次の3種類の行為が含まれると解釈されている。
1)土地の「区画」の変更
土地の区画を形成する公共施設(道路・水路など)を新設・廃止・移動することにより、土地の「区画」を変更すること。
2)土地の「形」の変更
土地の盛り土・切り土により、土地の形状を変更すること。
3)土地の「質」の変更
宅地以外の土地(農地・山林など)を、宅地にすること。

単に土地登記簿上で土地を合筆もしくは分筆することは、 「土地の区画形質の変更」には含まれない。また、建築工事と一体と認められる基礎打ちおよび土地の掘削も「土地の区画形質の変更」には含まれない。

「土地の区画形質の変更」の具体的な運用は、各自治体の「開発指導要綱」で定められている場合が多い。また各自治体の条例で定める場合もある。

開発許可の基準(全般的許可基準)

都市計画法における開発許可に関して、どの地域でも適用される技術的な基準のこと。 1.趣旨
都市計画法は、開発行為(建築物の建築や特定工作物の建設を目的とする土地の区画形質の変更のこと)を行なうためには、原則として知事(指定都市等では市長)の開発許可を受ける必要があると定めている。

開発許可を与えるか否かの基準は次の二つに分けて定められている。
A)全国のすべての地域に適用される基準で、「全般的許可基準」または「技術的基準」と言われ、公共施設の整備、防災上の措置などの水準に関して審査するもの(都市計画法第33条)
B)市街化調整区域内でのみ適用される基準で、「立地基準」と言われ、立地の適正性を判断するためのもの(都市計画法第34条、詳しくは「開発許可の基準(市街化調整区域内の許可基準)」を参照)

A)の基準は宅地の水準を判断するための一般的な基準であって、市街化調整区域における市街化を抑制するべく定められているB)の基準とは性格を異にする。従って、市街化調整区域内での開発行為に対する開発許可ついては、B)だけでなくA)も適用されることとなる。

2.全般的許可基準の概要
「全般的許可基準」は次のとおりである。
1)予定建築物の用途が用途地域などに即していること
予定される建築物等の用途が、用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域などに適合していること。また地区計画が定められていて、地区整備計画が定められているとき(または施設の配置・規模が規定された再開発促進区があるとき)は、予定建築物等の用途などが地区計画等に即していること。
2)公共施設等との用途の配分
公共施設、公益的施設(学校など)、予定建築物の用途の配分が適正であること
3)排水施設、地盤の軟弱な土地等における安全措置
ア 排水路その他の排水施設が、下水を有効に排出し、溢水等の被害が生じないように設計されていること。
イ 地盤の軟弱な土地、がけ崩れや出水の恐れが多い土地などであるときは、地盤の改良、擁壁の設置などの安全上必要な措置が講じられていること。
4)権利者の同意
開発行為を行なう区域(開発区域)内の土地または建築物等につき、工事の実施の妨げとなる権利を有する者の相当数の同意を得ていること。
5)樹木の保全等、緑地帯等、輸送の便
ア 1ha以上の開発行為では、植物の生育の確保上必要な樹木の保存、表土の保全等の措置が講じられていること。
イ 1ha以上の開発行為では、騒音、振動等による環境の悪化の防止上必要な緑地帯その他の緩衝帯が配置されていること。
ウ 40ha以上の開発行為では、当該開発行為が道路、鉄道等による輸送の便等から見て支障がないこと。
6)公共空地、道路の接続
道路、公園、広場その他の公共空地(消防用貯水施設含む)が環境保全上等で支障がない規模構造で配置されること。開発区域内の主要な道路が、開発区域外の相当規模の道路に接続すること。なお、この基準は、自己居住用の住宅には適用されない。
7)給水施設
水道その他の給水施設が、想定される需要に支障をきたさないこと。なお、この基準は自己居住用の住宅には適用されない。
8)災害危険区域等を含まないこと
「災害危険区域」「地すべり防止区域」「土砂災害特別警戒区域」などの土地を含まないこと(ただし支障がない時は含んでよい)。なお、この基準は、自己居住用の住宅と、自己業務用の建築物・工作物には適用されない。
9)資力信用、工事完成能力
開発許可の申請者に当該開発行為を行なうために必要な資力および信用があること。工事施行者に当該開発行為に関する工事を完成するために必要な能力があること。なお、この基準は、自己居住用の住宅と、一定規模以下の自己業務用の建築物・工作物には適用されない。

