「不動産保存の先取特権」は民法第326条に定められた権利である。
不動産の保存のために要した費用又は不動産に関する権利の保存、承認若しくは実行のために要した費用に関し、その不動産について存在する。その人がその旨を登記すれば、先取特権が発生し、不動産を競売して保存費用を取り戻せるという権利である。
実際には、建物新築を請け負う建設会社が、棟上げを終えると同時に、この「不動産保存の先取特権」を登記し、棟上時から完成時までの間の建築費を「不動産保存費」として確保することが多い。
この「不動産保存の先取特権」を登記すると、それ以前に登記された抵当権よりも優先するとされている(民法第339条)。
そのため、建設会社が金融機関に対抗する有力な法的手段として多用されている。