保証書(不動産登記における)
ほしょうしょ(ふどうさんとうきにおける)
所有権移転登記を申請しようとする売主が、登記済証を紛失している場合に、登記済証の代わりに作成する書類のこと。通常はこの保証書の作成は、不動産の売主が司法書士に依頼する。
保証書は、不動産の売主がその不動産の真正な所有者であるということを2名の保証人が保証するという内容の書面である。
2名の保証人は、いずれかの登記所(問題となっている不動産を管轄する登記所でなくてもよい)で登記を受けている成年者であることが必要である。
なお、保証された者が実は真正な所有者でなかった場合には、保証人は損害を受けた者に対して民事上の賠償責任を負うことになるので注意が必要である。
所有権
法令の制限内で自由にその所有物の使用、収益および処分をする権利をいう。
物を全面的に、排他的に支配する権利であって、時効により消滅することはない。その円満な行使が妨げられたときには、返還、妨害排除、妨害予防などの請求をすることができる。
近代市民社会の成立を支える経済的な基盤の一つは、「所有権の絶対性」であるといわれている。だが逆に、「所有権は義務を負う」とも考えられており、その絶対性は理念的なものに過ぎない。
土地所有権は、法令の制限内においてその上下に及ぶとされている。その一方で、隣接する土地との関係により権利が制限・拡張されることがあり、また、都市計画などの公共の必要による制限を受ける。さらには、私有財産は、正当な補償の下に公共のために用いることが認められており(土地収用はその例である)、これも所有権に対する制約の一つである。
売主
不動産の売買契約において、不動産を売る人(または法人)を「売主」という。
また不動産広告においては、取引態様の一つとして「売主」という用語が使用される。
この取引態様としての「売主」とは、取引される不動産の所有者(または不動産を転売する権限を有する者)のことである。
登記済証
不動産登記事務が電子化される以前は、権利登記において、登記手続きの完了後に、登記をした者(登記名義人)に対して、登記申請書の写し(副本)に登記官が「登記済」と押印したものが返還されていた。この登記名義人となった者に返還される押印された申請書副本が「登記済証」である。
登記済証は、登記名義人が所持し、その所持者が登記名義人であることを公的に証明する書面であることから、「権利証」とも呼ばれている。
しかしながら、不動産登記法が改正され(施行日は2005(平成17)年3月7日)、本人確認は登記識別情報によることとされたため、登記済証の発行制度は廃止された。
ただし、制度廃止後の初回の書面申請においては、申請人は未だ登記識別情報を保有していないため、その場合には登記済証の提出によって本人確認を行うこととされている。
不動産
不動産とは「土地及びその定着物」のことである(民法第86条第1項)。
定着物とは、土地の上に定着した物であり、具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。また土砂は土地そのものである。
登記所
登記事務を担当する機関のこと。
一般名称として「登記所」と呼んでいるが、正式名称は「法務局」、「地方法務局」、「支局」、「出張所」である。
成年
民法上、満18歳に達したことをいう(2022年4月1日から「満18歳」に達したときに改正された)。成年に達していないものを「未成年者」という。
成年に達するのは、18回目の誕生日の前日が終了した時点である(年齢計算に関する法律)。
成年に達すると、一人で有効な契約を締結することができ、親権に服することもなくなる。一方、成年年齢が満18歳に改正されたのちも、喫煙年齢、飲酒年齢などは満20歳のままである。
なお、2022年3月31日までは、満20歳に満たない者であっても、結婚をすることにより成年に達したものとみなされる制度があった(成年擬制)。