最終更新日:2020/10/5
農地の売買・賃貸借等
のうちのばいばい・ちんたいしゃくとう農地(市街化区域内の農地を含む)を農地として売買、賃貸借等をする場合には、原則として、農業委員会(権利取得者が当該農地の所在市町村外に居住している場合は都道府県知事)の許可が必要である。
許可の要件は、権利取得者が、
1.農地のすべてを効率的に利用すること
2.個人の場合は農作業に常時従事すること
3.法人の場合は農業生産法人であること
そして、権利移動によって、
4.周辺地域における農地の効率的、総合的な利用の確保に支障がないこと
である。
ただし、農地の賃貸借については、継続的、安定的な農業経営が見込まれるなどの条件を満たせば、2.3.の要件は課せられない。従って、一般の会社やNPO等も、農地を賃借して農業経営に参加できる。
また、遺産の分割により、相続人等が農地を取得する場合には許可は不要である。
なお、必要な許可を得ないで農地の売買、賃貸借等を行なった場合には、その契約は無効となる(法律的な効果が生じない)。
-- 本文のリンク用語の解説 --
農地
一般的には「耕作の目的に供されている土地」を「農地」と呼ぶ(農地法第2条第1項)。
実際には、ある土地が「農地」であるかどうかをめぐって争いがあることが少なくない。ちなみ、過去の裁判例では次の1.2.のような基準が設けられている。
1.「農地」であるかどうかは、登記簿上の地目とは関係がない。たとえ地目が「原野」であっても、現状が「耕作目的の土地」であれば「農地」となる。
2.「農地」とは継続的に耕作する目的の土地である。住宅を建てるまでの間、一時的に野菜を栽培しているような家庭菜園などは「農地」ではない。その反面、たとえ休耕地であっても将来にわたって耕作する目的のものは「農地」である。 実務的には、宅地であるのか農地であるのか判断が分かれるような土地について取引を行なう場合には、市町村の農業委員会において確認を受けることが最も安全である。
1.「農地」であるかどうかは、登記簿上の地目とは関係がない。たとえ地目が「原野」であっても、現状が「耕作目的の土地」であれば「農地」となる。
2.「農地」とは継続的に耕作する目的の土地である。住宅を建てるまでの間、一時的に野菜を栽培しているような家庭菜園などは「農地」ではない。その反面、たとえ休耕地であっても将来にわたって耕作する目的のものは「農地」である。 実務的には、宅地であるのか農地であるのか判断が分かれるような土地について取引を行なう場合には、市町村の農業委員会において確認を受けることが最も安全である。
市街化区域
都市計画によって定められた、すでに市街地を形成している区域およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域をいう。
一定の都市計画区域について、都道府県知事が区域区分を決定することによって定まる。
市街化区域内では、必ず用途地域が指定されている。
一定の都市計画区域について、都道府県知事が区域区分を決定することによって定まる。
市街化区域内では、必ず用途地域が指定されている。
賃貸借
ある目的物を有償で使用収益させること、あるいはそれを約する契約をいう(賃貸借契約)。
賃貸借契約の締結によって、貸主(賃貸人)は目的物を使用収益させること、目的物を修繕すること等の債務を、借主(賃借人)は賃料を支払うこと、目的物を返還する際に原状回復すること等の債務をそれぞれ負うことになる(従って双務契約である)。
民法では、あらゆる賃貸借契約について、 1.契約期間は最長でも50年を超えることができない、2.存続期間の定めがない場合にはいつでも解約の申し出ができる、3.賃貸人の承諾がない限り賃借人は賃借権の譲渡・転貸ができない、4.目的物が不動産の場合には賃借人は登記がない限り第三者に対抗できない 等と規定している。
しかしながら、不動産の賃貸借は通常は長期にわたり、また、居住の安定を確保するために賃借人を保護すべしという社会的な要請も強い。そこで、不動産の賃貸借については、民法の一般原則をそのまま適用せず、その特例として、 1.契約期間を延長し借地については最低30年とする、2.契約の更新を拒絶するには正当事由を必要とする、3.裁判所の許可による賃借権の譲渡を可能にする、4.登記がない場合にも一定の要件のもとで対抗力を認める 等の規定を適用することとされている(借地借家法。なお、契約期間等については、定期借地権など特別の契約について例外がある)。
