民事訴訟法第382条から第396条に規定されている、金銭債権を回収するための簡易な請求手続きのことである。支払命令・督促命令と呼ばれることもある。
支払督促を行なうには、債権者は、債務者の住所地を管轄する簡易裁判所に対して、請求する金額や請求の原因などをごく簡単に記載した支払督促申立書を提出し、通常の裁判費用の半額に相当する印紙を納付する必要がある。
簡易裁判所ではこの申立書にもとづき、支払督促を発令し、債務者に支払督促正本が郵送される。債務者が正本送達の翌日から2週間以内に異議申立てを行なえば、正式な裁判に移行することになるが、異議申立てを行なわなければ、債権者は2週間が経過した日の翌日から30日以内に、仮執行宣言の申立てをすることができる。
債権者が仮執行宣言の申立てをすると、簡易裁判所は、仮執行宣言付支払督促を発令し、仮執行宣言付支払督促正本が債務者に送達される。これに対して、2週間以内に債務者からの異議申立てがなければ、支払督促は確定判決と同一の効力を得ることとなる。
このように、早ければ申立書提出から1ヵ月程度で確定判決と同一の効力が発生し、しかも費用が通常裁判の半分であるので、支払督促は、主に少額の融資を迅速に回収する手段として多用されている(なお売掛金・未収金・未払金の回収など、金銭債権すべてについて利用できる)。