市街化調整区域

都市計画によって定められた、市街化を抑制すべき区域をいう。

一定の都市計画区域について、都道府県知事が区域区分を決定することによって定まる。

市街化調整区域内で土地の区画形質の変更をする場合には、原則として許可を要する(開発許可)。そして開発許可に当たっては特別な事情にある場合を除いて住宅のための宅地造成等は許可されないなど、市街化調整区域内での開発・建築行為を抑制する規制が適用される。

開発許可の基準(市街化調整区域内の許可基準)

市街化調整区域で建築物の建築または第1種特定工作物の建設を目的とする開発行為を行なう場合に適用される開発許可の基準。

1.趣旨
都市計画法は、開発行為(建築物の建築や特定工作物の建設を目的とする土地の区画形質の変更のこと)を行なうためには、原則として知事(指定都市等では市長)の開発許可を受ける必要があると定めている。

開発許可を与えるか否かの基準は次の2つに分けて定められている。
A)全国のすべての地域に適用される基準で、「全般的許可基準」または「技術的基準」といわれ、公共施設の整備、防災上の措置などの水準に関して審査するもの(都市計画法第33条、詳しくは「開発許可の基準(全般的許可基準)」を参照)
B)市街化調整区域内でのみ適用される基準で、「立地基準」と言われ、立地の適正性を判断するためのもの(都市計画法第34条)

このうちB)の基準は、市街化調整区域における市街化を抑制するべく定められているもので、宅地の水準を判断するA)の基準と性格を異にする。また、市街化調整区域内での開発行為に対する開発許可ついては、A)およびB)の両方が適用されることとなる。

2.市街化調整区域内の開発許可基準(立地基準)の概要
次の開発行為については許可される。
1)日常生活のため必要な物品の販売等
開発行為を行なう区域(開発区域)の周辺地域の居住者の日常生活のため必要な物品の販売、加工、修理等の業務を営む店舗、事業場などのための開発行為
2)農林漁業用の建築物
市街化調整区域内で生産される農林水産物の処理・加工のため必要な建築物・第1種特定工作物のための開発行為。
3)鉱物資源・観光資源の利用など
ア 市街化調整区域内に存する鉱物資源、観光資源などの有効利用上必要なもののための開発行為。温度・湿度・空気等について特別の条件を必要として、市街化区域内での建築・建設が困難なもののための開発行為。
イ 市街化調整区域内の工場施設と密接な関連を有する事業用の建築物・第一種特定工作物
ウ 火薬庫であって、市街化区域内で建築建設することが不適当なもののための開発行為。
4)市街化区域内での建築・建設が困難・不適当なもの
市街化区域内の建築・建設が困難不適当なものとして定められる建築物・第一種特定工作物のための開発行為。道路管理施設、休憩所、ガソリンスタンド、火薬類製造所が指定されている。
5)地区計画等の区域
地区計画または集落地区計画の区域であって、地区整備計画・集落地区整備計画が定められているとき、その計画に即して行なわれる開発行為。
6)条例を定めることによって限定的に認めるもの
ア 自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成している地域で、おおむね50以上の建築物(市街化区域内を含む)が連たんしている地域のうち条例で指定する区域において行なう開発行為で、環境保全上支障がある用途など条例で定めるもの以外のためのもの。ただし、優良農地、優れた風景のため保全すべき区域、災害発生の恐れがある区域は指定できない。
イ 開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められる開発行為として、都道府県の条例で、区域、目的又は予定建築物等の用途を限って定められたもの。ただし、優良農地、優れた風景のため保全すべき区域、災害発生の恐れがある区域は指定できない。
7) 開発審査会の議を経て都道府県知事が個別的に認めるもの
都道府県知事が開発審査会の議を経て、開発区域の周辺における市街化を促進する恐れがなく、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認める開発行為。たとえば、分家住宅、社寺仏閣、地区集会場、有料老人ホーム、優良田園住宅などのための開発行為があり得る。

用途地域

建築できる建物の用途等を定めた地域。都市計画法に基づく制度である。

用途地域は、地域における住居の環境の保護または業務の利便の増進を図るために、市街地の類型に応じて建築を規制するべく指定する地域で、次の13の種類があり、種類ごとに建築できる建物の用途、容積率、建ぺい率などの建築規制が定められている。
・住居系用途地域:「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」「第一種中高層住居専用地域」「第二種中高層住居専用地域」「第一種住居地域」「第二種住居地域」「準住居地域」「田園住居地域」
・商業系用途地域:「近隣商業地域」「商業地域」
・工業系用途地域:「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域」