民法では、あらゆる賃貸借契約について、 1.契約期間は最長でも50年を超えることができない、2.存続期間の定めがない場合にはいつでも解約の申し出ができる、3.賃貸人の承諾がない限り賃借人は賃借権の譲渡・転貸ができない、4.目的物が不動産の場合には賃借人は登記がない限り第三者に対抗できない 等と規定している。
しかしながら、不動産の賃貸借は通常は長期にわたり、また、居住の安定を確保するために賃借人を保護すべしという社会的な要請も強い。そこで、不動産の賃貸借については、民法の一般原則をそのまま適用せず、その特例として、 1.契約期間を延長し借地については最低30年とする、2.契約の更新を拒絶するには正当事由を必要とする、3.裁判所の許可による賃借権の譲渡を可能にする、4.登記がない場合にも一定の要件のもとで対抗力を認める 等の規定を適用することとされている(借地借家法。なお、契約期間等については、定期借地権など特別の契約について例外がある)。
農業委員会
市町村に設置される独立の行政委員会で、農業者の代表機能を持つ合議体組織。公選された委員と推薦された委員とで構成される。
農地の権利移動許可、転用許可などに関して専属的な行政権限を持つ他、耕作放棄地の解消などの実施機能も担っている。
また、市街化区域内の農地転用に際しては、農業委員会に届け出ることが必要である。
農地の権利移動許可、転用許可などに関して専属的な行政権限を持つ他、耕作放棄地の解消などの実施機能も担っている。
また、市街化区域内の農地転用に際しては、農業委員会に届け出ることが必要である。
法人
私法上の概念で、自然人以外で、法律上の権利・義務の主体となることを認められた団体・財産をいう。
法人の設立は、法律の規定によらなければならないとされている。
例えば、一般社団法人、一般財団法人、株式会社、学校法人、宗教法人、管理組合法人などはすべて法人である。
法人の設立は、法律の規定によらなければならないとされている。
例えば、一般社団法人、一般財団法人、株式会社、学校法人、宗教法人、管理組合法人などはすべて法人である。
農業生産法人
農業経営を行なうために農地の取得が認められる法人をいい、株式会社等の会社法人と農事組合法人の2つの形がある。
法人による農業経営は、経営管理能力や取引信用力の向上、雇用労働関係の明確化、労働者の福祉の増進、新規就農者の確保などが期待できるとされる一方、耕作者が農地を所有することで維持されてきた農地・農村秩序との調整が必要であるともされる。
なお、会社法人である農業生産法人については、役員の一定割合が農業に常時従業することなど、その構成員等について一定の要件を満たさなければならない。
法人による農業経営は、経営管理能力や取引信用力の向上、雇用労働関係の明確化、労働者の福祉の増進、新規就農者の確保などが期待できるとされる一方、耕作者が農地を所有することで維持されてきた農地・農村秩序との調整が必要であるともされる。
なお、会社法人である農業生産法人については、役員の一定割合が農業に常時従業することなど、その構成員等について一定の要件を満たさなければならない。
NPO(法人)
「Non Profit Organization」(民間非営利組織)のことで、福祉・医療・教育など不特定で多数のものの利益に寄与することを目的に活動する民間の非営利的な団体をいう。
民間非営利組織は、社団法人、財団法人など特別の法律によって設立されたもの以外は「権利能力なき社団」として法人格を有することができなかったが、1998年に「特定非営利活動促進法」が施行され、設立の認証によって法人格が認められることとなった。この認証を受けたNPOを、「特定非営利活動法人」という。
民間非営利組織は、社団法人、財団法人など特別の法律によって設立されたもの以外は「権利能力なき社団」として法人格を有することができなかったが、1998年に「特定非営利活動促進法」が施行され、設立の認証によって法人格が認められることとなった。この認証を受けたNPOを、「特定非営利活動法人」という。