ダイオキシン類土壌汚染対策地域
だいおきしんるいどじょうおせんたいさくちいき
ダイオキシン類対策特別措置法第29条にもとづき、知事が定める地域。
知事は、ダイオキシン類により汚染された具体的な地域について、土壌からダイオキシン類を除去する必要がある地域を「ダイオキシン類土壌汚染対策地域」として指定することができる。
ただし、この対策地域に指定することができる地域は、次の要件をすべて満たす地域に限られている。
1.人が立ち入ることができる地域であること
2.工場または事業場の敷地である場合には、その敷地内に従事者以外の者が立ち入ることができる地域であること
従って、工場または事業場の敷地であって、その事業の従事者だけが立ち入る敷地については、この対策地域に含めることができない。このため、工場・事業所は通常、対策地域から除外されることとなる(同法施行令第5条)。
なお、この対策地域を指定した時は、知事は遅滞なく、ダイオキシン類土壌汚染対策計画を定め、土壌汚染の除去事業を迅速に実施しなければならない(同法31条)。
ダイオキシン類対策特別措置法
ダイオキシン類による大気汚染・水質汚染・土壌汚染に対する国民の不安の高まりに対処するため、1999(平成11)年7月に議員立法により制定された法律。2001(平成13)年1月6日から施行されている。
この法律では、ダイオキシン類の排出ガス・排出水における濃度基準(排出基準)を設定したほか、ダイオキシン類を排出する施設を特定施設と定義して、その特定施設の設置にあたって排出基準を遵守することを定め、また排出基準を超える排出に対して知事の改善命令等が定められている。
また知事によるダイオキシン類排出の常時監視と、排出者自身による年1回以上の測定を義務付けている(同法第26条から第28条)。
さらにダイオキシン類の土壌汚染を排除するため、知事がダイオキシン類土壌汚染対策地域を指定できるという制度を創設し、知事がその対策地域に関するダイオキシン類土壌汚染対策計画を策定することにより、迅速にダイオキシン類の除去事業を実行する仕組みが設けられている(同法第29条から第32条)。
ダイオキシン類
ダイオキシン類とは、ポリ塩化ジベンゾフラン、ポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシンおよびコプラナーポリ塩化ビフェニル(PCB)をいう(ダイオキシン類対策特別措置法第2条)。
ダイオキシン類は化学物質の製造や廃棄物の燃焼などに伴って副次的に生産される物質であり、極めて毒性が強い。わが国では1999(平成11)年にダイオキシン類の規制が先進諸国に比較して非常に遅れていることが指摘され、議員立法によりダイオキシン類対策特別措置法が制定されたという経緯がある。
なお、土壌汚染対策法ではダイオキシン類を特定有害物質から除外しており、ダイオキシン類の土壌汚染に関する規制はダイオキシン類対策特別措置法に委ねられている。
敷地
建築物のある土地のことを「敷地」という。
なお、同一の敷地の上に2つの建築物がある場合には、建築基準法では、2つの建築物が用途上分けられないときは、同一敷地にあるものとみなすことになっている(建築基準法施行令1条)。
例えば、ある人の所有地の上に「住宅」と「物置」が別々に建っている場合は、この2つは用途上不可分であるので、別々の敷地上に建てたと主張することはできない、ということである。
ところで、建築基準法では「敷地」が衛生的で安全であるように、次のようなルールを設定しているので注意したい(建築基準法19条)。
1.敷地は、道より高くなければならない(ただし排水や防湿の措置を取れば可)
2.敷地が、湿潤な土地や出水の多い土地であるときは、盛り土や地盤の改良を行なう。
3.敷地には、雨水と汚水を外部に排出する仕組み(下水道など)をしなければならない。
4.崖崩れの被害にあう恐れがあるときは、擁壁(ようへき)の設置などをしなければならない。
ダイオキシン類土壌汚染対策計画
ダイオキシン類による土壌汚染の除去等を実施するため、都道府県知事が策定する計画。ダイオキシン類対策特別措置法に基づく計画で、ダイオキシン類土壌汚染対策地域を指定した場合に遅滞なく定めなければならないとされている。
ダイオキシン類土壌汚染対策計画においては、土壌の汚染の除去に関する事業、健康被害の防止のために必要な事業などが定められる。
なお、この計画を策定するに当たっては、知事は関係市町村長の意見を聴くとともに、公聴会を開くなど、対策地域の住民の意見を反映させるための措置を講じなければならない。