不動産投資信託の投資法人において、投資主が保管振替制度を利用している場合に、証券保管振替機構からの通知にもとづいて投資法人が作成する名簿のこと。
保管振替制度とは、上場株券の保管・受渡しを合理化するために、1991(平成3)年から実施されている制度である。すべての上場株式がこの制度の適用を受けており、投資証券もこの制度の適用を受ける。
投資主がこの保管振替制度を利用している場合、投資証券の券面上の名義人は便宜的に「証券保管振替機構」とされている。
そのため、投資法人が作成する投資主名簿上では、保管振替制度適用分については、「証券保管振替機構」が便宜上の投資主とされる。
従って、実際に投資口の権利を持つ個々の投資主の住所氏名等を、投資法人が管理するには、別の名簿を作成する必要性が生じることになる。このような管理目的で作成される名簿が「実質投資主名簿」である。
この「実質投資主名簿」の作成方法は次のとおり。
まず、投資法人の規約で定める「権利確定日」までに、証券保管振替機構(および個々の投資主が取引口座を有する証券会社)が、個々の投資主の住所氏名等を、投資法人へと通知する。
次に、投資法人が、振替機構(および証券会社)から通知された個々の投資主の住所氏名等の情報をもとに「実質投資主名簿」を作成する。
このようにして作成された「実質投資主名簿」に記載された投資主は、分配金を受け取る権利を取得し、投資主総会に出席する権利を獲得する。
従って、このような実質投資主名簿の存在によって、保管振替制度を利用する投資主は、自己の投資主としての権利を確実に行使できるようになるということができる。
なお権利確定日は、各投資法人の「規約」で定められているが、通常は権利確定日とは「決算日」のことである(詳しくは「権利落ち」へ)。