このページを印刷する

最終更新日:2017/12/8

工事完了検査(完了検査)

こうじかんりょうけんさ(かんりょうけんさ)

建築主は、工事を完了した日から4日以内に、建築主事に「工事完了検査」を申し出る必要がある。この申し出を受けた建築主事は申し出から7日以内に建築物を検査する必要がある。

この検査の結果、建築物建築基準法に適合している場合は、建築主事は「検査済証」を建築主に交付しなければならない。

-- 本文のリンク用語の解説 --

建築主事

建築確認を行なう権限を持つ、地方公務員のこと。 建築主事となるには、一定の資格検定に合格しなければならない。
その後、国土交通大臣の登録を受け、知事または市町村長の任命を受けることが必要である。

都道府県には必ず建築主事が置かれる。また政令で定める人口25万人以上の市でも、建築主事が必ず置かれる。それ以外の市町村では任意で建築主事を置くことができる(建築基準法第4条)。

建築物

建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。

これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。
1.屋根と柱または壁を有するもの
2.上記に付属する門や塀
3.以上のものに設けられる建築設備

上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。
なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。

建築基準法

国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。

遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。

その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。

検査済証

建築工事が完了した建築物について、建築主事等は、検査の申請を受理した日から7日以内に、当該建築物について工事完了検査を行なわなければならない。

この工事完了検査に合格した場合に、建築主事等が建築主に交付する書面が「検査済証」である。
-- 関連用語 --
建築確認

一定の建築物を建築(増改築を含む)しようとするときに、工事の着手前に、建築計画が法令で定められた建築基準(建築物の敷地、構造、設備および用途に関する最低の基準)に適合している旨の確認を受けなければならないとする制度、または当該確認行為をいう。 確認を申請する義務があるのは建築主で、確認を行なうのは建築主事等である。

建築主は、建築確認を受けた場合には確認済証の交付を受ける他、工事を完了したときには検査を受けること、一定の場合には工事の中間検査を受けることなどの義務を負う。また、建築基準に違反した建築物については、建築主、建築工事の請負人等に対して、工事施工の停止や違反を是正するための措置を命じることができる。ただし、特別な場合を除いて、従前から存在する基準に違反の建築物(既存不適格建築物)については、増改築をしない限りはそのまま使用できる。

建築確認制度において重要なのは、建築確認を受けなければならない建築物の建築工事に当たっては、その設計は建築士が当たらなければならず、また建築士である工事監理者を置かなければならないとされていることである。この条件を満たさない建築確認申請は受理されない。つまり、建築基準を確保する仕組みは、建築確認制度と建築士制度とが一体となって初めて実効あるものとなるのである。

なお、建築基準は、都市計画区域および準都市計画区域内の建築物に対してはより厳しい基準が適用されるなど、建物の敷地場所、規模、構造、用途等に応じて詳細に定められているため、その内容については注意深く確認する必要がある。

中間検査

阪神・淡路大震災で倒壊した建物が多数存在したことに鑑み、建築物の安全性の向上のために1999(平成11)年に導入された新制度。
この制度では、建築物を新築する際のある中間工程を「特定工程」とし、この特定工程の工事が済んだ時点で検査を義務付けるというものである。それと同時に、中間検査に合格しない限り、それより先の工程の工事が全面的にストップするという厳しい内容となっている。 具体的には、建築基準法の規定(第7条の3)によれば、建築主は、特定行政庁が指定した特定工程の工事を完了した日から4日以内に、建築主事に「中間検査」を申し出る必要があるとしている。この申し出を受けた建築主事は申し出から4日以内に工事中の建築物を検査する必要がある。このように、中間検査の申し出から実際の中間検査まで8日間とされており、中間検査が迅速に行なわれるよう配慮されている。
この中間検査の結果、建築物が建築基準法に適合している場合は、建築主事は「中間検査合格証」を建築主に交付しなければならない。 どのような建築物について中間検査を義務付けるかは、それぞれの特定行政庁(知事や市長)が自由に決定できることとされている(建築基準法第7条の3)。従って、詳しくは自治体の窓口(建築確認の担当部署)に問い合わせる必要がある。 一例を挙げれば、首都圏のある政令指定都市では、次のような中間検査を義務付けている。まず、対象となる建築物は、木造3階建ての一戸建て住宅などである。
特定工程に指定されているのは、木造3階建て住宅では「屋根工事」である。この「屋根工事」の中間検査に合格する前には、構造耐力上主要な部分を覆う壁・床・天井を設ける工事の工程に進むことはできないこととされている。
このように、屋根工事を一つの区切りとして、工事途中の段階で、建物の構造の安全性をチェックする仕組みになっているのである。

仮使用

一般建築物は建築後いつでも使用を開始することができ、またリフォーム等の工事をしている最中にも通常の使用を続けることができる。

しかし、特殊建築物等については、その避難設備(廊下・階段・出入口・消火設備・排煙設備等)に関係する工事を行なう場合や、建物を新築する場合には、原則として建築主事から「検査済証」を交付された後でなければ、建築物の使用を開始することができないとされている(建築基準法第7条の6)。

これは特殊建築物等では、防災上特に配慮が必要なので、避難設備に関係する工事が進行中の時期や、避難設備そのものがまだできていない時期には、原則として人に使用させないということである。 ただし「検査済証」の交付の前であっても、次の2つのケースでは仮に使用が許される。 1.特定行政庁が防火上・安全上支障がないと認めて承認をした場合
2.建築主が工事完了検査を申し出てから7日間が経過した場合