宅地建物取引業者が、自ら宅地建物の売主となる場合に課せられる8種類の制限をいう。
その制限は、次のとおりである。
1.自己所有に属しない物件の売買契約を締結してはならない(ただし、将来自己所有となることが確実な他人物の売買、および、手付金等の保全措置を講じた未完成物件の売買については例外)(自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限)。
2.事務所等以外の場所において、申込み・売買契約を締結した買主は、一定の期間内等において、当該買受けの申込みの撤回または当該売買契約の解除を行なうことができる。この場合、宅地建物取引業者は、申込みの撤回等に伴う損害賠償または違約金の支払いを請求することができない(クーリングオフの適用)。
3.債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償額の予定または違約金を定める場合に、その額は合算して代金額の10分の2を超えてはならず、超える部分は無効とする(損害賠償額の予定等の制限)。
4.代金の10分の2を超える額の手付を受領することができない。また、手付を受領したときには、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付放棄によって、売主はその倍額の償還によって契約を解除できる(手付額の制限等)。
5.瑕疵担保責任について、民法の原則よりも買主に不利な特約は無効とする(ただし、引渡しから2年以上となる特約を除く)(瑕疵担保責任の特約の制限)。
6.保全措置を講じた後でなければ買主から手付金等を受領してはならず、買主は、保全措置が講じられない場合には手付金等を支払う必要はない(ただし、所有権移転の登記がなされたとき、手付金等の額が代金の5%以下等であるときなどは例外)(手付金等の保全措置)。
7.割賦販売契約において割賦金の支払いがない場合に、30日以上の期間を定めて書面により支払いを催告してこの期間内に支払いがないときでなければ、契約の解除および残りの割賦金を請求することができない(割賦販売契約の解除等の制限)。
8.所有権留保による売買契約をしてはならず、引渡しまでに登記の移転等をしなければならない。また、引渡し後に担保目的でそれを譲り受けること(譲渡担保)をしてはならない(ただし、いずれについても、受領した額が代金額の10分の3以下である場合等においては例外)(所有権留保等の禁止)。