用途地域の指定状況は、市区町村が作成する都市計画図に地域の種類ごとに異なった色を用いて表示され、容易に確認できるようになっている。

なお、用途地域は、局地的・相隣的な土地利用の調整の観点にとどまらず、都市全体にわたる都市機能の配置及び密度構成の観点から検討し、積極的に望ましい市街地の形成を誘導するため、都市計画区域マスタープランまたは市町村マスタープランに示される地域ごとの市街地の将来像にあった内容とすべきであるとされている(都市計画運用指針、国土交通省)。

特別用途地区

都市計画法第8条第1項に列挙されている地域・地区の一つ。

用途地域の内部において、用途地域よりもさらにきめ細かい建築規制を実施するために設定される地区であり、市町村が指定するものである。

かつては特別用途地区の種類は、文教地区、特別工業地区、厚生地区、特別業務地区、中高層階住居専用地区、商業専用地区、小売店舗地区、事務所地区、娯楽・レクリエーション地区、観光地区、研究開発地区という11種類に限定されていたが、法改正により現在ではこれら11種類だけでなく、さまざまな特別用途地区が市町村の判断により設置することができるようになっている。

特定用途制限地域

用途地域では「特別用途地区」(文教地区や特別工業地区など)を設けてきめ細かな建築規制を実施できるが、そもそも用途地域が定めれていないエリアでは「特別用途地区」を設けることができないという問題があった。

そこで2000(平成12)年に都市計画法が改正され、用途地域がないエリアでは、「特別用途地区」に代わるものとして「特定用途制限地域」を設けることが可能になった(都市計画法第9条第15項)。 「特定用途制限地域」を設けることができるのは次の2つのエリアである。 1.準都市計画区域の中
2.非線引きの都市計画区域の中で、用途地域がないエリア

「特定用途制限地域」では、好ましくない業種(例えばパチンコ店)の建築を禁止するというような建築規制を実施することができる。

地区計画

都市計画において、それぞれの区域の特性にふさわしい良好な環境の街区を形成するために決定された計画をいう。

1.趣旨
都市計画法では適正な土地利用を実現するために、用途地域・特別用途地区をはじめとする多様な地域地区の制度を設けているが、都市化の進展の中で、不良な環境の地区が形成される恐れのあるケース等では、地域地区などの規制だけでは対応できない可能性がある。
そこで、特定の地区について土地利用規制と公共施設整備(道路、公園などの整備)を組み合わせてまちづくりを誘導する制度が必要となった。このような目的のために1980年に創設されたのが、地区計画制度である。

2.地区計画の決定
地区計画は都市計画の一つであるので、都市計画の決定手続により市町村が決定する。
具体的には次の1)または2)に該当する土地の区域について地区計画が定められる。
1)用途地域が定められている土地の区域
2)用途地域が定められていない土地の区域のうち次のいずれかに該当するもの
ア.市街地の開発などの事業が行なわれる、または行なわれた土地の区域
イ.建築物の建築・敷地の造成が無秩序に行なわれ、または行なわれると見込まれる土地の区域で、公共施設の整備の状況などから見て不良な街区の環境が形成される恐れがあるもの
ウ.優れた街区の環境が形成されている土地の区域

3.地区計画の内容
地区計画に関する都市計画では、地区計画の種類、名称、位置、区域、面積の他、次の事項を定める。
1)地区計画の目標
2)区域の整備、開発および保全に関する方針
3)地区整備計画(詳しくは4.へ)
4)再開発等促進区(詳しくは下記5.へ)

4.地区整備計画
地区整備計画とは、地区施設(主として街区内の居住者等の利用に供される道路・公園・緑地・広場などの施設のこと)、建築物等の整備、土地の利用に関する計画である。
地区整備計画では道路・公園などの整備、建築物等の用途制限、容積率の制限、建ぺい率の制限、敷地面積の最低限度などを詳細に規定することが可能である。従って、地区整備計画はまちづくりのプランであるということができる。
なお、地区計画に関する都市計画では、地区整備計画を定めることができない特別の事情がある場合には、地区計画の区域の全部または一部について、地区整備計画を定めなくてもよいものとされている。地区計画の区域の一部についてのみ地区整備計画を定める場合は、その一部区域をも都市計画に定める必要がある。

5.再開発等促進区
地区計画の区域の内部において、市街地の再開発等を進める場合には、地区計画に関する都市計画において再開発等促進区を定めることができる。再開発等促進区では特別な事項をも定めるものとされている(詳しくは再開発等促進区へ)。

