詐欺とは、他人を騙すことにより、その者に誤った動機を抱かせることである。いい換えれば、詐欺とは他人を動機の錯誤に陥れることであるということができる。
詐欺により動機の錯誤に陥れられた者が、その錯誤にもとづいて意思表示を行なった場合には、その意思表示は取り消すことができる(民法第96条第1項)。
ただし、詐欺とは社会通念に反する違法性を帯びている場合に限られるので、例えば「この土地は値上がりするはずだ」と単に告げる程度では詐欺に該当しない。
また、詐欺と意思表示との間には因果関係が必要とされており、詐欺が動機を決定付けた場合にのみ、その詐欺にもとづく意思表示は取消しが可能なものとなる。
詐欺により法律行為が行なわれた場合に、詐欺があったことを知らない(=善意でかつ過失がない)第三者は原則的に保護されるべきである。民法では第96条第3項でこのような第三者を保護している(詳しくは詐欺における第三者保護へ)。
なお、詐欺は取引の当事者が行なう場合だけでなく、当事者以外の者が行なう場合もある。これは第三者詐欺と呼ばれ、民法第96条第2項が適用される(詳しくは第三者詐欺へ)。