最終更新日:2020/9/11
有害物質(水質汚濁防止法における〜)
ゆうがいぶっしつ(すいしつおだくぼうしほうにおける〜)水質汚濁防止法において、人の健康に被害を生ずる恐れが大きい物質として指定された28種類の物質。
このうち、25種類の物質は土壌汚染対策法の特定有害物質にも該当する。
なお、ダイオキシン類については、ダイオキシン類対策特別措置法において排出基準が定められているので、水質汚濁防止法の有害物質からは除外されている。
指定されている有害物質は次のとおりである。
1 カドミウム及びその化合物
2 シアン化合物
3 有機燐りん化合物(ジエチルパラニトロフエニルチオホスフエイト(別名パラチオン)、ジメチルパラニトロフエニルチオホスフエイト(別名メチルパラチオン)、ジメチルエチルメルカプトエチルチオホスフエイト(別名メチルジメトン)及びエチルパラニトロフエニルチオノベンゼンホスホネイト(別名EPN)に限る。)
4 鉛及びその化合物
5 六価クロム化合物
6 砒ひ素及びその化合物
7 水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物
8 ポリ塩化ビフェニル
9 トリクロロエチレン
10 テトラクロロエチレン
11 ジクロロメタン
12 四塩化炭素
13 1・2―ジクロロエタン
14 1・1―ジクロロエチレン
15 1・2―ジクロロエチレン
16 1・1・1―トリクロロエタン
17 1・1・2―トリクロロエタン
18 1・3―ジクロロプロペン
19 テトラメチルチウラムジスルフイド(別名チウラム)
20 2―クロロ―4・6―ビス(エチルアミノ)―s―トリアジン(別名シマジン)
21 S―4―クロロベンジル=N・N―ジエチルチオカルバマート(別名チオベンカルブ)
22 ベンゼン
23 セレン及びその化合物
24 ほう素及びその化合物
25 ふつ素及びその化合物
26 アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物
27 塩化ビニルモノマー
28 1・4―ジオキサン
水質汚濁防止法
水質汚濁防止法の概要は次のとおり。 1.生活環境に被害を生ずる恐れがあるような汚水等を排出し、または有害物質を使用する等の理由により、水質汚染を招く危険のある施設を「特定施設」と定義する(水質汚濁防止法第2条)。
2.特定施設を設置する工場・事業場等を「特定事業場」と定義する(同法第2条)。
3.特定施設を設置する者・使用廃止する者に特定施設設置等の届出を義務付ける(同法第5条等)。
4.特定事業場に、排水基準の遵守を義務付ける(同法第3条)。
5.指定地域内の特定事業場に、水質汚濁の総量規制を実施する(同法第4条の5)。
6.特定事業場に、排出水および特定地下浸透水の汚染状態の測定を義務付ける(同法第14条)。
7.有害物質を使用する特定事業場において、特定地下浸透水が有害物質を含んでいるとき、その特定地下浸透水を地下に浸透させることを禁止する(同法第12条の3)。
8.上記7.に違反して、特定事業場の事業者が、有害物質を含む特定地下浸透水を地下に浸透させた場合において、都道府県知事は地下水の水質浄化を命令することができる。これを地下水の水質浄化の措置命令という(同法第14条の3、同法施行規則第9条の3、同法施行規則別表)。
9.都道府県知事に地下水の水質を常時監視することを義務付けた。これにより1989(平成元)年以降、毎年全国の約1万2,000の井戸について水質調査が実施されている。これを地下水モニタリングという(同法第15〜17条)。
10.工場・事業場から有害物質を含む水を排出し、または有害物質を含む水を地下に浸透させた場合には、工場・事業場の事業者に過失がなくても、工場・事業場の事業者に健康被害の損害賠償の責任を負わせる(同法第19〜第20条の3)(詳しくは「地下水汚染の無過失責任」へ)。
土壌汚染対策法
次の3種類の調査を定め、その実施を義務付ける。
i)使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場又は事業場の敷地であった土地の調査
ii)土壌汚染の恐れがある土地の形質の変更が行われる場合の調査
iii)土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある土地の調査 2)区域の指定と措置の義務づけ
土壌の汚染状態が指定基準を超過した場合に次の2種類の区域を指定し、それぞれの区域について必要な措置を定める。
(1)要措置区域
土壌汚染の摂取経路があり健康被害が生じる恐れがあるため、汚染の除去等の措置が必要な区域。この区域に指定されると、健康被害を防止するために必要な措置を講じなければならない。また、土地の形質変更は原則禁止される。
(2)形質変更時要届出区域
土壌汚染の摂取経路がなく、健康被害が生じる恐れがないため、汚染の除去等の措置が不要な区域(摂取経路の遮断が行われた区域を含む)。この区域では、土地の形質変更時に都道府県知事に計画を届け出なければならない。 3)汚染土壌の搬出等に関する規制
i)要措置区域及び形質変更時要届出区域内の土壌の搬出における事前届出、計画の変更命令、運搬基準の遵守
ii)汚染土壌に係る管理票の交付及び保存の義務
iii)汚染土壌の処理業の許可制度 なお、土壌汚染の発生を防ぐための対策は、土壌汚染対策法のほか、水質汚濁防止法による有害物質を含む汚水等の地下浸透防止措置、廃棄物の処理および清掃に関する法律による有害物質を含む廃棄物の適正処分措置などによって対応が図られている。また、ダイオキシン類による汚染対策については、ダイオキシン類対策特別措置法によって別途の措置が定められている。
特定有害物質(土壌汚染対策法の〜)
トリクロロエチレン・テトラクロロエチレンなどの12種類の揮発性有機化合物
2)第二種特定有害物質
鉛、砒素などの9種類の重金属等
3)第三種特定有害物質
有機リン化合物などの5種類の農薬等
ダイオキシン類
なお、土壌汚染対策法ではダイオキシン類を特定有害物質から除外しており、ダイオキシン類の土壌汚染に関する規制はダイオキシン類対策特別措置法に委ねられている。
ダイオキシン類対策特別措置法
さらにダイオキシン類の土壌汚染を排除するため、知事がダイオキシン類土壌汚染対策地域を指定できるという制度を創設し、知事がその対策地域に関するダイオキシン類土壌汚染対策計画を策定することにより、迅速にダイオキシン類の除去事業を実行する仕組みが設けられている(同法第29条から第32条)。
トリクロロエチレン
土壌汚染対策法では、このトリクロロエチレンを特定有害物質に指定し、トリクロロエチレンによる土壌汚染を規制している。
テトラクロロエチレン
土壌汚染対策法では、このテトラクロロエチレンを特定有害物質に指定し、テトラクロロエチレンによる土壌汚染を規制している。