6.地区計画の区域内における届出制度
地区整備計画が定められている地区計画の区域では、土地の区画形質の変更、建築物の建築を行なう場合には、その行為に着手する日の30日前までに市町村長に届け出なければならない。
また地区整備計画において、用途の制限、建築物等の形態の制限、建築物等の意匠の制限が規定されている場合には、それらを変更する行為も30日前の届出が必要である。

再開発等促進区

市街地内のまとまった低・未利用地など相当程度の土地の区域であって、土地利用の円滑な転換を推進するため、良好な都市資産の形成に資するプロジェクトや良好な中高層の住宅市街地の開発整備を誘導するべく指定される区域。地区計画において都市計画決定される。

1.趣旨
地区計画は、特定の区域におけるまちづくりを誘導するために市町村が定める計画である(詳しくは地区計画へ)。この地区計画の区域の内部において、市街地の再開発・開発整備を実施すべき区域を定めることができ、この区域を「再開発等促進区」と呼んでいる。

2.再開発等促進区の決定
再開発等促進区は、地区計画の内容の一つとして、都市計画で決定される。再開発等促進区となるための条件としては次の1)から4)をすべて満たすことが必要である。
1)用途地域が定められている区域であること
2)現に土地の利用状況が著しく変化しつつあり、または著しく変化することが確実であると見込まれること
3)適正な配置および規模の公共施設がないこと
4)高度利用を図ることが、当該都市の機能の増進に貢献すること

3.再開発等促進区で定めるべき事項
再開発等促進区では、通常の地区計画の区域において定めるべき事項に加えて、次の事項をも定める必要がある。
1)土地利用に関する基本方針
2)施設(道路、公園、緑地、広場その他の公共空地)の配置および規模
ところで、この2)の「施設」からは、都市計画施設および地区施設は除外される。ここで都市計画施設とは「都市計画で決定されている都市施設」をいう。また、地区施設とは「主として街区内の居住者等の利用に供される道路・公園・緑地・広場などの公共空地であって、地区整備計画で定められているもの」をいう。

4.施設の配置および規模を定めない場合
上記3.の2)の「施設」については、その施設の整備事業が行なわれる見込みがないなどの特別の事情がある場合には、「施設」の配置および規模を定めなくてよいとされている(都市計画法第12条の5第5項)。

5.建築等の規制 再開発等促進区において、土地の区画形質の変更、建築物の建築などを行おうとするときには、着手する日の30日前までに、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日などを市町村長に届け出なければならない。  

擁壁

崖を覆う人工の壁のこと。土圧を受け止め、土の崩壊を防止する設備である。主に、敷地と道路に高低差がある場合や、敷地の背後に崖がある場合に設置される。

擁壁は、単に崖を補強するものではなく、土砂の崩壊を防止することが重要な役割である。過大な基礎圧力、水位の上昇等が加わったときに、転倒・滑動せず、安定性を保つ性能を備えていなければならない。

擁壁の種類は、構造によって、重力式擁壁、半重力式擁壁、片持ち梁式擁壁、控え壁式擁壁、支え壁式擁壁、石積・ブロック積擁壁などに分類できる。

なお、建築基準によって、高さが2mを超える擁壁を造る場合には、建築主事の建築確認を受ける必要がある(建築基準法第88条1項・同施行令第138条1項5号)。

災害危険区域

津波、高潮、出水等による危険の著しい区域として指定された区域。

地方公共団体が条例によって指定し、その区域内では、災害を防止・軽減するため、条例の定めるところにより建物の用途、地盤高・床高、構造等が規制される。建築基準法に基づく制度である。
なお、自己の居住用住宅の建築を目的とした開発行為を除き、この区域を開発区域に含むことは原則禁止とされている。

土砂災害特別警戒区域

土砂災害警戒区域のうち、急傾斜地の崩壊等が発生した場合に建築物に損壊が生じ住民等の生命または身体に著しい危害が生ずる恐れがあると認められ、開発行為の制限や建築物の構造の規制をすべきとして指定される土地の区域をいう。

その指定要件、手続きなどは、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(土砂災害防止法)で定められている。

土砂災害特別警戒区域内においては、住宅地分譲等のための開発行為(特定開発行為)について許可を要する、居室を有する建築物の建築確認について土砂災害を防止・軽減できる構造であることが必要、建築物の安全な区域への移転等の勧告・支援などの措置が講じられる。なお、自己の居住用住宅の建築を目的とした開発行為を除き、この区域を開発区域に含むことは原則禁止とされている。

なお、宅地建物取引業務においては、特定開発行為について許可を受けた後でなければ当該宅地の広告、売買契約の締結等をしてはならず、また、重要事項説明に際しては特定開発行為の許可に関する概要を説明しなければならない。