一般社団法人および一般財団法人に関する法律は、「法人は、代表理事その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」と規定している。
この規定について、法人実在説の立場からは、法人が社会的実在である以上、法人自身が不法行為を行なうことは当然にあり得るので、目的の範囲内で法人は損害賠償責任を負うのが当然であると解釈されている(ただし、法人擬制説・法人否認説では代表者の不法行為について、法人に責任を負わせた特例的な規定であると解釈されている)。
法人の不法責任については、「その職務を行うについて」という部分の解釈が重要である。もし代表者の職務執行の範囲を厳格に解釈するならば、職務執行に「不法行為」が含まれることは稀であるから、判例では、理事の職務執行の範囲が広く解釈されている。たとえば判例は、「外形上、理事の職務行為と認められるもの、および社会通念上その職務行為に関連するもの」を理事の職務執行とし(これを外形理論という)、法人と取引をする相手方を保護している。
なお、法人が不法行為責任を負う場合でも、理事個人も個人として不法行為責任を負うものとされている(判例)。